インドネシアとシンガポールでデザイナーアパレルをレンタルできるプラットフォームのStyle Theory(スタイルセオリー)は12月5日、シリーズBで1500万ドル(約16億円)を調達したことを発表した。同社によると、これはシリーズBの最初のクロージングだ。ソフトバンクグループのアーリーステージベンチャー部門であるSoftBank Ventures Asiaがラウンドをリードし、Alpha JWC VenturesやParadise Groupなどが参加した。SoftBank Ventures AsiaとAlpha JWC Venturesはともに既存株主でもあり、シリーズAにも参加した。
2016年にRaena Lim(レーナ・リム)氏とChris Halim(クリス・ハリム)氏が創業した。ファストファッションが生み出す無駄に対抗するのが狙いだ。Style Theoryは、現在5万点以上の衣類と2000点以上のデザイナーバッグを扱う。アプリに加え、先月シンガポールのオーチャードロードに旗艦店をオープンした。Style Theoryのユーザーは平均して月に最大20枚の衣類と2つのデザイナーバッグをレンタルし、同社は創業以来100万以上のアイテムを配送した、と創業者は語る。
資金の一部をStyle Theoryの技術プラットフォームの開発継続に使う。電子メールのインタビューで、リム氏とハリム氏はTechCrunchに、同社の機械学習アルゴリズムが服装をパーソナライズし、ウェブ閲覧とレンタルの履歴に基づきどのデザイナーとスタイルをユーザーに推奨すべきか決定すると語った。また、カスタマイズされた倉庫管理システム、流通ネットワーク、独自の宅配業者によってコスト削減を実現した。同社は、新市場に進出するなど規模を拡大する際の在庫管理に備え、各レンタル商品にパッシブRFIDタグ(電源を内蔵しない無線ICタグ)を取り付けることも計画している。
リム氏とハリム氏は、2020年に次の国に進出する前に、シンガポールとインドネシアで新しいアパレルカテゴリーを立ち上げる予定だと言う。Rent the RunwayとLe Toteは米国で最も有名なファッションレンタルアプリだが、Style Theoryのオペレーティングモデルには、東南アジア市場のサービスに求められる重要な違いがいくつかある。労働時間が米国よりに長く、多くのユーザーが配達時に家にいない。またたいていの米国人より公共交通機関に依存している。利便性を高めるため、同社は実店舗の他に、自動ロッカープロバイダー、コワーキングスペース、デパートとの提携店をオープンした。展開する地域のクレジットカード普及率が比較的低いため、アプリにはさまざまな支払いソリューションを備える。
Style Theoryでは、ユーザーの多様性を考えて商品を選択する。「文化のるつぼでは、職場や社会における正式さや控え目さの度合いに関するさまざまな基準を考慮して商品選択に臨む必要がある」とリム氏とハリム氏は述べた。「当社の品揃えは1年を通した熱帯気候に対応する必要があるだけでなく、旅行の際の季節ごとの選択や、異なる文化や好みに対応する必要もある。インドネシアでは控えめなウェアのラインナップを、今年のお祝いシーズンにはもっと華やかなウェアを用意した」と同氏。
SoftBank Ventures AsiaのシニアパートナーであるSean Lee(ショーン・リー)氏は、プレスリリースで次のように述べた。「ファッションはシェアリングエコノミーの最後のフロンティアの1つだ。魅力的なビジネスモデルにより、Style Theoryは人々のファッションの消費方法を変えられることを東南アジアで証明した。同社の地域全体への拡大と継続的なディスラプションをサポートできることをうれしく思う」。
画像クレジット:Style Theory
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)