自分のアプリケーションにアイデンティティ(個人情報)管理を組み込もうとすると、既存の手ごろな選択肢はインターネット上の最大で最もデータに飢えているプラットホームが提供していることが多い。
米国サンフランシスコの小さなスタートアップであるMagicは、ブロックチェーンを利用する分散アイデンティティ管理を提供しており、SlackやMediumのように提供されたリンクをクリックすればすぐにログインできるログインのシームレスなワークフローを作ろうとしている。MagicのSDKを使うとMediumやSlackのような体験を、それをスクラッチ(ぜロ)から作らなくても実現でき、ブロックチェーンのキーペアによる認証を利用してユーザーに、複数のデバイスにまたがる安全なログインを提供する。
MagicのCEOであるSean Su(ショーン・スー)氏は「今やアイデンティティといえば、FacebookやGoogleに管理されていることが多い。でもうちのアイデンティティ管理がクールなのは、それが分散アイデンティティであることだ」と語る。
ステルスを終えようとしている同社は、社名を以前のFortmaticから変えた。そしてPlaceholderがリードするラウンドで400万ドル(約4億3500万円)のシード資金を調達した。このラウンドに参加した投資家はとても多く、Lightspeed Ventures、SV Angel、Social Capital、Cherubic Ventures、Volt Capital、Refactor Capital、Unusual Ventures、Naval Ravikant、Guillermo Rauch、そしてRoham Gharegozlouが名を連ねる。
スー氏は大衆市場に訴求するために、同社の技術のブロックチェーンの部分をあまり強調しないようにしているが、でも同社の初期の顧客はブロックチェーン関連の企業、中でもEthereum(イーサリアム)のアプリケーションが多い。Magicはユーザーが250名未満の企業なら無料で、サブスクリプションは月額79ドルからだ。また完全にホワイトレーベルのエンタープライズ向けカスタムインテグレーションもある。同氏によると、MagicのプラットホームはSOC 2に準拠している。
同社のセキュリティドキュメンテーションによると、ユーザーキーはすべてMagicのサーバーをバイパスし、AWSのKey Management Serviceに暗号化されて保存される。Magicがユーザーのプライベートなキーを見ることはない。同社が今作っているSDKは、認証アプリと、USBキーによるハードウェアベースの認証をサポートする。
同氏によると「Mediumなどとの大きな違いは、ラップトップ上でリンクをクリックしてスマートフォン上のリンクからあらためてログインするのではない。それはとても面倒だから、Magicのリンクのログインではラップトップでログインすればそのリンクをどこからでもクリックできることだ」と説明する。
資金調達のニュースと並んでMagicは、フロントエンドのデベロッパープラットホームであるVercel、CryptokittiesのメーカーのDapper Labs、およびMax Planck Society研究所とのパートナーシップを発表した。
[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)