プロお墨付き音楽スタートアップのROLI、財政難を経て「Luminary」として再出発

2013年のSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)で、創業者兼CEOのRoland Lamb(ローランド・ラム)氏がSeaboardの鍵盤を叩いているのを見た途端に、私はROLI(ロリ)に魅了された。ロンドンを拠点とするこの会社は、2016年に発表したモジュール式のBlocksシステムをはじめ、長年にわたって独創的な音楽ソリューションを提供し続けている。

もちろん、クリエイティビティとスタートアップの爆発的な成功は、我々が思うほど一致しないものだ。Business Insiderによる同社のプロフィールは、ROLIの最近の苦境について「ニッチ」な製品群に言及しているが、これはおそらく妥当なことだろう。音楽業界や技術系メディアで知名度の高いファンを獲得したにもかかわらず、同社のデバイスはメインストリームでの成功を運命づけられていなかったようだ。

コロナ禍も相まって、ROLIは英国での管財申請という回避策を取らざるを得なくなった。ラム氏と彼の70人ほどの従業員は、Luminary(ルミナリー)というスピンアウト企業によってROLIの夢を生かし続ける。

画像クレジット:Roli

LuminaryがROLIの知的財産とその負債の両方を引き継ぐことはすでにわかっていたが、これが正確に何を意味するのか、ラム氏と彼の仲間にコメントを求めた。ROLIは、これまで総額7500万ドル(約82億円)超の資金を調達している。

Lambはインタビューでこう語った。「結局のところ、我々が最初に開発したプロ向けの製品は、その市場の範囲内では成功したものの、ベンチャーとしての軌跡を考えると市場の規模が十分ではなかったのです。急成長を目指していましたが、それは難しいことがわかりました」。

最近では、ROLIは「LUMI」キーボードを発表した。これは、ライトアップされた鍵盤を使ってユーザーにピアノを教えることを目的とした、従来よりもメインストリームの製品だ。この製品は、同様の名前を持つLuminaryのフォーカスとなる。また、オリジナルのSeaboard製品ラインも、新会社で引き続き提供する予定だ。

画像クレジット:Roli

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

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