ミュージシャン、職人、シェフ、ピエロ、日記作家、ダンサー、アーティスト、俳優、曲芸師、セレブ志望者、そして実際のセレブたちが集うソーシャルコラボレーションマーケットプレイスを展開するPearpopが、1600万ドル(約17億3000万円)を調達した。この資金調達は、ハリウッドの約半分に相当するとも思える支援を得ており、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏のSeven Seven SixベンチャーファームとBessemer Venture Partnersも参加している。
資金の内訳は、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏とGuy Oseary(ガイ・オセアリー)氏のSound VenturesとSlow Venturesが共同で主導し、Atelier VenturesとChapter 1 Venturesが参加した600万ドル(約6億4900万円)のシードラウンドと、オハニアン氏のSeven Seven Sixが主導してBessemerが参加した1000万ドル(約11億円)の追加投資によるものだ。
TechCrunchが最初にPearpopを取り上げたのは2020年のことだが、このスタートアップが何かを成し遂げつつあることは間違いない。そのサービスは基本的に、Cameoのセレブマーケットプレイスでプライベートなシャウトアウトを手に入れるようなかたちをとっており、それを一般化したものだ。ソーシャルメディアのパーソナリティがお金を支払って、より人気のあるパーソナリティに彼らの投稿に対してシャウトアウトやデュエット、コメントを付けてもらうことで、フォロワーを増やすことを可能にする。
「クリエイターエコノミーがクリエイターに公平とは言えない結果をもたらしていることがずっと気になっていました。それが私がPerpopに投資した理由です。私は以前、クリエイターエコノミーにミドルクラスが欠けていることについて語っていますが、その考えが帰着するところです」と語るのは、Atelier Venturesの創設者で、クリエイターエコノミクスに関する記事「The creator economy needs a middle class」の寄稿者であるLi Jin(リー・ジン)氏だ。
「Pearpopに出会ったとき、クリエイティブミドルクラスのクリエイターにとって大きな可能性を秘めているように感じました。このメカニズムを導入することで、より多くのクリエイターが少数のクリエイターの助けになることができ、誰もがエコシステムの中の他の誰かに価値のあるものを提供することができるようになるのです」。
ジン氏はTechCrunchでPearpopを知ったという。「貴メディアの記事を読んで、Pearpopのチームに連絡を取りました」。
このアイデアは注目を集め、ミュージシャン、アスリート、俳優、エンターテイナーなどが数多く参加した。The WeekndのAbel Makkonen(エイベル・マッコネン)氏、Amy Schumer(エイミー・シューマー)氏、The Chainsmokers(ザ・チェインスモーカーズ)、Diddy(ディディ)、Gary Vaynerchuk(ギャリー・ヴァイナーチュック)氏、Griffin Johnson(グリフィン・ジョンソン)氏、Josh Richards(ジョシュ・リチャーズ)氏、Kevin Durant(ケビン・デュラント)氏(Thirty 5 Ventures)、Kevin Hart(ケヴィン・ハート)氏(HartBeat Ventures)、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Marshmello(マシュメロ)氏、Moe Shalizi(モエ・シャリジ)氏、Michael Gruen(マイケル・グルーエン)氏(Animal Capital)、MrBeast(ミスター・ビースト)氏(Night Media Ventures)、Rich Miner(リッチ・マイナー)氏(Androidの共同創業者)、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)氏が名を連ねている。
「Peapopには、新たなユーザーやエンゲージメントを提供し、同時にクリエイターに与えられる機会を平等にすることで、あらゆるソーシャルメディアプラットフォームに利益がある可能性があります」と、Seven Seven Sixの創設者であるアレクシス・オハニアン氏は語る。「同社は、ソーシャルメディアのマネタイズの再創造に繋がる、革新的かつ新しい市場モデルを生み出しました。ソーシャルメディアの創設者として、また投資家として、Pearpopの今後にはとても期待しています」。
すでにHeidi Klum(ハイディ・クルム)氏、Loren Gray(ローレン・グレイ)氏、スヌープ・ドッグ氏、Tony Hawk(トニー・ホーク)氏は、ソーシャルメディアのプラットフォーム「TikTok」上で、意欲的な投稿者の記事に登場することで報酬を得ている。
同プラットフォームの利用は比較的簡単だ。ソーシャルメディアユーザー(現在のところはTikTokのみ)は、フィードに存在する投稿を送信し、別のソーシャルメディアユーザーが何らかのかたちでこれにインタラクション(コメント、返信としての動画投稿、音の追加など)を持つようにリクエストを行う。リクエストに問題がない(あるいはブランドに一致している)ようであれば、リクエストを受けた人物は言われたアクションを実行する。
そのタスクを実行するソーシャルメディアユーザーは対価の75%を、Pearpopは25%を受け取る。
同社は収益の実数値には言及しなかったものの、2021年中に100万ドル(1億円)規模に達するだろうと語っている。
プラットフォーム上のユーザーが価格を設定し、契約者によるソーシャルメディアへの投稿を増やすために提供するサービスの種類を決定する。
ユーザーのフォローやリクエストのタイプによって、価格は5ドル(約540円)から1万ドル(約108万円)の範囲で決定される。現在、このマーケットプレイスで最もリクエストを受けているのは、TikTokスターのAnna Banana(アンナ・バナナ)氏だ。
こうした類いの取引にはインパクトがある。同社によると、同プラットフォームにおけるパーソナリティは、そのフォロワー数をこのサービスの利用によって増加させることができたという。例えば、Leah Svoboda(リア・スヴォボダ)氏は、 Anna Shumate(アンナ・シュメイト)氏とのポップデュエットによってフォロワー数が2万人から14万人以上に増えている。
まるでディストピアな世界観のSFみたいだ、すべてのやり取りが商品化されて、お金に換えられてしまっている、そんな風に感じるかもしれないが、そういう世界なのである。
「Pearpopについて私が最も期待しているのは、クリエイターとしてのコントロールを得られるということです」とTikTokのインフルエンサーであるアンナ・シュメイト氏(@annabananaxdddd)はいう。「同プラットフォームにより、やりたいことをやりたいように投稿することが可能になりました。本当に私らしい投稿ができるので、フォロワーにも満足してもらっています。そこが他のソーシャルメディアとPearpopの違いです」。
タレントエージェントもこの動きに注目している。Talent XやGet Engaged、Next Step Talent、The Fuel Injectorなどのアーリーアダプターは、すべてのタレントをPearpopに追加した。その中にはKody Antle(コーディ・アントル)氏、Brooke Monk(ブルック・モンク)氏、Harry Raftus(ハリー・ラフタス)氏も含まれるという。
「最初のコンセプトは、ギャップからでした。両者にとって価値のあるシンプルかつ自分らしいコラボレーションによってマネタイズすることを、あらゆる規模のクリエイターに可能にできるようなマーケットプレイスがなかったのです」とPearpopのCEOであり共同創設者のCole Mason(コール・メイソン)氏は語っている。「これは人々が待ち望んでいたプロダクトなのだとすぐに分かりました。今では数千という人々が私たちのプラットフォームで、TikTokを皮切りに、ソーシャルメディアにおける自己資産を管理するようになっています」。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pearpop、クリエイター、資金調達、ソーシャルメディア、TikTok
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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Dragonfly)