フロリダは、おかしなニュースの出所として名高い。この数週間だけでも、ガレージにワニがいると女性が通報したが、それはプールの浮き具だったとか(News18記事)、洗濯機の中に大蛇を発見した女性とか(MSN記事)、消防士が浄化槽から馬を救い出した(CBS記事)なんて話もあった。
それでも、頭の上を空飛ぶタクシーが飛んでいったというオーランドの住民からの報告は無視するべきではない。それは間もなく現実になるかも知れないからだ。ドイツのミュンヘンに本社を置く創立5年のLilium Aviation(リリウム・エイビエーション)は、ベンチャー投資に支えられ電動垂直離着陸航空機の開発と製造を行うスタートアップだが、フロリダ州オーランド市の税制上の優遇を受けて、およそ5200平方メートルの交通ハブの建設を請け負い、100の高賃金職の提供を目指していると報じられた(Orland Business Journal記事)。
Orlando Sentinel Business(オーランド・センティネル・ビジネス)の記事によると、この計画中の施設は、同社の垂直離着陸機Jet(ジェット)の発着場としてLiliumが初めて米国で展開する交通ネットワークの一角をなす。そこには2500万ドル(約26億円)の投資と、同市の見積もりでは10年間で170万ドル(約1億8000万円)の経済効果が見込まれている。また、2020年9月(Shifted記事)にLiliumはこれとは別に、ドイツのデュッセルドルフ空港とケルン・ボン空港を地域航空交通の拠点にする方法を検討し始めている。
Liliumの航空機は2025年にならなければ運用が始まらないため、いまは各空港の収益増加を話し合うには絶好の時期となった。パンデミックのおかげで旅客輸送はどん底の状態にある。貨物輸送も例外ではない(国際空港評議会報告)。一方、空港の収益の95%は、航空および非航空サービスが占めている。
Liliumは、Tesla(テスラ)の筆頭投資主であるBaillie Gifford主導による投資で、2020年6月に3500万ドル(約36億円)を調達し、使える資金が少し増えた。このラウンドによって、同社の本日までの総調達額は3億7500万ドル(約388億円)となった。
同社への以前からの投資会社にはAtomico、Tencent Holdings、Freigeistも含まれる。
2016年(YouTube投稿)、AtomicoがLiliumに1000万ユーロ(約12億円)(AZO記事)のシリーズA投資を行った際に、TechCrunchではAtomicoの創設者Niklas Zennström(ニクラス・ゼンストローム)氏に話を聞いた。当時は、すでにTerrafugia(テラファージア)やAeroMobile(エアロモバイル)といったライバル企業が存在していたものの、この投資は時期尚早に思われた。しかし、この種の乗り物が日常の足になる日は意外に早いかも知れない。少なくとも、投資家と創設者たちは同じ考えのようだ。いわゆる空飛ぶ車や空飛ぶタクシーを開発している企業は15社を下らない(Digitaltrend記事)。
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カテゴリー:モビリティ
タグ:Lilium Jet、資金調達
画像クレジット:Lilium
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(翻訳:金井哲夫)