デジタル・デトックスは一人でやるべきではない


私はここ数年間で初めて、インターネットも携帯電話もない時間を72時間過ごした。一部の人々がデジタルデトックスから得られると主張する人生を変える霊感こそ体験しなかったが、今私は、数多くの非常に有意義な人間関係を楽しんでいる。それは、何千マイルも離れた何十もの人のアバターとの浅薄な対話に、周期的に誘惑される中では決してあり得なかったことだ。人と接していると、YouTubeよりも楽しいようには思えなかった会話の意味をいやでも見いだすようになることを私は学んだ。

ネットを離れるとよいアイデアが浮かぶ、などというまやかしを私は信じない。世界の情報はわれわれを知識豊富で創造的にする。しかし、インターネットは友情を与えてはくれないし、人が誰にも話したことのないアイデアを発見するのも助けてはくれならない。

先週私は、山中で続けて行われた2つのビジネスカンファレンスに参加して、「一人でデトックスしてはならない」仮説を試す機会を得た。一番目のSummit Outsideは、若い起業家800人が集まる招待制のロックフェスティバル風会合でユタ州の山間部で行われた。完全にインターネットから切り離された参加者たちは、テントで寝泊まりし、乗馬をしたり満月の下で一流DJにそってダンスをしたり、スピリチュアルなテーマの講演に参加したりした。

私はSummit Outsideで、これまでのどのカンファレンスよりも多くの友人とビジネスのアイデアを手に入れた。その中には何年も前から知ってはいたが、あまり好きではないと思っていた人も何人かいた。その一方で、日頃テク系ジャーナリストを疫病神のように避けているCEOや投資家は,居心地の悪い会話を強制された結果予想外にすばらしいアイデアにつながった。

インターネットは人びとを甘やかしてきた。ごくわずかでも退屈や不快の兆候があると、われわれはインターネットに逃避する。現代社会はエレベーターピッチの連続だ。良い第一印象を与えられない友達やプロジェクトは候補から弾かれる。

事実、Summit Series自身、最高のビジネス関係は友情から始まるという理論に基づいて、企業として成功した。2008年以来、Summit Seriesは、ソーシャルをテーマにした高額な年次カンファレンスを主催してきた。クルーズシップ、スキーリゾートなどで開催されるSummitカンファレンスには、カリブでサメを追いかけるなどのクレイジーなアトラクションや、リチャード・ブランソンやビル・クリントンなどの一流スピーカーによる講演もある。今やSummitは4000万ドルの資金を調達し、ユタ州エデンに山を買い大いなる目的のための拠点を建設している

もちろん、その贅沢で半ば排他的なネットワークによるカンファレンスが万人向けでないことは百も承知だ。何年にもわたって山ほどの批判がなされている豊かな人びとが豪勢な場所でパーティーしながら世界を救うことについて話すことの一種の皮肉は私も理解している。そして、実際に世界に 影響を与えることに関しては、言動の方が行動よりも多い。このカンファレンスは、大きく目を見開いた理想主義者たちにアピールすしている。

それでもSumiit Outsideは、週末ネットから離れていても世界が崩れ落ちてこないことを私に教えてくれた。デジタル過負荷を感じている多くの人たちと同じように、私も脱エレクトロニクス休暇を計画している。しかし今の私は、デトックスは一人でやるべきでないことを知っている。少なくとも半数が知らない人や一緒に出かけようと考えたことのない人たちと共に、キャンプ旅行を開催するつもりだ。私は、体験とランダムさの力を過小評価してはならないことを学んだ。

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投稿者:

TechCrunch Japan

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