2020年の東京オリンピック、パラリンピックではさまざまな競技に何十万もの人々が集中することが予想されている。東京の交通インフラは厳しい試練にさらされることになる。トヨタ自動車は競技を観戦するために都市内を移動する大勢の人々にどのような手段をすべきかという難問に解を与えようと努力中だ。
先週、トヨタは東京オリンピックに向けて、APM(アクセセシブル・ピープル・ムーバー)と呼ばれる交通システムを作る計画を明らかにした。トヨタによればAPMの目的は、あらゆる人々にモビリティを提供することにあるという。高齢者、ハンディキャップのある人々、妊婦、子供連れに家族などこれまで公共交通機関を利用しにくかった層にも容易に利用できる交通手段を提供し、いわゆるいわゆる「ラストワンマイル」問題を解決することが目的だ。
トヨタではオリンピック施設を中心に200台のAPMでネットワークを構築する計画。これには通常の移動手段となる「基本モデル」と体調不良となった人々むけの「救護モデル」が準備される。基本モデルはバッテリー駆動の比較的低速な電気自動車だ。乗客は観衆と競技スタッフを対象としており、競技施設周辺での比較的短距離の移動を目的とする。乗車定員はドライバーを含めて6名だ。乗客が車椅子を利用している場合はシートを畳むなどして座席配置を変え、2列目が利用できるようにする。
「救護モデル」は救急車に近く、熱中症で倒れるなどした人々を搬送することを念頭に置いている。座席を取り払ってストレッチャー2台を置くスペースを作ることができる。
これらAPM車両はトヨタが2020年のオリンピック向けに準備しているさまざまな新しいモビリティ・システムや一例に過ぎない。トヨタは介助ロボットや e-Palette車両などが含まれる。e-Palletteは人やモノの輸送だけでなく、構成要素を柔軟に組み換えることによって物販など多目的に活用できるMaaS(モビリティアズアサービス)を目指している。
この他トヨタでは2017年にタクシー用車両の新型モデル、JPN Taxiの販売を開始している。これは従来のセダン型とは異なる1.5ボックス・デザインで車椅子が利用できるのが特長だ。Toyota i-ROADは立ち乗り専用の前2輪、後ろ1輪のユニークなデザインの三輪車だ。これは警備や案内などのオリンピックのスタッフをターゲットしているという。
トヨタでは東京の湾岸や羽田空港周辺など、道路の整備状態が良好な地域で自動運転車の実証実験を行う予定だ。またTOYOTA Concept-iでは人工知能を利用して人間を認識し対話が可能な自動車もテストされる。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)