データセンターが通信事業を行うプラットホーム2600hz, ついに19世紀型電話会社の終焉へ

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2600hzは、データセンターで本格的な通信事業をやろう、という動きの一環だ。別の言い方をするとそれは、われわれの世の中を過去100年あまり支配してきた電話システムを分解して、墓場へ送ることだ。そのために2600hzなどの企業が今、クラウドから提供するリッチな機能によって、これまでの主流だった(固定でもモバイルでも)電話会社の機械的システムを陳腐化しようとしている。そう、携帯も含めて、これからは専用電話機/電話回線というものが、要らなくなる。

2600hz社は、ソフトウェアをオープンソースにしているので、誰もが電話サービス(のような音声通信サービス)や、そのほかのWebアプリケーションを構築できる。それは仮想化をベースとする技術なので、どんな種類のインフラストラクチャの上でも動く。

2600hzのチームによると、同社の提供物は、高価なプロプライエタリなIP製品(専用ハードウェアと専用ソフトウェアのセット)と、第一世代オープンソーステクノロジの中間ぐらいに位置している。高価なプロプライエタリの代表格がたとえばBroadSoftで、それらはワンセットの私企業製品だ。一方Asteriskなどはオープンソーステクノロジの代表格で、顧客が自力で音声サービスを構築できるようなPBXソフトウェアを提供している。中小企業での小規模な採用が多いが、スケーラビリティの乏しさがよく批判される。

これらに対して2600hzのKazooプラットホームは、一連のオープンなAPIからできていて、顧客はそれらを使って、音声などのシンプルなサービスを提供したり、ルーティングのような複雑な機能を実装でき、ユーザ数数万までのスケーラビリティを持つ。主に、2600hzが再販業者に売って、後者がエンドユーザにサービスを売る、という形だ。再販業者はたとえば、通信企業のネットワークを使ってSMSサービスを提供したりする。

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2600hzのソフトウェアはデータセンターで動かされ、単純な電話交換機以上の機能を発揮する。電話交換機は、でっかい無味乾燥な建物に収められていた(いる)巨大なハードウェアで、19世紀のシステムだ。そういう伝統的な電話システムはユーザに分単位で課金するが、データセンターモデルでは時間ではなくデータの使われ方で料金が決まる。2600hzのソフトウェアはどんなデータセンターでも動かせるから、顧客はサービス質や料金などで通信企業のネットワークを選ぶことができる。たとえば2600hzのソフトウェアを使って非公開のビデオネットワークを開発している企業は、合衆国向けにはAT&Tのネットワーク、ドイツではVodafoneを使える〔AT&T等の電話サービスではなく物理ネットワーク〕。

通信企業も、2600hzのソフトウェアを使って自分のネットワークをプログラマブルにできる。つまり、電話に限定されず、オープンなAPIを使って独自のサービスを提供する。今の通信企業のインフラは、70年以上も経っている古いものが多いが、それらを自社のデータセンターにおいて、2600hzのソフトウェアでリプレースできる。あるいは、そのほかのデータセンターを使ってネットワークの供用域を拡大することもできる。

既存の通信企業は、その大きな物理ネットワークが今後も利用価値があり、したがって2600hzは彼らと共存する。デベロッパたちがそのネットワークにフィードし、全体として善循環が形成される。

以上はきわめてクールだが、BroadSoftなど既存の企業は脅威だ。彼らのサービスは高価だが、自分のプラットホームを作ることに関心のない顧客のニーズにはマッチしているからだ。

それに、社名はどうだろう? ハッカーたちが2600hzという名前を見たら、それは通信企業のネットワークの上で無料通話のできる周波数のことか?と思う。それは、若き日のSteve WozniakやSteve Jobsの得意技だった。Wozniakはある日、Henry Kissingerのふりをしてローマ法王に電話をしたことがある。ただしそのとき法王は昼寝をしていて、電話に出られなかった。

電話、というか音声通信にインターネットを使う人は、これからもますます増える。そしてその費用は次第に、低減する。最終的には通話料は無料になり、Wozらの時代のハッカー文化がついに世の中を支配するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))