データサイエンティストが社内全体とデータを共有するプロセスをシンプルにするHexが6.1億円調達

企業がデータの活用を推進し、データサイエンティストを増員する一方で、そのデータの共有することには障害がつきまとう。コピー&ペーストや手作業が多すぎるのだ。新しいスタートアップ企業のHexは、合理的でエレガントな方法で社内全体にデータを分配する方法を提供することにより、この状況を変えたいと考えている。

米国時間3月31日、Hexはシード投資550万ドル(約6億1000万円)を調達したニュースとともに、この製品を限定的なベータ版からより広く一般に公開すると発表した。このラウンドはAmplify Partnersがリードし、Box Group、XYZ、Data Community Fund、Operator Collective、およびさまざまな個人投資家が支援した。同社は2020年7月にこのラウンドをクローズしたが、今回初めて公表した。

共同創業者兼CEOのBarry McCardel(バリー・マックカーデル)氏は、企業がよりデータドリブンになり、データサイエンティストやアナリストを急ピッチで採用していることは明らかだが、データの共有をめぐる問題があり、それは彼と共同創業者たちがPalantirで働いていたときに身をもって体験したことだと語った。

そこで彼らは、データセットを扱うデータサイエンスチームに比べると分析的・技術的な知識が少ない組織内の他部門とデータを共有するための専用ツールを開発することにした。「当社は、データサイエンティストが自分たちのデータに接続し、ノートブックで分析し、研究することを非常に簡単にしました。【略】そしてその成果を、誰もが利用できるインタラクティブなデータアプリとして共有できるようにしました」とマックカーデル氏は説明してくれた。

データサイエンティストの多くは、Jupyterのようなオンラインノートブックでデータを扱い、SQLクエリを作成したり、Pythonコードを入力してデータを整理したり、グラフを作成する。Hexは、SnowflakeやAmazon Redshiftからデータセットを取り出し、簡単な方法でデータを操作してフォーマットし、チャートやデータセットなどのコンポーネントをノートブックのページからドラッグ&ドロップすることで、他の人と共有できるようなアプリを非常にすばやく構築することができる、スーパーチャージされたノートブックを開発しているのだ。

画像クレジット:Hex

このスタートアップは共同設立者のマックカーデル氏、CTOのCaitlin Colgrove(ケイトリン・コルグローブ)氏、アーキテクチャー担当VPのGlen Takahashi(グレン・タカハシ)氏を含む9名の社員で構成されている。「当社は早い段階からチーム作りに力を入れ、多様性のあるチームを作ることに努めてきました。今日、エンジニアリングチームの過半数が女性というのは、私にとって初めての経験です」とコルグローブ氏は語った。

彼女はまた、数少ない女性創業者の1人でもある。Silicon Valley Bank(SVB)が2020年に発表したレポートによると、女性創業者の数は増加の傾向にあるものの、米国のスタートアップ企業のうち女性創業者が少なくとも1人いるのは28%に過ぎない。それは、2017年の22%から上昇した。

Hexは2019年末に設立され、創業者たちは2020年の大部分を製品の構築とデザインパートナーとの共同作業に費やした。彼らは少数の有料顧客を抱えており、これからそれを拡大しようとしている。今のところ、顧客はHexチームと協力して作業を進める必要があるが、2021年後半には製品をセルフサービスで使えるようにすることを計画しているという。

Hexを早期に導入した企業には、Glossier(グロシエ)、imgur(イメージャー)、そして学費支援スタートアップのPaveなどが含まれる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Hex資金調達データサイエンス

画像クレジット:dowell / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

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