ディズニーが動画配信事業を再編、国際的戦略のハブとなる新グループを設立

Disney(ディズニー)は米国時間1月19日、D2C(消費者直接取引)の動画配信事業を、よりグローバルな市場に拡大する計画を発表した。そのために新たにインターナショナルコンテンツ&オペレーション部門を設立する。このグループを率いるのは、約25年前からディズニーで働くベテラン、Rebecca Campbell(レベッカ・キャンベル)氏で、ディズニーの動画配信サービスのための現地および地域向けコンテンツの制作に注力するとともに、ディズニーの国際チームを統括する。この新しい役職は、ディズニーのBob Chapek(ボブ・チャペック)CEO直属となる。同社は今回、現在の動画配信サービスの展開状況とDisney+(ディズニープラス)の2023年の見通しについても最新の情報を発表した。

ディズニーによると、2021年度末時点で、Disney+、ESPN+(イーエスピーエヌ・プラス)、Hulu(フールー)の加入者数は合計1億7900万人だったという。同社は2023年度までにDisney+の配信国数を2倍以上の160カ国以上に増やすことを計画している。

インターナショナルコンテンツ部は新たに設立されたものだが、ディズニーによると、同社の動画配信サービスのために制作・開発されている現地・地域向けタイトルは、すでに340以上にのぼるという。この数は時間とともに増えていく予定であり、これまでインターナショナルオペレーションおよびD2C担当のトップを務めていたキャンベル氏は、同時にインターナショナルコンテンツのパイプラインの拡大に注力していく。拡大した役割の中でも、キャンベル氏は引き続きアジア太平洋地域、欧州・中東・アフリカ地域、インド、ラテンアメリカの海外チームにも参加する。

インターナショナルコンテンツ&オペレーショングループの設立により、ディズニーは、スタジオコンテンツ、ジェネラルエンターテインメントコンテンツ、スポーツコンテンツの各グループに加え、コンテンツ制作のための第4の拠点を持つことになる。この新グループの追加は、Netflix(ネットフリックス)などライバルに対抗するために、動画配信分野でグローバルな事業基盤を確立することの重要性を示している。Netflixはインドなど一部の市場で加入者を獲得する方法を模索していて、最近では値下げを余儀なくされている。HBO Max(エイチビーオー マックス)も国際的な事業展開に目を向けており、最近は欧州の一部でサービスを開始した。

国際的なコンテンツハブの新設に加えて、ディズニーは動画配信事業の他の部分も再編成した。

Huluの新社長には、Disney+のマーケティング&オペレーション担当EVPだったJoe Earley(ジョー・アーリー)氏が就任した。同氏は、Disney+、Hulu、ESPN+、Star+をグローバルに担当するDisney Streaming(ディズニー・ストリーミング)の新社長に昇格したMichael Paull(マイケル・ポール)氏の直属となる。ポール氏の前職であるDisney+の社長はまだ任命されていない。新しい役職では、ポール氏はDisney Media & Entertainment Distribution(ディズニーメディア&エンタテインメントディストリビューション、DMED)の会長であるKareem Daniel(カリーム・ダニエル)氏の直属となる。

「ディズニーの消費者直接取引の取り組みは、わずか数年の間に驚異的なペースで進展しており、我々の組織は野心的なグローバルストリーミング戦略を支えるために成長と進化を続けてきました」と、チャペック氏は今回の組織変更を発表した声明の中で述べている。「レベッカは、当社のグローバルプラットフォームの拡大を指揮する重要な役割を果たしてきました。今回、新たにインターナショナルコンテンツグループを率いることになった彼女は、その専門知識と才能を活かして、当社の動画配信サービスに増加する現地・地域向けオリジナルコンテンツのパイプラインを監督するとともに、引き続き当社の国際的な事業を先導してくれるものと期待しています。同様に、消費者へのサービスに絶え間なく注力しているカリームは、当社の動画配信事業をディズニーの次の世紀に向けて展開していくための比類ない能力を備えた、業界をリードする経験豊富な経営陣を育成しています」。

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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