ディスカウントより寄付がマーケティングツールとして有効と主張するGivzに投資家たちも注目

Givzは、ブランドがディスカウントを寄付に変換するAPIの開発で、300万ドルのシード資金を獲得した。

EniacとAccompliceが、このニューヨークのスタートアップへの投資をリードし、これにSupernode VenturesとFine DayのClaude Wasserstein氏、Phoenix Club、そしてDylan Whitman氏が参加した。

Givzは2017に創業し、慈善のような寄付を一般人がもっと気軽に便利にできることを狙っている。パンデミック直前の2020年3月には、同社はB2CからB2Bに方向転換し、これまで構築してきた技術を利用して、今日のGivsが提供しているeコマースのマーケティングのためのプラットホームを作った。

同社は、顧客に「定価購入」ないし「正価購入」を勧めて、ディスカウントがあればその差分をお気に入りのチャリティーに寄付する。

今回の資金調達の前には、同社は80社のエンタープライズや中級店、小規模小売店、そしてH&MやTom BradyのTB12、Seedlip、Terezなどのブランドを顧客にして、4万あまりの個人ユーザーを累積していた。そしてCEOで創業者のAndrew Forman氏によると、昨年の転換以来、同社は1100団体のチャリティへの寄付のために100万ドルあまりを動かしている。

Shopifyにローンチしただけだが、Forman氏によると、それによりShopifyを利用してお店を出している170万のりテイラーにアクセスできる。Givzが主張する運用原則は「寄付をベースとするマーケティングは一貫してディスカウントよりも成績が良くて費用も少なく、企業のマーケティングに新たな魅力を加える」、という考え方だ。Forman氏は、こう説明する: 「私たちが作っているのはマーケティングの新しいカテゴリーであり、その過程で、最大の持続可能な慈善的贈与のプラットホームが作られている」。

Givzの使い方の例として、Tervisを取り上げてみよう。ここは顧客に、こんなオファーをしている: 「ショッピングで50ドルお払いになると、お好きなチャリティに贈る15ドルをもらえます」。

Forman氏によると、「同社はGivsの技術を利用して顧客が好きなチャリティを選べるようにし、何百ものチャリティに簡単に寄付ができるようにしている。これによってWebサイトのコンバージョンは20%上がり、このオファーのおかげで平均注文単価も17%増えている」、という。


画像クレジット: Givz

現在、Givzの社員は8名だが、来年は倍に増やしたいと言っている。今回の資金の主な用途は、したがって雇用と、自社のマーケティングだ。「私たちが集めている消費者のビヘイビアのデータの有効利用も探求したい」、とForman氏は言っている。

「短期的には、GivzはShopfy上のD2Cブランドの成長に注力したいと思っているが、大きなエンタープライズやエンタープライズ級のりテイラー、それに金融機関とのユースケースもうまくいっている。今後力を入れたいのはレストランとゲーム業界、それとグローバルな拡張だ。私の考えでは、個人化された寄付を利用して消費者のビヘイビアを刺激していくやり方には、特定の業種業界や地球上の地域に限定されない、無限のアプリケーションがありうる」。

EniacのパートナーであるVic Singh氏によると、今はさまざまなブランドが、社会的な意識のある消費者をターゲットにしていくいろんな方法を実験している、という。Singh氏は曰く、「Givzの寄付を契機とするマーケティングのプラットホームは、ブランドにとって、社会的意識のある消費者を惹きつけ、同時にブランドイメージを上げる最良の方法だ。従来の単純なディスカウントよりも、在庫の動きが良くなり受注単価も大きくなる」。

AccompliceのTJ Mahony氏によると、彼とSingh氏はどちらも、中小企業や中小店がマーケティングの新しいカテゴリーとして台頭してくると信じている、 AttentiveやPostscriptもそれを感じて早期から投資している、という。

「二人とも、Givzと同じ商機を見ているんだ。ディスカウントというマーケティングのよく使い込まれた筋肉があるが、それは今や、ブランドや利益や顧客の期待にとって有害だ。ディスカウントに代わるものとして、インパクトが継続するマーケティングが主流になり、マーケターたちは、心のこもった永続性のある贈与の戦略を軸に、チームと予算を組んでいくだろう」、とTJ Mahony氏はメールで言っている。

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: AnastassiiaGetty Images

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TechCrunch Japan

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