パンデミックの影響で米国ではビデオ診察による遠隔医療がほぼ当たり前になっているが、ブロードバンドが普及していないラテンアメリカでは、1Doc3がテキストとチャットを使って医療サービスを提供している。現地時間4月16日、コロンビアを拠点とする同社は、MatterScale VenturesとKayyak Venturesが主導する300万ドル(約3億3000万円)のプレシリーズAラウンドを発表した。
1Doc3の共同創業者兼CEOであるJavier Cardona(ハビエル・カルドナ)氏はこう語る。「私はこのインタビューのためにいいMacBookを使っていますが、中南米のほとんどの人はこうはいきません」。1Doc3という社名は、スペイン語の1、2、3の発音をもじったものだ。
体調が悪いときにかかりつけ医と連絡を取るのは、今日ますます難しくなっている。1Doc3はAIを搭載した遠隔医療プラットフォームを提供し、患者を医師に取り次ぐ前に症状評価、トリアージ、事前診断を行うことで、ラテンアメリカにおけるこの問題の解決を目指している。
「当社が受ける相談の97%は、数分で医師につながります」とカルドナ氏。
患者は医師の診察を受けた後、1Doc3を通じて自宅に処方箋を届けてもらうこともできる。同スタートアップは、この分野の他の企業と同様に、患者が家から出ることなく迅速に治療を受けられるよう、ループを閉じようとしている。
コロンビアに加えてすでにメキシコでも事業を展開している同社は、今回の資金調達の一部を同地域でのさらなる事業拡大と、これまでなかったマーケティング・営業チームの構築に充てる予定だ。
1Doc3はコンシューマーに直接リーチする他、企業とのパートナーシップを構築し、それらの企業が従業員の医療費を同社を通じて支払うことで顧客を獲得している。カルドナ氏の目標の1つは、単価を下げて、中小企業でも1Doc3を利用できるようにすることだ。現在は企業の場合、従業員1人あたり月額3〜4ドル(約330〜440円)を請求している。
「大企業にとってお金は問題ではありませんが、この地域は中小企業により成り立っています」とカルドナ氏。
2013年に設立され、2018年にはTechCrunchの「Latin American Battlefield」でファイナリストに選ばれた同社は、2020年に急成長を遂げ、2020年2月から12月までの間に月に2500件だった相談件数が3万5000件に増え、2020年はキャッシュフローが黒字になった。2021年3月には、MRR(月間経常収益)が12万ドル(約1300万円)になっている。
多くのスタートアップ企業がそうであるように、1Doc3を設立したきっかけは、創業者が直面した個人的な経験だった。
「タンザニアに滞在していたときに治療が必要になったのですが、タンザニアの医師に行く気はありませんでしたし、米国も含めオンラインで医師と連絡を取ることができず、それからこの問題を解決することにとらわれていました」と、当時、中東・アフリカで活動していたカルドナ氏は語った。
今回のラウンドにより、1Doc3の調達額は合計500万ドル(約5億4000万円)に達した。このラウンドに参加した他の投資家には、Swanhill Capital、Simma Capital、そして既存投資家であるThe Venture City、EWA capital(旧Mountain Nazca Colombia)、Startup Healthが含まれる。
カテゴリー:ヘルステック
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画像クレジット:Luis Alvarez / Getty Images
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(文:Marcella McCarthy、翻訳:Aya Nakazato)