GetawayのCEOであるJon Staff(ジョン・スタッフ)氏は、同社の製品はパンデミックを念頭に置いて設計されたものではないが、人々がZoom(ズーム)から離れて家の外で過ごす安全な方法を見つけたがっている時代に適していることがわかった、と語った。
2015年創業のGetawayはアトランタ、オースティン、ロサンゼルス、ニューヨークなどの主要都市から車で2時間以内の素朴な場所に小さなキャビンの集まりである「アウトポスト(前哨基地)」を建設する。こうしたキャビンは社会的に距離をおいて実施するリトリートに最適のように思える。ゲストは自分でチェックインする。各キャビンはそれぞれに専用のたき火台が用意され、他のキャビンから50〜150フィート(15〜30メートル)離れており、共有エリアはない。
スタッフ氏は筆者に、Getawayは従来の観光活動を推進するのではなく、現代生活におけるあらゆるストレスや気を散らすものから離れることを強調しているのだと語った。そのためキャビンにはWi-Fiがない。滞在中にスマートフォンを入れておくことができるロックボックスもある。
「文字通り、ゲストが何もしないようにしています」とスタッフ氏はいう。「自由な時間が十分にあって、もう本当に何もやることがないと言える瞬間が人生にどれほどあるでしょうか。もし何もやることがないなら、パートナーと深い会話を持ち、時間をかけておいしい食事を作り、キャンプファイアーの隣に座っている人々との体験を本当に楽しんでください」。
スタッフ氏は、一部の投資家がキャビンとアウトポスト自体の建設に対するGetawayの主張に懐疑的であることを認めた。「なぜこれはプラットフォームではないのですか。今から1年後に10億ドル(約1050億円)の価値にならないのはなぜですか」とテクノロジー分野のベンチャーキャピタリストと話した時に言われたことを思い出した。一方、不動産業界の投資家候補であれば「どのくらいの超高層ビルを建てたいですか」と知りたがると思われる。
「しばらくの間、私たちはどの箱にも収まらないという不安を抱えていました」とスタッフ氏はいう。「しかし、どの箱にも収まらないことの利点を理解することを学びました。そこには確かにイノベーションがあります」。
Getawayのアプローチは2020年に共感を呼んだようで、予約が前年比で150%増加し、同社のアウトポストはほぼ100%の稼働率だ。同社は米国時間2月8日、シリーズCの資金調達で4170万ドル(約43億6000万円)を調達したと発表した。規制当局への提出書類で最初に明らかになった。旅行とホスピタリティ分野のファンドであるCertaresがリードした。
Getawayは、この資金で2021年には少なくともアウトポストを17カ所にまで拡大する予定だ。2019年は9カ所、2020年は12カ所だった。Crunchbaseによると同社はこれまで合計8100万ドル(約84億7000万円)以上を調達した。
スタッフ氏は、最終的にはGetawayが他の製品やサービスを追加する可能性もあると語る。「このブランドは小さな家やキャビンが重要なのではありません。世界が騒がしく、長い間つながりすぎていたという事実が背景にあります。Getawayはその問題を解決するために他のことにも携わる可能性があります」。
同時に、Getawayが提供したい体験を明確にし、集中することが重要であると同氏は述べた。
「私たちは常に、Getawayで体験を生み出しているわけではないことを自覚しようとしています」とスタッフ氏はいう。「あなたが体験を創造します。私たちがうまく運営しているとすれば、それを促進し、あなたが必要とするすべてのものを提供し、あなたが必要としないものは何も提供しません。あなたがゲストとして望むものを創り出す多くの自由があります。しかし限界もあります」。
「たとえば職場のリトリートのためにGetawayのアウトポストを提供するよう要望されたことがあります」とスタッフ氏は述べたが、アウトポストはそういう風に設計されてはいない。「私たちはそれを取り締まるつもりはありませんが、Wi-Fiを入れるつもりはありません」。
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画像クレジット:Getaway
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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi)