ドラレコの映像からリアルタイムの都市のデジタルツインをつくるNexar

スマートドライブレコーダーで知られるNexarが、Qumra CapitalがリードするシリーズDのラウンドで5300万ドル(約60億4000万円)を調達した。その資金の一部は、クラウドソーシングで一般から提供されたドライブレコーダーの映像から作られ、自動車のOEM各社や都市に提供される、同社の「デジタルツイン」サービスの拡張に充てられる。

このラウンドにはState Farm VenturesやCatalyst、Banca Generali、Valorおよび以前からの投資家であるAtreides Management、Corner Ventures、Regah Ventures、Alephが参加している。

「Nexcarを始めたときから、物理的世界のGoogleになるというビジョンを持っていました。その後、多くのマシンやアルゴリズムが世界に関するデータを必要とするようになり、いずれビジョンどころか必要になると信じています」とNexarのCEOであるEran Shir(エラン・シール)氏は述べている。

Nexarのプロジェクトへの本格的な取り組みは、2019年に立ち上げた「Live Map」で始まった。サービスは、道路のリアルタイムの映像を提供し、コンピュータービジョンを使って工事や標識などの特徴をユーザーに教える。その後Nexarは、このサービスが提供する情報の層や特徴を増やしていった。2015年に創業された同社は、今では毎月1億5000万マイル(約2億4000万km)の道路映像を所有している。

今度の資金はデータの利用しやすさの向上と、ドライブレコーダーからの映像の更新サイクルを数秒に短縮して事故や道路陥没などをすばやく見つけることに使われる。たとえば、ネバダ州南部地方交通委員会はNexarのCityStreamプラットフォームを利用して、工事現場とその前後の交通量を減らしている。

また、シール氏によると、その特徴検出能力により、災害時の道路状況を早く把握可能、冬季には除雪済みの道路がわかるという。

都市行政だけでなく、この映像は自動車企業にも役に立つ。「あなたが自動車関連のOEMなら、Nexar CityStreamの『Autopilot or Supercruise(自動操縦または超高速走行)』を有効にして、障害物や事故や工事などがまったくない、長い道路区間を知ることができる。逆に工事があるときは、終了時にそれらの機能を再有効にできる」とシール氏。

Nexarのデータは、例外的な現象や衝突、異常な道路状況などを見つけられるため、自動運転車のシステムで使われるAIのモデルの訓練にも利用できる。

さらにシール氏は「3年から5年後の自動車がどうなってるか考えると、どれも自律性が極限まで達しているでしょう。そうなると、新しいタイプの地図が必要なはずです。私たちがこれから進んでいく未来には、Googleマップのような地図はもはや役に立たないでしょう」という。

画像クレジット:Nexar

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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