GoogleやFacebook、Twitterといったインターネット広告の出現で、小さな企業や事業部門、スタートアップなどでも比較的低価格で“それなりに”効果的な広告出稿が可能になった今。一方で、マーケティング担当者は広告レポートの作成や、GoogleやFacebook広告の運用の最適化などに追われ、特に小規模な組織では兼務でこうした作業に時間を費やさなければならないことから、本来やるべき分析やマーケティング戦略立案に手が回らない、といったケースも増えている。
こうしたネットマーケティング業務の負荷を、AIの活用によって自動化しようというサービスが始まった。RoboMarketerが1月16日、提供を開始した「Roboma(ロボマ)」ベータ版は、AIによりネット広告のマーケティング業務を支援するクラウドサービスだ。
Robomaは、Facebook、Instagram、Google Adwords、Twitterといったプラットフォームの広告アカウントを連携。連携した広告アカウントのレポートを自動し、費用やCPA(Cost Per Acquisition:ユーザー獲得コスト)などの指標をグラフ化できる。管理画面の閲覧権限を広告代理店やチームに付与することで、レポートの共有も容易に行える。これまでクローズドベータ版として一部企業に限定してサービスを提供してきた。
現状はいわゆるダッシュボードとしての機能が中心だが、今後はデータに基づいてAIアシスタントが運用型広告の最適化をアドバイス。経験やノウハウがない担当者でも最適な運用ができるようになることを目指す。一部のテストユーザーに関してはすでに広告の運用の自動化を行っており、CPAベースで20%の改善が実現した事例もあるという。
「マーケティングの部署は慢性的にリソース不足で、コストセンターとみられることが多い。企業の成長に連れてやることは増える一方だが、その割には人材が全然増えないということもあり、効率化や自動化は絶対に求められる。だが(自社製品と比較すると、マーケティング向けの自社ツールの)開発は後回しになってしまうし、(運用を担当する)代理店も深くは関わらない。(Robomaにより)本来的なブランディング、マーケティング戦略といった『頭を使う』というところに集中できれば」(RoboMarketer 代表取締役の岡崎哲朗氏)
利用料金は、広告アカウント数が1アカウント・広告数100までは月額無料で利用可。3アカウント・広告数500までのベーシックプランが月額9800円、10アカウント・広告数2000までのプロプランが月額2万9800円だ。
またRoboMarketerはRobomaベータ版リリースと同時に、総額約4000万円の第三者割当増資の実施も発表している。引受先はエウレカ創業者の赤坂優氏など、個人投資家だという。
RoboMarketerは、2017年6月の設立。岡崎氏はグリーでマーケティングプロモーションを担当し、海外プロモーションの責任者を務めたのち、スタートアップでのマーケティング責任者を経て起業した人物だ。同社には元ミクシィのマーケターなども参画し、サービスを開発。インターネットマーケティングの最新のトレンドを取り入れ、専門知識がなくても使えるサービスを目指すとしている。
RoboMarketerは今回の調達資金をもとに開発体制の強化を進める。また、将来的には海外でのサービス展開についても検討している。