ニュース媒体向けGoogleアナリティクスツールに読者を増やすためのリコメンデーション機能などが加わる

Google(グーグル)が、ネット上の読者をもっとよく理解し、なんとか自分のビジネスに組み入れたいと思っているニュース制作部門のための新しいツールを発表(Google News Initiative Training Centerリリース)した。

これらは、2018年に始まったGoogle News Initiativeに含まれるもので、上質なジャーナリズムを育て、ニュースを産業として支援するためのものだ。同社はGoogle Analyticsを利用するジャーナリズムにフォーカスした2つのプロダクトを導入。1つはパブリッシャーが読者を増やして利益を上げるためのツール「News Consumer Insights」、もう1つはニュースルームのユーザーがさまざま時点のトレンドを知るための「Realtime Content Insights」ツールだ。

グーグルでニュースと出版のためのアナリティクスと収益最適化部門を担当しているディレクターを務めるAmy Adams Harding(エイミー・アダムス・ハーディング)氏によると、「『ニュースの世界の人たちは膨大な量のデータに溺れそうになっている』という話を何度も聞いている。彼らは数の津波の中で具体的なアクションに結びつく情報を選り分けることが困難と感じている」とのこと。

同氏は「Google Analyticsを使っている人なら誰でもアクセスできることが、チームにとって 『重要』だった」と付け加えた。

米国時間6月24日に同社は、News Consumer InsightsとRealtime Content Insightsのバージョン2をリリースし、さらに、News Tagging Guide(NTG)と呼ばれる新たな機能を加えた。

画像クレジット: Google

NTGは、パブリッシャーが必要なデータを容易に集められるようにする。そのためにまず、データを3つのカテゴリー、ビデオのアナリティクスとユーザーのエンゲージメント、そして購読売上に分類する。パブリッシャーがカテゴリーと必要なデータタイプを指定すると、グーグルがJavaScriptのコードを発行する。パブリッシャーがそのコードを自分のウェブサイトにコピーすると、Google Analyticsに関連のデータが入ってくるという流れだ。

一方のNews Consumer Insights(NCI)は、パブリッシャーのためのパーソナライズされたリコメンデーションが加わった。例えば、パブリッシャーのニュースレターの申し込みが増えてないと指摘し、読者を増やすさまざまな方法を提案する。ハーディング氏は「NCIのリコメンデーション機能は前からあったが、パブリッシャーがたえず一般的なプレーブックに戻らないと見つからないし、単純にデータを見ているときにもっとも適切なリコメンデーションが高輝度表示されるのではなかった」と語る。。

そしてRealtime Content Insightsは、ビデオコンテンツの場合と同じようなデータが含まれるようになるほか、パフォーマンスの履歴も見られるので各記事の一定期間の人気、そしてその順位がわかる。基になるデータはページビューだけでなく、ソーシャルな共有とエンゲージメントなども含まれ、記事の人気を通りすがりの読者と定着読者(1カ月に複数回訪問)、および愛着読者(月に15回以上)に分けて判断できる。

グーグルでNews Consumer InsightsとRealtime Content InsightsとGoogle Surveys for Publishersを担当しているAnntao Diaz(アンタオ・ディアス)氏は「記事に優劣をつける気はない」と語る。同氏によると「むしろ重要なのは、どの記事がどんな読者を引き付け、どんな目的に役立っているかだ。そういった記事は全体的な読者増に貢献し、今後のサブスクリプションにもつながる固定客(定着読者や愛着読者)を増やすだろう」と語る。

グーグルはすでに、TIME誌や、地方紙を発行しているLee Enterprisesなどとともに、これらの機能をテストしてきた。Lee Enterprisesのアナリティクス担当ディレクターであるKyle Rickhoff(カイル・リッホフ)氏は、声明で「Lee Enterprisesは新聞業界の中でも読者層が増え続けているほうだ。そんな中でGoogle News Initiativeとのパートナーシップは、我々の成績を定量化して判断するための優れたインサイトを提供してくれる。News Tagging Guide機能が加わったNews Consumer Insightsのニューバージョンは、読者のエンゲージメントに関する理解をより正しくし、ビデオやエンゲージメントのコンバージョン、よりよいデータによるオンサイトのサブスクリプションなど、さまざまなビジネス機会の優先順位をより正しく付けられるようにしてくれた」と語る。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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