Backblazeは消費者向けと企業向けのバックアップサービスでよく知られており、そのサービスのために同社が買うハードディスクの台数も話題になった。しかし今日同社は、これまでとはやや毛色の違うサービスBackblaze B2の非公開ベータを立ち上げた。それはAmazon S3や、あるいはMicrosoft AzureとGoogleのCloud Platformなどと価格で競合するクラウドストレージサービスだ。
2007年にローンチして今では利益も出ている同社は、150ペタバイト相当のバックアップデータと1000万を超えるファイルをそのサーバ上に保存している。同社の協同ファウンダでCEOのGleb Budmanによると、そもそもBackblazeが独自のストレージサービスを始めたのも、当時自己資本のみの同社にとって既存のサービスが高すぎたためだ。
“これまでは毎年、時間と労力の90%がクラウドストレージの構築に投じられ、フロントエンドはわずか10%だった”。と彼は語る。そして、きわめて安定したバックエンドを持つようになった同社は、多くのユーザから、バックアップを預けるだけでなく、S3のようなAPIでそのバックエンドに自分で直接アクセスしたい、という要望が寄せられるようになった。
Budmanによると、Backblazeの技術者たちは一年がかりで、その要望に応えるためのソフトウェアを構築した。最初の頃は、わずかな数の社員たちが日々の成長への対応に追われていたから、こんな余技はまったく不可能だっただろう。でも今では、既存勢力と価格や可用性で十分勝負できるB2Bプロダクトを作れる、という気持になっている。
Backblazeのサービスの料金は、AWSのとても遅いコールドストレージサービスAmazon Glacierの半額、通常のS3サービスの1/4だ。Budmanも、デベロッパがS3からBackblazeに乗り換えるとしたら、その動機は価格だ、と認める。彼によると、“ストレージが高すぎるために存在できないユースケースがいろいろある”、という。たとえばデータを世界各地に分散させて保存したいが、それをAWSだけでやろうとすると、自分で工夫してやる場合の倍の費用がかかるだろう。Backblazeの低料金なら、データの冗長コピーをAmazonに払う場合の15%の料金(約1/6弱)で保存できる。
当面Backblaze B2のユーザは、画像やビデオ、大量のドキュメントなどのデータを保存するだろうが、Budmanは、いずれ膨大な量の研究データなども保存されるようになる、と展望している。
Backblaze B2には無料プランもある(ストレージ10GBまで、読み出し1GB/日、書き込み帯域は無制限)。デベロッパにはAPIとコマンドラインインタフェイスが提供されるが、一般人のためのWebインタフェイスもある。
今はまだ非公開ベータだが、登録はここでできる。一般公開は今年の終わりごろの予定だ。