「近年、日本ではソニーは復活したと言われている。だがグローバル基準だと、本当に復活しているかというと、僕はそうではないと思う。利益は出せているが、イノベーションを起こせているかというと疑問だ」
そう語るのは国内外にてドローン事業を行うテラドローンの代表取締役社長、徳重徹氏だ。
徳重氏は「今の日本のやり方で本当に世界で勝てるのだろうか、イノベーションを起こせるのだろうか。ポテンシャルはあるが、やり方には疑問がある」と話し、「日本人がダメなのは、無茶を言わないところ。枠にはめられているイメージがある」と加えた。
「僕はその枠を取っ払いたいと思っている。だが、実績を出さずに口で言うだけでは意味がない。僕が今、無茶をやっている理由はそれだ。誰かが突破すれば視野が広がるはずだ」(徳重氏)
テラドローンは2016年3月の設立で、同社いわく、「日本が世界に誇る技術分野で、設立当初からグローバル市場で戦う事を前提に創業された企業」だ。本社を東京におき、全国7支社とAPECやEU、 アフリカ、オーストラリアなど世界で10支社以上を構える。
ここ最近ではグローバルな展開に特に注力しており、グループとして世界的な拡大を加速させている。2018年11月には欧州を中心に産業向けドローン関連サービスを提供するSkyeyeの過半数株式を取得し、Terra Drone Europeを設立したと発表。
直近では昨日2月21日、Terra Drone Indiaを設立しインド市場に進出したと明かし、本日2月22日、ロシア国内において産業向けドローン関連サービスを提供するUnmanned Technologyに出資し、Terra Drone Russiaを設立することとなったと発表した。
「『今、海外でどのように勝つのか』というテーマに関して、まだ結論は出ていないが、かなり良い線まで来ている」と徳重氏は語る。
同社の海外進出戦略は、「優れた起業家を見つけグループに入れる」こと。「100%買収だと、まだまだ黎明期だというのもあり、起業家のやる気がなくなる。2割だとグループにならず、単なる出資になる。だが、黎明期の優秀な起業家に対して、50%とか51%といった株式比率を取ってグループにするのは、新しいビジネスモデルだと思っている」と徳重氏は説明。
そのモデルを見つけるまでには挫折もあった。オーストラリアでの事業展開は、1年かけて準備し、現地に人材を2人送り込み、時間もお金もかけたが、不発に終わった。だが、次に向かったインドで、現在の事業展開モデルにつながる“キッカケ”が起こる。
徳重氏は当時4億円ほどの売り上げがあったという、RedBayという政府の仕事の多くを受け持つドローン会社と面談を重ねた。徐々にテラドローンに関心を寄せ始めたRedBayは、徳重氏に対し、「51%の株主が、インドのローカルの建設の会社で、最新技術に理解がなく、スピードも遅いため、進めていくのが大変だ。経営を変わってくれ」と提案。現地法人名を決めるときにも、徳重氏はTerra RedBayやRedBay Terraなどの企業名を推奨したが、「Terra Drone Indiaで行こう」と逆提案されたのだとか。
急ピッチでグループを拡大してきたテラドローンだが、今年はPMI(Post Merger Integration/M&A後の統合プロセス)のような形で、インテグレーションを行う計画だ。3月にはほとんどのグループ会社トップが東京で一堂に会し、ノウハウや方針のシェアリングをする予定だという。