ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)技術を活用し脳卒中患者のリハビリ機器開発に取り組むConnectは11月9日、第三者割当増資により、総額2.1億円の資金調達を実施したと発表した。累計調達金額は2.45億円となった。
引受先は以下の通り。
- Beyond Next Ventures(Beyond Next Ventures 2号投資事業有限責任組合)
- 慶應イノベーション・イニシアティブ(KII 2号投資事業有限責任組合)
- フューチャーベンチャーキャピタル(ロボットものづくりスタートアップ支援投資事業有限責任組合)
- 三菱UFJキャピタル(三菱UFJライフサイエンス3号投資事業有限責任組合)
- エムスリー
また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施した2020年度「研究開発型ベンチャー支援事業/シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援」(最大助成額:7000万円。STS事業)第1回公募に採択されたと明らかにした。
Connectは、脳活動の検出・脳への電気刺激など脳と機械をつなぐ技術BMIを応用した医療機器の試作を重ね、実証実験を推進。今後はSTS事業の補助金により脳波キャップおよびロボットモジュールの研究開発を加速。今回調達した資金により、医療機器承認取得のための製品仕様策定、量産体制の構築および人材採用を行う。
現在脳卒中は、世界4大疾病のひとつに指定されており、25歳以上の4人に1人が発症するといわれているという。また発症後生存した場合にも、多くの患者はその後生じる重度な運動障害を抱えてしまい、以降10年間介護が必要とされる。この運動障害は、効果的な治療法が存在しないため、「アンメット・メディカル・ニーズ」(Unmet Medical Needs)のひとつと捉えられてきた。
このような状況下において、医療機関では患者の要望に応えることのできないペインが膨らみ、また患者自身もQOLを大きく毀損され、長く苦しい麻痺生活を余儀なくされる。
また運動障害はこれら医療現場の課題を生むだけではなく、介護給付による財政圧迫の大きな要因と位置付けられており、運動障害を治療し介護費を削減することが今後の日本社会における急務であるという。
Connectは、2018年5月に設立された、慶應義塾大学発のスタートアップ企業。重度運動障害の治療実現をミッションに掲げ、BMIをコア技術とした革新的な医療機器の開発に取り組んでいる。
Connect開発の医療機器は、麻痺患者の脳波から機能代償回路の活動を検出したタイミングで、麻痺部に装着したロボットを駆動することにより、脳と麻痺部位をつなぐ神経回路の再構築を促進。この神経回路の再構築により、患者はロボットを外した状態でも自分の意志で麻痺部位を再び動かすことが可能となるという。同治療の実現により、患者のQOL回復に貢献し、国の財政負担の軽減を目指す。
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