フィンテック企業M1 Financeが約35億円のシリーズB調達のわずか120日後に約47億円のシリーズCをクローズ

3300万ドル(約35億円)のシリーズBを発表してわずか数カ月後の10月14日、シカゴ拠点のM1 Finance(エムワンファイナンス)は4500万ドル(約47億円)のシリーズCを明らかにした。

本ラウンドはシリーズBのときと同じLeft Lane Capitalがリードした。いわゆるインサイドラウンドはいま、2020年においては強気であることを心に留めておくべきだろう。より冷ややかにに見られていた前VC時代と真逆だ。他のM1の投資家にはJump CapitalClocktower Technology Ventures、そしてChicago Venturesがいるが、今回のラウンドにはJump CapitalとClocktower Technology Venturesだけが参加したようだ。

M1によると、シリーズCはシリーズBのわずか120日後だ。なぜM1がより多くの資金を調達したのか、そしてなぜLeft Lane Capitalが消費者向けフィンテックM1の2つのラウンドをリードしたかったのかというのはいい質問だ。

2月にTechCrunchはM1 Financeの運用資産残高が10億ドル(約1050億円)に達したと報じた。

M1 Financeは3種の従来型フィンテックサービスを1つにまとめ、これにより果敢にもパッケージ価格で展開している。このモデルはうまくいっているようだ。M1が6月にシリーズBを調達したとき、運用資産残高は14億5000万ドル(約1525億円)に達した。わずか3カ月ほどで約45%増えたことになる。かなり素晴らしい。

そして同社は10月14日、運用資産残高が20億ドル(約2100億円)を超えたことを発表した。4カ月で38%の増加だ。

シリーズCに向かう期間、M1のパーセンテージでの資産運用残高の成長率は緩やかだったが、調整していない資産運用残高ではより大きな成長となった。

そうした事実は今回の新たなラウンドを説明するものだ。もしあなたがLeft Lane Capitalで、ラウンドをリードして、その後急速に成長しているのを目の当たりにしたら、すぐに倍賭けしたくなるだろう。M1の持ち分を増やすだけでなく、他の投資家が登場してM1の持ち分を取得してあなたの持ち分を希薄化し、あなたのM1の直近のリードインベスターという地位を奪う前にラウンドを終わらせたいはずだ。

ゆえに、Left LaneはシリーズCをリードし、M1が成長を続けることを願っている。

売上高、成長

M1に関して面白いのは、今年初めに同社が資産運用残高におけるパーセンテージで売上高目標を明らかにしたことだ。同社は資産運用残高の1%ほどの売上高を目指す。同社のCEO、Brian Barnes(ブライアン・バーンズ)氏はこの数字を今週、TechCrunchに対し改めて確認した。

つまり、資産運用残高20億ドル超で、M1の売上高はランレートでおそらく2000万ドル(約21億円)ということになる。同社のこのところの成長が続けば、今年末までにランレート2500万ドル(約26億円)へと駆け上るかもしれない。

M1はいかにしてそれだけの運用資産をプラットフォームに集めているのだろうか。バーンズ氏はTechCrunchに対し、M1はユーザーベースを初年から3倍に増やし、加えて直近のユーザーは他のファイナンシャルプラットフォームを通じて多額の資金を持ち込んでいる、と話した。この組み合わせがM1を大きくし、そして急速に成長させている。

終わりに、Left Laneがおそらく他社にとられまいとシリーズCをリードしたかったという上の記述、つまり占有権は今日のVCマーケットでは当たり前のことだ。シリーズCについての質問への答えとして、バーンズ氏は「当社のシリーズCにかなりの投資需要があったことは幸運で、部分的にこれはマイルストーンを早く達成したことが影響している」と述べた。この言葉は、リードインベスターを巡って争った可能性があるように聞こえる。

M1のラウンドは今年我々が目にしている貯蓄と投資のブームを継続させる。と同時にこのラウンドは同社の勝ちでもある。同社が資産運用残高30億ドル(約3155億円)に達した時はさらに大きな勝ちとなる。カウントダウンを始めよう。

カテゴリー:フィンテック
タグ:資金調達、M1 Finance

画像クレジット: Bryce Durbin/TechCrunch

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。