フォードが人の助けなしにロボットだけで3Dプリンターを操作することに成功、生産ラインのボトルネックを解決

Ford(フォード)のAdvanced Manufacturing Center(先端技術製造センター)は、異なるサプライヤーの機械同士が同じ言語で会話し、生産ラインの一部を自律的に操作できるようにするインターフェースを開発した。

自動車メーカーは何十年も前から、コスト削減と効率化のために製造工程にロボティクスを取り入れてきた。しかし、フォードの特許出願中のシステムは、ロボットが夜通し人手を介さずに3Dプリンターを操作することで、生産ラインの重要なボトルネックを解決するものだ。

この自律システムは、Carbonの3DプリンターとKUKA製ロボットが初めて同じ言語で会話できるようになり、生産工程に関わる他の機械とのコラボレーションの可能性を限りなく広げる。

これまでこの試みは、パフォーマンスパッケージを装着したMustang Shelby GT500(マスタング シェルビーGT500)スポーツカー用のブレーキラインブラケットなど、少量生産のカスタムカー部品の生産に役立っている。

「この新しいプロセスは、当社の製造施設におけるロボティクスの使い方を変える力を秘めています」と、グローバル製造技術開発ディレクターのJason Ryska(ジェイソン・リスカ)氏は述べている。

サプライヤーであるKUKAの車輪付きロボット「Javier」は、従業員が夜間に帰宅した後も、人間の介入なしに3Dプリンターを継続的に稼働させることができる。Fordによると、ロボットはプリンターのデータから常に学習し続け、自動車メーカーがより高い精度を達成し、誤差を減らすのに役立っているという。

「Fordの先端技術製造センターでは、Javierは完全に1人で3Dプリンターを操作する任務を負っています」とFordは声明の中で述べている。「彼は常に時間を守り、非常に正確な動作をし、充電のために短い休憩を取るだけで、ほぼ1日中働いています」。

通常、異なるサプライヤーの機器は、別々の通信インターフェースを使用しているため、相互作用することができない。Fordのシステムでは、異なるサプライヤーの機器同士が会話し、リアルタイムでコマンドやフィードバックを送ることが可能になる。

Carbon 3DプリンターがJavierに印刷物の準備ができたことを伝えると、Javierはそれを回収し、後で人間のオペレーターが回収できるように置いておく。

Fordは、通信インターフェースとロボットの正確な位置決めを支える技術について、複数の特許を申請している。このプロセスは自律的に行われるが、人間のオペレーターが3Dデザインをプリンターにアップロードし、機械のメンテナンスを行う必要がある。

画像クレジット:Ford

原文へ

(文:Jaclyn Trop、翻訳:Den Nakano)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。