トヨタ自動車がオンデマンド配車サービスを推進するためにUberと提携し、5億ドルを投資したことが明らかになった。この提携では、ミニバンのトヨタ・シエナにUberが開発した自動運転装置を付加し、Uberのネットワークを通じて実用に供するという。
Wall Street Journalが最初に報じ、続いてTechCrunchも確認したこの契約で異例なのは、まだ名前を明かされていないサードパーティーの大規模自動車運用者が加わっていることだ。このサードパーティーは大量の自動運転車を運用する予定だ。関係各社によれば、2021年にUberの配車ネットワークを通じて実際の運用のパイロット・モデルをスタートさせるという。
CEOのダラ・コスロウシャヒは月曜午後に発表された声明で「大規模な自動車運転車の配車はUberにとって初めての試みとなる」と述べた。これは「なんでもまずやってしまって後から謝ればいい」というUberのこれまでのイメージを改善するために役立つだろう。無鉄砲なスタートアップという悪いイメージは3月の自動運転車の死亡事故などが典型だ。
コスロウシャヒは「Uberの進歩したテクノロジーとトヨタ安全性の確保におけるコミットメントと卓越した製造能力の組み合わせは理想的なものだ。このチームがどんな業績をあげられる大いに期待している」と述べた。
このチームでは「自動運転によるモビリティー・アズ・ア・サービス」という意味でAutono-MaaSという言葉を作った。
トヨタ(アメリカにおける研究部隊、TRI(Toyota Research Institute)を含む)や自動運転車の普及戦略は他社とは異なる。トヨタはドライバーの安全性を高めるガーディアン・テクノロジーと乗客の利便性を図るショーファー・テクノロジーという2種類のアプローチを採用している。ただしどちらのテクノロジーも一連のグループに属する。
トヨタでは高齢者やハンディキャップがある人々向けに完全自動運転車を提供する一方、運転アシスト・モードと完全自動運転モードを随時切り替えて使用できる通常の量産車の製造を目指している。ガーディアン・テクノロジーはドライバーが気づかないうちにバックグラウンドで安全性を強化する。
トヨタのTRIは去る2017年3月に第1世代の自動運転車をデビューさせた。数ヶ月後に発表されたアップデート版、Platform 2.1車両は。シリコンバレーのスタートアップLuminarが開発した小型軽量で対象認識、測距が可能なレーダーシステムを搭載している。
今回の提携合意でUberの自動運転システムとトヨタのガーディアン・テクノロジーの双方がAutono-MaaS車両に搭載され自動運転の安全性の強化に貢献することになる。
トヨタはではさらにインターネット接続車両の安全性を高めるMSPF(モビリティー・サービス・プラットフォーム)と呼ばれる情報インフラを提供する。
TRIのCEO、Gill Pratt博士は「Uberの自動運転システムとトヨタのガーディアン・テクノロジーはそれぞれ独自にリアルタイムで車両が置かれた環境をモニターする。これにより車両、ひいてはドライバーの安全性が強化される」と述べている。
トヨタはこれ以前にもUberと関係を持っていたが、今回の提携によるほどの密接なものではなかった。トヨタはモビリティー企業を目指しており、今年1月のCESで、AmazonやUber、中国の配車サービス、Didi、自動車メーカーのマツダ、ピザチェーンのピザハットなどとともに人間や商品を運ぶ自動運転電気車両の開発を進めていくとことを発表している。この提携により、モジュラーコンセプトに基づくe-Palette車両による幅広い分野での実用化が期待されている。
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