ハッキング容疑でウィキリークス創設者を逮捕、米が引き渡しを要請

WikiLeaks(ウィキリークス)創設者のJulian Assange(ジュリアン・アサンジ)が英国の保釈条件に違反した容疑で今朝早くにエクアドル大使館内で逮捕されてから事態が急展開する中で、アサンジ容疑者は米国の要請に基づき再逮捕された。これにより、同容疑者は米国からの身柄引き渡しに直面することになりそうだ。

アップデートされた声明で、ロンドン警視庁は以下のように述べている。

ジュリアン・アサンジ(47才、1971年7月3日生まれ)は本日4月11日木曜日、中央ロンドン警察署に身柄を送致された後の10時間53分に、米国当局の要請に基づき再逮捕された。これは、犯人引き渡し法第73節下での引き渡し令状によるものだ。容疑者はウェストミンスター司法裁判所に可能な限り早く出廷する。

同容疑者は、ロンドン警視庁に拘留中に再逮捕された。WikiLeaksによると、彼はウェストミンスター司法裁判所に今日午後に出廷することになっている。

WikiLeaksはまた、アサンジ容疑者が米国の前陸軍情報分析官Chelsea Manning(チェルシ−・マンニング)がWikiLeaksに漏らした機密情報を公にしたという共謀罪で、米国の引き渡し令状に基づいて逮捕されたとツイートした。

米国で同容疑者が訴追されたことは昨年、まったく関係のない裁判文書でWikiLeaks創設者への訴追が載っていることが公になった後に、思いがけず明らかになった。

米司法省は木曜日、アサンジ容疑者が米国の機密コンピューターに侵入しようと企てた疑いがあることを声明で明らかにした。検察は、SIPRNETとして知られる米国政府機密ネットワークにマンニングがログオンするのに必要なパスワードを入手するのをAssange容疑者がほう助した、としている。

ジャーナリストは機密情報の出版に関して、米国憲法修正第一項の言論の自由保護のもとにほぼカバーされていて、犯罪ではない。しかし同容疑者はまた、機密のネットワークから情報を漏洩するようマンニングを「積極的にそそのかした」としても告発されている。司法省は、アサンジ容疑者に最大5年の服役刑が科される可能性があるとしている。

マンニングはオバマ大統領が2017年に任期を終える前に恩赦が与えられて減刑され、その年の5月に釈放された。そして今年3月、WikiLeaksを調べる大陪審への証言を拒んだとしてManningは再逮捕された。マンニングは米国の刑務所に入ったままだ。アサンジ容疑者の英国から米国への引き渡しプロセスは数年かかるかもしれない。そしてどのような結果になるかは不明だ。

例えば、英国のコンピューターハッカーであるGary McKinnonの別件では、当時のTheresa May内相が健康の観点から2012年に引き渡しを阻止した。

アサンジ容疑者の弁護士の1人、Geoffrey Robertson氏がBBC Newsに語ったところでは、「アサンジのケースでは、米国が公共にとって重要な情報を出版した出版者を引き渡すよう求めているという、法外な振る舞いをしている」と述べた(The Guardianより)。

Robertsonはまた、アサンジ容疑者の「健康問題」の観点からもエクアドル大使館にいるより英国警察の拘置所にいる方がいい、と示唆した。

今朝早くに逮捕される前、同容疑者は2012年以来、エクアドル大使館に籠もっていた。そこへは、スウェーデン当局による性的暴行容疑捜査に関連して、英国で保釈されている最中に駆け込んでいた。

そうした容疑の捜査は後に打ち切られたが、アサンジ容疑者容疑者は米国へ引き渡される恐れがあるとして大使館内にとどまっていた。エクアドルが今朝早く同容疑者の政治亡命を却下するやいなや、英国の警察がただちに逮捕に動いた。

【アップデート】米国時間4月11日にロンドンの裁判所に少しだけ出廷したアサンジ容疑者は、保釈条件に違反した罪で有罪とされ、量刑言い渡しまで拘留される。The Guardianは、引き渡し要請に関連して同容疑者は5月に出廷することになっている、と報じている。

米国のアサンジ容疑者に対する起訴状は下記の通りだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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