ハイパースペクトルイメージングで鉱石を現場で見分けるPlotlogicが約21.8億円調達

鉱業は今ある産業の中で最古の産業に属するが、需要の増大とともにハイテク化が進んでいる。Plotlogicは、ハイパースペクトルイメージングと呼ばれる、実験室や人工衛星でよく使われている技術を使って、重要だが古めかしい仕事に新しいデータ層と自動化をもたらす。

ハイパースペクトルイメージングは、基本的に可視域外の光を捉える写真で、人間の目には同じように見える物質を識別できる。他のほとんどのものと同様、「自然」が最初に到達した。鳥や昆虫は、私たちが見ることのできない波長を見ることができ、それが彼らの世界全体の見方を変える。

ハイパースペクトルはは結局、分光分析の一種で、放射線を物体に当てて、その反射や吸収を見るものだ。皮膚、セメント、レアアースなど、あらゆる物質にはそれぞれ固有のスペクトルがある。Plotlogicが目指しているのは、明らかに後者のカテゴリーだ。

2018年にオーストラリアのブリスベーンで創業したPlotlogicは、多重スペクトル+LiDAR画像という組み合わせで、山積みになった大量の鉱山の砕石から「リチウムが少々ある、銀も少しある、硫黄もややある」などという(これらが同じ砕石の山にあることは、実際にはないだろうが)。

もちろん、鉱山ではこんな分析を以前から何らかの方法で行っているはずだ。そうでなければ、精錬場へ行くトラックと廃棄場へ行くトラックを見分けられない。しかしそのような分析は通常、ラボにサンプルを送って、そこでスペクトル分析を行ってもらう方法だ。しかしPlotlogicは、この重要な分析を現場で行い、効率化する。

鉱石サンプルをスキャンする定置型OreSenseと、そのサンプルの分析例(画像クレジット:Plotlogic)

CEOで創業者のAndrew Job(アンドリュー・ジョブ)氏によると「分析を採掘工程と一体化して、現場のスタッフがリアルタイムの情報でやる気になることが、本当のイノベーション」という。

同社がこのOreSenseと呼ばれるマシンを開発したのは2019年で、それ以降、現場で何度も使われ、主な鉱山企業からのフィードバックも得た。可動方式と据え付け型の両方で使うことができ、スキャンを採掘現場でも、あるいはどこかに砕石を集めてからでもできる。踏み板を使うバージョンは、人が安全に行けない場所にも行ける。

そのシステムは鉱業の既存の工程と合うように設計されているため、鉱石の掘り出し方を従来のものから変える必要はない。ジョブ氏によると、変更が必要な場合は効率アップで正当化されるという。

Plotlogicの創設者でCEOであるアンドリュー・ジョブ氏(画像クレジット:Sarah Keayes/The Photo Pitch)

「経済的なメリット、環境維持のメリット、安全性のメリットの3つがあると考えています」とジョブ氏はいう。「より多くの鉱石を処理し、廃棄物を減らすことができるため、より収益性が高くなります。より正確に、より多くの岩石をその場に残し、燃料や温室効果ガスを廃棄物の移動に費やさないようにすることができるのです。そして、それは鉱山での人間の被曝時間も減らします」。

肺が黒くなる鉱山での病は過去のものかもしれないが、それでも鉱業は今なお、基本的に困難で危険な仕事だ。重機の側にいたり、閉鎖空間内にいたり、粉塵が充満した空間にいることは少ない方が良い。信頼性の高い情報豊富な画像が得られれば、鉱業の自動化も近くなるとジョブ氏はいう。

1800万ドル(約21億8000万円)のシリーズAは、Innovation EndeavorsがリードしBHP VenturesとTouchdown Venturesが参加した。どちらも、大手鉱業グループのベンチャー部門だ。さらに、DCVCとBaidu VenturesとGrids Venturesも参加。資金は、商用展開の拡張と国際化努力の開始に充てられるという。

画像クレジット:Plotlogic

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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