7500万ドル(約83億円)のシリーズDを発表してわずか4カ月、M1 Financeは米国時間7月14日、ソフトバンクのVision Fund 2が主導する1億5000万ドル(約165億円)のシリーズEを明らかにした。
既存投資家らも参加した最新ラウンドにより、シカゴ拠点のフィンテックM1は14億5000万ドル(約1595億円)というバリュエーションでユニコーンのステータスを獲得する。また今回のラウンドはわずか13カ月と少しという期間で4回目で、2015年半ばの創業からの累計調達額は3億ドル(約330億円)を超える。既存投資家にはCoatue Management、Left Lane Capital、Jump Capital、Clocktower Technology Venturesなどが含まれる。
M1の創業者でCEOのBrian Barnes(ブライアン・バーンズ)氏によると、3月のシリーズDの時点で同社は「ユニコーンに近いステータス」だった。
M1は従来型の3種のフィンテックサービス(自動投資、借入、預入・引出し)を1つに集約していて、ここ数年、急速に成長している。2021年3月初めの資金調達時点で、運用資産(AUM)は35億ドル(約3850億円)に達した。そしてバーンズ氏によると、現在のAUMは45億ドル(約4950億円)で、これは18カ月前の5倍超だ。
2020年7月1日以来、同社はユーザーベースを2倍超に、AUMを3倍に増やした。
人々が自分のお金を「無料のコントロールと自動化」で管理して増やせるようサポートするプラットフォームを構築するというミッションの下、M1は2016年後半にサービス提供を開始した(M1がどのように収益を上げているか、詳細はこちらのブログをチェックして欲しい)。
今では「数十万人」という顧客がM1のプラットフォームを通じて投資したり、デジタルチェッキングしたり、あるいは最大貸付金額のポートフォリオにアクセスしたりしている、と同社は話す。
他の多くの企業と同様、M1にとってもパンデミックは追い風となった。
特に、ミレニアル世代の投資への関心が高まったようだとバーンズ氏は指摘する。
「ロックダウン(都市封鎖)により多くの人が支出を減らし、その一方で不確かな将来によって投資を通じて長期的に富を築くことへの関心が高まりました」とバーンズ氏はTechCrunchに語った。「M1はこれを直に体験しました。パンデミックが始まった2020年3月以来、当社の運用資産は4倍になりました。2021年1月の利用申し込みは前月の3倍超となりました」。
2020年12月、M1は「Plus」の顧客があらかじめ設定したルールに基づいて財政目標を自動化できるようにするSmart Transfersを立ち上げた。そして2021年2月には、M1 Plusの親や保護者が若いユーザーのためにポートフォリオに投資できるようにするCustodial Accountsをリリースした。6月にはM1 Plus顧客が物理的な小切手をM1 Spend Plus当座預金口座から送れるようにするSend Checkの展開も開始した。
「毎日の取引の手入力や画一的なポートフォリオに背を向けたように、当社は常に変化を追求する企業でありたいと考えています」とバーンズ氏は述べた。「投資、借入、支出を刷新し続けて複雑なプロセスをシームレスにする方法を模索するというのが当社の計画です」。
SoftBank Investment AdvisersのマネージングパートナーのMunish Varma(ミュニッシュ・バルマー)氏は、M1が「投資、支出、借入のプロダクトを持つワンストップのスーパーアプリでユーザーの財務管理を支えるのにいい位置につけている」と確信している、と話す。
M1は調達した資金を新たなプロダクトや機能、さらに「イノベーティブ」なプラットフォームの構築と人材採用に使う計画だ。同社の従業員数は2020年初めの40人から現在は250人に増えた。
筆者の同僚Alex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)氏がM1のシリーズDをカバーした記事で指摘したように、貯蓄や投資、支出の分野で2020年成長したのは同社だけではない。投資分野ではRobinhoodやPublicが好調で、支出や貯蓄の分野ではChimeが急成長した。
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カテゴリー:フィンテック
タグ:M1 Finance、SoftBank Vision Fund、資金調達、ユニコーン企業
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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi)