任天堂は1月31日、2018年3月期第3四半期決算説明会にて、同社の据え置きゲーム機「ニンテンドースイッチ」が年末商戦で販売台数を大きく伸ばし、現時点では全世界で累計1300万台を突破したことを明らかにしました。今期(2018年3月まで)の販売数量予想は、昨年10月の1400万台から100万台増の1500万台に上方修正されるとのこと。
任天堂はスイッチ売上の好調のみならず、その勢いが最も普及スピードが早かった同社の据え置きハードのWiiと肩を並べるか、地域によっては上回るペースである事実を強調。Wiiが象徴していた任天堂の黄金期が再び到来したことを印象づけています。
すでに1月4日、米任天堂はニンテンドースイッチが北米市場にて発売後10ヶ月で480万台を売上げ、Wiiの400万台を抜いて同社の据え置きゲームハード史上最速の記録を更新したと発表していました。
今回の報告では、北米に合わせてヨーロッパ市場や日本国内市場でのセルスルー(メーカーからの出荷台数ではなく、実際に消費者に販売された台数)推移を公表しています。
いずれの市場でも販売台数を伸ばし、ヨーロッパではWiiと肩を並べ、国内でも「ホリデー商戦にしっかりとした数をお届けすることができ」たとのこと。文面ではWiiとの比較に触れていない日本では、逆にWiiの勢いが凄まじかったと分るのがご愛嬌でしょうか。
続いてソフトについては、発売1年目にして、すでに3タイトルが600万本を超えるセルスルーを記録し、依然として販売を伸ばしているとのこと。
昨年3月発売の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』はスイッチ版だけで600万本、4月の『マリオカート8 デラックス』は650万本超え、10月に発売されたばかりの『スーパーマリオ オデッセイ』は750万本以上もの爆発的な大ヒット。
昨年7月発売の『スプラトゥーン』も450万本を超え、すでに前作のWii U用『スプラトゥーン』を上回っているとか。本体装着率(ハード本体一台に対するソフト販売本数の割合)は約60%にもおよび、スイッチ本体との同梱版が売れに売れたようです。
さらに任天堂は、これら上位4タイトルにつき「早期に複数揃えられたこと」と「本体装着率の高さ」を、グラフを駆使して解説。そこで比較される対象は、かつて1億163万台も売れた自社のWiiであり、同社にとって「Wii超え」が悲願であることが伺えます。
提示されたグラフでは、Wii普及の起爆剤となった『Wii Sports』の装着率が90%近くで、スイッチ勢もさすがに及ばず。とはいえ、これは「米欧市場ではWii本体に同梱して販売」したものだからと、『Wii Sports』の本体同梱分を灰色にして除外した別バージョンも用意している周到さです。
こうした適正化を行うと、『Wii Sports』の純粋な(本体とは別にソフトを買った)本体装着率は20%以下に。『はじめてのWii』は40%台、『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』は30%以下、『マリオパーティ8』も20%以下に落ち着き、スイッチの上位4タイトルを下回っています。
グラフから推測できるのは、スイッチ本体と同時に数本のソフトを買うか、最初のゲームをクリアした後に次々と他のタイトルも買い集めるユーザーの消費行動でしょう。
任天堂が言う「新ハードの立ち上げ時期に、こうしたヒットタイトルが複数生まれたことは、単に特定のソフトが一定数量売れた、ということ以上の意義がある」とは、スマホアプリの隆盛と裏腹に失われていった「据え置きハードのソフトを買う習慣」の復活を意味しているとも思われます。
しかし、発売1年目には絶好調だったWiiが勢いを落としたのは(2009年をピークに、2010年から下降)しだいに魅力的な新作ソフトが不足していったからでしょう。スイッチの今後は、1年目のブームをさらに加速させるタイトルが2年目、3年目に出続けるかにかかっているのかもしれません。
Engadget 日本版からの転載。