フォード向け自動運転技術開発のArgo AI、フォルクスワーゲンの投資を受け欧州進出へ

米国時間6月2日、Volkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ、VWグループ)はFord(フォード)の自動運転車向けにバーチャルドライバーシステムや高精細の地図を研究開発していた米国ピッツバーグのArgo AIに対し、26億ドル(約2800億円)の戦略的投資を完了する。Argo AIは2017年にステルスを脱し、フォードから10億ドル(約1080億円)の支援を受けている。

この投資によってArgo AIは、フォードとVWグループという2つの顧客を持つグローバル企業になり、米国とヨーロッパで操業することになる。もちろん、一挙に従業員数が増える。VWグループが2017年に自動運転車の技術開発のために立ち上げた子会社であるAutonomous Intelligent Driving(AID)(Fortune記事)はArgo AIに吸収され、AIDのミュンヘンオフィスはArgoのヨーロッパ本社になる。

投資の完了により正規に操業を開始するこの統合された本社は、Argo AIの従業員数を1000名あまりに増員する。同社のオフィスは、ミシガン州デトロイトとカリフォルニア州パロアルト、およびニュージャージー州クランビュリーにある。また、テキサス州オースチンとフロリダ州マイアミとワシントンD.C.には地図制作と試験用に、公道を走る自動運転車の車隊がある。

Argo AIはフォードが製造する自動運転車向けに、バーチャルドライバーシステムと高精度の地図を開発しており、今回の投資でそのミッションがVWグループにも拡張されるわけだ。今回の投資の条件として、Argo AIの自動運転車技術の開発費用はフォードとVWグループが分担することになる。

Ford Autonomous VehicleのCEOを務めるJohn Lawler(ジョン・ローラー)氏はブログの記事(Medium記事)で「安全でスケーラブルで信頼性のある自動運転サービスを構築することは、ささやかな仕事ではない。また安上がりな仕事でもない」と語っている、

2年前にフォードは「2023年には自動運転車事業を構築するために新たに作ったLLC(リミティッド・ライアビリティ・カンパニー、有限責任会社)に40億ドル(約4310億円)を支出する」と発表した。そのLCCであるFord Autonomous Vehiclesは、フォードの自動運転システムの統合、自動運転車の研究と先進的なエンジニアリング、AV輸送サービスネットワークの開発、ユーザー体験、ビジネス戦略、事業開発チームなどで構成される。

同氏は「『費用の分担』によって自動運転車へのフォードの全体的な支出が減るわけではない」と強調している。Ford Autonomous Vehicleによると、むしろ費用はTaaS(トランスポーテーション・アズ・ア・サービス)のソフトウェア開発と、その最終的な自動運転サービスを担う車隊の編成や運用に回される。投資の分有にもかかわらず、フォードとVWグループの2社は自動運転車のサービスでは連携しない。

フォードのモビリティーパートナーシップ担当副社長でもあるローラー氏は、「米国の自動車メーカーは、独自の自動運転サービスの構築においても独立性と激しい競争を維持するだろう」と述べている。Argo AIの取締役会の構成は、VWグループから2名、フォードから2名、同社から3名となる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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