CD-ROMの教材やRosetta Stoneが最新技術と考えられていた90年代からこれまでに、数々のスタートアップが人間の教師無しでの言語学習を実現すべく努力を重ねてきた。ソーシャルメディアとスマートフォンが普及すると、DuolingoやOKPanda、Lingua.lyといった新たな言語学習アプリが次々に登場した。しかしLingo Live CEOのTyler Museは、人間の教師や課題ベースの授業無くして仕事で使えるレベルの言語を習得することは不可能だと主張する。
学習プラットフォームも含め、ほとんどの言語学習アプリは、非母国語の学習において基礎的なレベルの言語習得しかサポートできないとMuseは言うのだ。一方Lingo Liveはビジネスマンを対象に、リーダシップを発揮する場で必要な言語能力およびコミュニケーションスキルを習得するサポートを行っている。この度同社はシリーズAで520万ドルを調達し、高い潜在能力をもったプロフェッショナルのための言語教師のマーケットプレイスを拡大しようとしている。
ニューヨークに拠点を置くLingo Liveは、現在EventbriteからTwitterやHoliday Innまでさまざまな顧客にサービスを提供している。Museは同社のサービス内容について次のように説明する。「Lingo Liveは、単なる言語学習を超えて生徒とコーチのマッチングを行っています。私たちのサービスでは、生徒の学習スタイルや目標、さらには特にどんなスキルを向上させたいかや、生徒が希望するタイミングに応じて授業が提供されています。また簡潔なメールを書くためのスキルや素晴らしいスピーチをするためのスキルなど、生徒は自分が伸ばしたいスキルを選ぶことができます」
Lingo Liveのプラットフォームはパソコンからでもモバイル端末からでもアクセスでき、生徒は好きな時間にオンラインのライブセッションでコーチの指導を受けることができる。Museによれば、顧客企業は従業員の人数に応じた料金を支払うようになっており、通常6〜12ヶ月のコースを選択することが多いが、1ヶ月という短期間でのブラッシュアップコースも用意されている。
Owl Venturesがリードインベスターを務めた今回のラウンドには、既存の投資家であるEntrepreneurs Expansion Fund、Alpine Meridian Ventures、Fresco Capitalも参加していた。投資家の傾向として、エドテックやエンタープライズ向けソフトウェアの分野を中心に投資活動を行っている企業が目立つ。シリーズAの前に行われたシードラウンドで100万ドルを調達したLingo Liveは、現在本社を置くニューヨークでEntrepreneurs Roundtableのアクセラレータープログラムに参加していた。
Owl VenturesパートナーのAmit Patelは、Lingo Liveの素晴らしい経営指標を見て投資を決めたと話す。Lingo Liveの売上は2014年のローンチから継続的に毎月20%伸びているほか、これまでに180人のコーチのトレーニングを行い、彼らはLingo Liveが開発した課題ベースのカリキュラムに沿って授業を行っている。また生徒の満足度は全体で98%を記録しており、ほとんどの生徒は英語のネイティブスピーカーではないが、フランス語、日本語、中国語(普通語)、ポルトガル語、スペイン語でもコースが行われている。
「グローバル経済では、発達・学習の分野で”言語の負債”として呼ばれるものを企業が回避できるようにサポートすることが重要になってきています」とPatelは語る。
今回調達した資金は、人員増強やコーチのトレーニング、生徒とコーチのマッチングを行うアルゴリズムの改善、マーケティングなどに使われる予定だとMuseは話す。また長期的には、世界中にオフィスを設立し、プラットフォームに新たな言語を追加するほか、現在用意されているコースを応用し、英語のネイティブスピーカー向けにコミュニケーションスキル向上を目的としたコースを提供していきたいと考えている。
Lingo Liveの競合は必ずしも言語学習アプリではなく、むしろBerlitzやEducation Firstといったエンタープライズ向けの言語教育ビジネスだと言える。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)