ビジネス分析プラットフォームを提供するDomoは2億ドルの資金を得て、遂に全容を現す

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600人の従業員を抱え、累計4億5000万ドルの資金を調達し、年間1億ドルの売上もありながら、それでもまだステルスでいる企業は珍しい。しかし、Omnitureの共同ファウンダーのJosh Jamesが立ち上げたDomoは、他に類を見ないスタートアップなのだ。

Domoは5年ほど前に設立された。Domoは会社にまつわるデータをありとあらゆるソースから集め、標準化し、視覚的に見せるプラットフォームを静かに作り上げてきた。このサービスは会社の役員が会社で起きている全てのことをリアルタイムで把握できるようにすることを目的としている。

Domoは300以上の異なるソースからデータを集めることでそれを実現する。Salesforceのような一般的なCRMのプラットフォームから経費管理システムのConcur、そしてTwitterやFacebookの会社のソーシャルメディアのアカウントまで、全てのデータを集約する。

これにより、ユーザーは会社の別の部署がどのように動いているかを見ることができるようになる。このプラットフォームは、どんな分野でビジネスを行っている、何の担当のユーザーでもデータを見るのに活用することができる。

例えば、ブランドであれば、広告やソーシャルメディアのキャンペーンがどのくらいオンラインエンゲージメントに効果があったかを測ることができる。Eコマースを運営している企業なら、コンバージョン率やショッピングカートの離脱率をトラックすることができる。営業チームは、どのセールスマンが契約を取れるかを把握し、見込み客にどの担当を付けるかといった配置を効率的に行うことができる。財務部は、リアルタイムでバランスシートについての広範な情報を得ることができる。

最も重要なのは会社の役員が、俯瞰して会社の動きを把握できることだ。DomoのファウンダーのJosh Jamesは、彼らと契約した70%の企業は、CXO(チーフオフィサークラス)の役員が関連していて、プラットフォームを使用するクライアントの半数はCEO自らが使用していると話した。

「このようなプラットフォームはまだないのです。」とJamesは言った。「このようなサービスを展開するのは、今のところ私達だけです」。

チーフオフィサークラスが見る指標をまとめたDomoのダッシュボード

Domoの顧客もそれに同意しているようだ。ステルスにも関わらず、年間2000ドルをこのサービスに使用するユーザーが1000人を超え、最低2万5000ドルを支払って、自由自在にカスタマイズできるダッシュボードへのアクセスを購入している。このダッシュボードは、ユーザーが重要だと思うどんな指標でも表示することができる。

Domoのプラットフォームを利用している企業は5000万ドルから10億ドル規模の企業から、全米10位以内の規模を誇るコングロマリット企業まで多岐に渡っている。ユーザーはビジネスの全ての段階で起きていることをトラックして管理し、経営判断を行うのにDomoを活用している。Jamesはこの調子で行けば、年間の売上を1億ドルを達成できるとし、2016年には売上を倍にできると話す。

しかし、このような成功を収めているのにも関わらず、どうやってDomoを秘密のままにできたのだろうか?Jamesによると、たくさんの秘密保持契約が交わされたそうだ。

今日まで、彼らのダッシュボードを使用したいと思ったユーザーは、Domoのセールスやサポートスタッフを通じてやりとりをしていた。しかしその前に、Domoと何をしているかは誰にも開示しないことに同意しなければならなかった。

この秘密主義は行き過ぎているように感じるが、彼らには意図があった。DomoのCMOとセールスのリーダーがこのアイディアを考えたそうだ。誰にも何を開発しているかを教えないことで、Domoは他の企業から抜き出ることができたとJamesは言う。

会社がステルスでいることで「会社に関心が集まるようになりました。誰かが会社に興味を持っている状態は悪いことではありません」。

数年の歳月を経てプラットフォームを最適に磨き上げたDomoもついに一般に公開される日がやってきた。Domoを使いたいと思う新規のユーザーは、自分でサインアップすることができるようになった。Domopaloozaという名のカスタマー向けのカンファレンスで全てが公表される。(本当にDomopalooza*という名前だ。)

(DomopaloozaのKeynoteのスピーカーには、James、FacebookのCOOのSheryl Sandberg、OaklandAのGMであるBilly Beaneなどが登壇する。アフターパーティーではLudacrisやRobin Thickeのパフォーマンスも行われる予定だ。)

Domo CEO Josh James

ビジネス分析のプラットフォームの発表と同時に、Domoは大規模な資金調達を達成したことを発表した。シリーズDとなった今回、彼らは2億ドルを調達した。BlackRockを筆頭に、Capital Group、Glynn Captialと前回から投資を行っているGGV Capitalが参加している。

これまで運営してきた4年間で、Domoは累計2億5000万ドルの資金調達を行ってきた。TPG Growth、Salesforce、T.RowePrice、Fidelity investments、Morgan Stanley、Viking Ventures、Dragoneer Investment Group、Greylock Partners、IVP、そしてMercato Partnersが出資している。

昨年行ったラウンドでの評価額は8億2500万ドルであり、今回の評価額はそれを大きく上回る20億ドルとなった。

完全にローンチしていないプロダクトに付く値段としてはかなり高い。しかし、既に億単位の売上があり、Domoのセールスやサポートチームを通さずに新しい顧客がサービスを利用することができるようになることを思い出してほしい。

そしてDomoは、Omnitureをゼロから作ってローンチし、2009年にAdobeに18億ドルで売却した経験を持つJosh Jamesのサービスであることも忘れてはいけない。

Jamesもさることながら、投資家も大規模なエグジットを期待している。Jamesと電話で話す中で、Domoは既に50億ドルの売上を管理できるマネジメントチームを準備したと話した。それはSalesforceと肩を並べることを意味し、JamesはDomoは更に大きくなると話した。

「これを50億ドルの収益が上がるビジネスにすることが目標です」と彼は言った。

Joshは高い目標に向かって突き進んでいるのだ。

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※彼らが「Domopalooza」という言葉を3回言うまで、冗談だと思っていた。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook

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TechCrunch Japan

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