1992年、ニンテンドーはマリオペイントを発売した。スーパーファミコンのタイトルの中でも異色の存在だ。それまでのマリオシリーズも、多彩なバラエティを誇っていたが、これは中でも際立っていた。マウスという、もっともニンテンドーらしからぬ入力装置が付属していたという1点だけを取っても、それがわかるだろう。
そして、ゲームで遊ぶことよりも、お絵描き、音楽、アニメ、といった創作に焦点を当てていたものだった点でも特異な存在だった。このタイトルは、ゲームというものの中に潜む創造的な側面をざっと垣間見させてくれた。そして若年のプレーヤーにとっては、自分でゲームを作るということが、どんな感じのものであるかを味あわせてくれる存在だった。
2015年に登場したスーパーマリオメーカーは、スピリットとしてはマリオペイントの続編に相当するものだった。最初はWii Uで、後には3DSでも動くようになったこのタイトルは、ペイントよりも直接的に、マリオの世界を自分で作ることを可能にしていた。オリジナルのスーパーマリオブラザーズの30周年を記念してリリースされ、ニンテンドーの最大の強みを活用して、誰にとってもなじ、み深いシリーズにひねりを加えたものとなっていた。
名前からわかるように、スーパーマリオメーカー2は、スーパーマリオメーカーの直接的な続編だ。想像可能なあらゆる面で、Wii U版の前作の内容を拡張したものとなっている。実際ニンテンドーは、ここ数カ月、ちょっとずつチラ見せしながら、じらすのを楽しんでいるように見える。この6月28日にNintendo Switch版が実際に発売されるまで、おそらくそれが続くだろう。これは、スーパースマッシュブラザーズが登場したときと似たようなアプローチだが、スーパーマリオメーカー2の場合には、スマブラのような隠しキャラではなく、ゲームの特徴とダイナミクスに注力したものとなっている。
先週、ニンテンドー主催のイベントで、私も実際にこのタイトルをプレーしてみた。そのままの状態のゲームプレイだけでも、かなり感動的なものだった。ワールドビルディングの技法は、直感的とは言えないボタンの組み合わせを憶える必要もあり、コントローラーを使いこなすだけでもなかなか難しい。あちこちスクロールさせながらコースを作っていくのは骨が折れる。とはいえ、5分もやっていれば、かなり快適に操作できるようになるだろう。
このタイトルが本当に成功するかどうかは、やはりゲームプレイの深さしだいということになるだろう。1ドルでスマホ用のゲームがいくらでも手に入る時代に、70ドル(日本では5980円)というのは、すんなりと受け入れるのが難しい価格かもしれない。しかし、他のほぼすべてのマリオシリーズのタイトルと同様、スーパーマリオメーカー2は何度でもやりたくなってしまうゲームなのだ。新しいストーリーモードでは、ニンテンドーが最初から用意した100以上のコースを、すぐに遊ぶことができる。また、他の人が作ったレベルを試してみることも可能だ。さらに、サードパーティが作成したステージを使った世界規模の競技に、オンラインで参加することもできる。
マリオシリーズのよさを受け継いで、このゲームも懐かしさと新しいアイデアをうまくミックスしたものとなっている。そして、40年の歴史を持つマリオのゲームプレイに、文字通りプレーヤーを誘うのだ。基本的な構成要素は、これまでのマリオ、つまりスーパーマリオブラザーズ、スーパーマリオブラザーズ3、スーパーマリオワールド、NewスーパーマリオブラザーズU、スーパーマリオ3Dワールド、を巧みに組み合わせたものとなっている。
私のような、昔からのニンテンドープレイヤーの年寄りにとって、ほとんどの部分に親しみが感じられる一方で、目新しい部分もある。スーパーマリオ3Dワールドに由来するネコマリオと透明土管には、ちょっと慣れが必要だった。マリオ、ルイージ、キノピオ、キノピコがチームを組んでレベルをクリヤーする、マルチプレーヤーモードの操作にも、やはり最初は手こずった。
実際にこのゲームで1〜2時間遊んでみたが、それではほんのさわりでしかないことがはっきりと感じられた。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)