Waldo(ウォルドー)を紹介しよう。素早く簡単に、開発中のモバイル用アプリのテストが可能なソフトウェア製品だ。ニューヨークを拠点とするこのスタートアップのアプリを使えば、いつも使っているブラウザー上で、普段どおりに開発中のアプリを操作できる。新しいビルドをコンパイルするごとにWaldoは、前回複数のソフトウェアやハードウェアで記録したものと同じテストを実行し、問題なく動作するかどうかを教えてくれる。
アプリ開発者なら、今は次の2つのいずれかの問題に悩まされているはずだ。いくつものスマートフォンをそろえて、それぞれで新しいビルドを実行して検証するのは大変な時間がかかる。アプリの中核的機能を実証するためのテスト用スクリプトを記述するという方法もあるが、そのための新たな苦労が発生し、頭痛の種が増える。
「素晴らしいユーザーエクスペリエンスを生み出しても、そのアプリをテストする方法が時代遅れというのは困ったことです」とCEOのAmine Bellakrid(アミン・ベラクリド)氏は話す。
Waldoは、モバイルアプリ開発の参入のハードルを下げ、小さな開発チームでも、機能やユーザーインターフェイスが自動的にテストできる恩恵が受けられるようにと考えた。これは、技術的なスキルを必要としない「ノーコード」スタートアップという大きなトレンドに沿うものだ。
同社は、Josh Kopelman(ジョシュ・コペルマン)氏が創設したFirst Round Capital主導による投資ラウンドで650万ドル(約7億円)を調達した。このラウンドには以前からの支援者であるMatrix Partnersと、複数のビジネスエンジェルも参加している。
Waldoのテスト方法はきわめてわかりやすい。開発中のアプリ(.app、.ipa、.apk)を直接実行できるため、プラットフォームに合わせたバージョンをわざわざ作る必要がない。
アプリをWaldoにアップロードすると、ブラウザーのウィンドウにアプリの操作画面が表示される。Waldoは、すべての画面とすべての操作を記録する。例えば、サインアップの手順や、コンテンツをアップロードする機能などだ。
Waldoは、テストの記録を将来のバージョンのために保管しておく。それにより、そのモバイルアプリの新しいビルドができるごとに前回行ったものと同じテストを、画面サイズ、OSのバージョン、言語が異なるいくつものデバイスで実行できるわけだ。
問題が見つかると、その旨が通知される。ユーザーはテストのリプレイを見ることができる。はっきりと原因がわかるため、問題のあるステップを簡単に特定できる。
Waldoは、ひとたびセットアップしたならあとはバックグラウンドで実行させておける。Fastlane、Bitrise、CircleCIといった標準的な継続的インテグレーション・ツール(CI)に統合できるため、問題発生の通知をSlackで受け取ったり、テストの状況をGitHubで直接見たりすることもできる。
「私たちの顧客には、毎週500回ものテストを同時に実行しているところや、1日に10回から15回のテストを何回も行っているところもあります」とベラクリド氏は言う。
Waldoは、本日お試し用の無料プランをローンチした。もっと多様なテストを実施したい場合は、有料サブスクリプションを利用することになる。すでにWaldoを使い始めている企業もある。AllTrails(オールトレイルズ)、Jumprope(ジャンプロープ)、KeepSafe(キープセーフ)、Elevate(エレベート)などだ。現在はiOSのみの対応だが、将来のAndroidの対応に向けた開発もすでに着手している。
画像クレジット:Obi Onyeador / Unsplash
[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)