誰もが空飛ぶ芝刈り機ドローンを手にするようになって事態は急速に悪化しつつある。今年のクリスマスにはこれまでにない数のクアドコプターが売れ、それにともなって近所の空港(国際空港だろうとおかまいなしに)や観衆で満員のスタジアムの上空にドローンを飛ばそうとする愚か者が大勢出ることだろう。
その種の愚行とアメリカの大衆が漠然と抱くあらゆるドローンに対する反感とがあいまって、近くクアドコプターその他のドローンの運用を規制する規則が制定されてることになりそうだ。それ自体はけっこうなことだ。現在のFAA(連邦航空局)のドローンに対する規制には不明確な点が多々あって、一日も早く明確化されることが望ましい。
長い間、ホビイストは誰にも規制されることなく無線操縦のモデル機を自由に飛ばしてきた。そもそもリモコン・モデル機は操縦も難しければ価格も高く、絶対数が少なかった。ホビイストのほとんどは良識ある人々で、AMA(モデル航空機協会)が定めるガイドラインを守っていた。
しかし今日では、ジンバルにセットされたHDカメラを搭載する強力なクアドコプターが1000ドル以下で手に入る。操縦には特に技量は必要ない。誰でも鮮明な空撮ビデオが撮影できる。すごい進歩だ。私自身もドローンを飛ばして楽しんできた(クラッシュさせたことも何度かある)。 しかし(特にアメリカでは)、「ドローン」という言葉を聞くたびに飛び出してきてケチをつけようという勢力も台頭してきた。Drudge Report(センセーショナリズムのお手本)はドローンがらみのホラーストーリーを これでもかというほど掲載している。
FAAは近く、ドローン規則の最初の素案を公表する。これは主としてドローンの商用利用を規制するものとなる。もちろん誰も新たな規制や規則を欲しがるものはいないが、私としてはドローンで何が出来て何ができないのかをそろそろ明確にさせるべき時期だと考えている。たとえば家を売りたい人が小さなDJI Phantomで建物を空中撮影するのも法的にはグレーゾーンだ。現在準備されているFAAの素案はかなり厳しい制限が課せられる(操縦免許、1機について1人の操縦者、等々)もののようだが、FAA案が公表されれば、広く討論が行われることになるだろう。しかし、現在のドローン規制があまりに漠然としており、不明確なせいで新しいドローンの開発をためらっているスタートアップは数多い。FAAの当初案の規制がいかに厄介であっても、なにができるかの明確化の第一歩としては評価しなければならないだろう。
不注意なホビイストが一人いるだけで全員が迷惑を被ることになる。規則が制定されないままに、深刻な事故が一件でも起きたら終わりだ。.
というわけで今年のクリスマスに向けてクアドコプターを買う皆さんは、箱を開けたら機体を抱えていきなり表に駆け出さず、まずはAMAの全国モデル航空機安全基準を熟読してもらいたい。ここには最高高度は400フィートであること、空港から3マイル、他の人々から100フィート離れねばなないことなど基本的なルールが書かれている。 次にこの地図を開いて自分の位置を確認すること。影がつけられたエリアはドローンの飛行が禁止されている。国立公園内もドローン禁止だ。マンハッタンのどまんなかでドローンをクラッシュさせて逮捕された愚か者の真似をしないように。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)