本日、ニコチン依存症向けの治療アプリを製作するキュア・アップがBeyond Next Venturesから約1億円を調達したと発表した。今回TechCrunch Japanは、キュア・アップの代表を務める佐竹晃太氏に話を聞いた。キュア・アップは、佐竹氏が2014年7月に立ち上げたスタートアップだ。佐竹氏は呼吸器内科医として日本赤十字社医療センターなどに勤めた経験のある医師でもある。また上海の中欧国際工商学院でMBAを取得し、さらには米国のジョンズ・ホプキンス大学で医療インフォマティクスを修めている。
キュア・アップは医薬品や旧来の治療方法ではなく、患者の身近にあるスマートフォンを治療の一環に取り入れるアプリを開発している。現在着手しているのは、慶応義塾大学呼吸器内科学教室と共同開発している「CureApp禁煙」アプリだ。このアプリは現在、医療機器として承認されるための臨床試験を行っている最中だという。「アメリカでは医療にITを活用することが進んでいて、医療とITを組み合わせたサービスの効果が実証されています」と佐竹氏は言い、キュア・アップのアプリでも高い効果が得られるよう開発を進めているという。近い将来、患者が禁煙外来を受診すると、処方の一環としてアプリが提供できるようになることを目指している。
アプリの仕組みとしては、患者はその日の体調をアプリに登録すると、アプリに組み込まれたアルゴリズムが医師の代わりに入力した情報と患者の禁煙ステージを鑑みて、適切な医療情報やガイダンスを提供するという。ガイダンスの具体的な内容について佐竹氏は言及しなかったが、アプリは診療行為を担うと強調する。患者の担当医師は、患者がアプリに登録したログを確認することで体調の変化を知り、治療計画の策定に役立てることができるそうだ。
「スマートフォンを介した治療により、これまで病院の中でしか提供できなかった医療を患者がどこにいても届けられます」と佐竹氏は言う。これまでのヘルスケアアプリの多くは病気の予防に特化したものが多かったが、キュア・アップは治療に特化したものを提供していくそうだ。
Apple端末のヘルスケアアプリやNoomなどの食生活や運動をトラックできるアプリが普及し始め、ヘルスケアの分野に注目が集まっている。ニコチン依存症を含め、うつ病などの精神疾患、あるいは糖尿病やパーキンソン病などの慢性疾患は長期に渡る体調管理が治療にとって重要だ。今後もモバイルやウェブを活用し、便利でそれぞれの患者に応じた医療サービスが登場してきそうだ。