宇宙旅行の実現を追求しているVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)にBoeing(ボーイング)が2000万ドル(約21億円)を出資する。10月7日にVirgin Galacticが発表した。両社はいずれも人間の宇宙飛行に深く携わっているが、そのアプローチは異なる。そして、Boeingはこの特殊なゲームで競合するよりもVirgin Galacticのサイドに加わる方がいいと考えたようだ。
Virgin Galacticは定期的、かつ信頼ができ、リーズナブルな宇宙旅行を提供する最初の企業になるという目標に向かって突き進んでいる。もちろん、リーズナブルというのは明らかに相対的に。同社の宇宙船はすでに人を乗せて宇宙に行っている。これは、料金を払って旅行する人のために計画されているのと同じコースだ。旅行客は、最近公開されたばかりのニューメキシコにあるSpaceport Americaから乗り込むことになる。
資金はBoeingのHorizonX Venturesを通じて拠出される。HorizonX Venturesは以前、Accion SystemsやMatternetのような小規模の航空宇宙スタートアップに投資していた。Venturesのチームはそれなりの規模のラウンドで大手に投資するよりも、あちこちに少額の資金を注入するのを好んでいるようだ。
今回の投資についてはほとんど情報がない。プレスリリースにある文言は普段より中身がなく、輝かしくも曖昧な宇宙旅行の将来について語られているだけだ。なぜ2000万ドルなのか。そして、なぜ今なのか。
出資は、最近発表されたChamath PalihapitiyaのSocial Capital Hedosophiaとの合併で新しく設立された会社が発行する新株の取得によって行われる。これは今年第4四半期に実施される見込みだ。
この資金調達に先立ち、Virgin創業者のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏はおそらくサウジアラビア提供の10億ドルを却下していて(カショギ氏殺害事件への対応として)、Virginは比較的組織が絡んでいない現金を使うことを決めた。
プレスリリースでは特段、提携や技術について言及されておらず、ブランソン氏の言葉には単に「重要なコラボレーション」とだけある。CEOのGeorge Whitesides(ジョージ・ホワイトサイド)氏は「地球周辺で人々をいかに移動させるかを真に変える何かをつくるためにBoeingと提携することに興奮している」と語った。地球周辺で人々を移動させる何か?何をつくろうとしているのか?
おそらくBoeingはしばらくの間Virginに打診していて、合併を前に出資を固める必要があったのだろう。コラボやプロジェクトはまだ計画段階にあり、それゆえに投資額はおおまかになっている。「2000万ドルで多分大丈夫だろう」。誰かが役員会か何かで言った様子が想像できる。
Virgin Galacticの初の商業フライトのタイムラインはないが、今年末までに行われるのはありえることだ。2019年の打ち上げは注目を集めるものになるだろう。いずれにせよ、顧客には事欠かない。伝えられているところによると、すでに8000万ドル(約86億円)分の宇宙旅行予約が入っているとのことだ。
画像クレジット:Virgin Galactic
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(翻訳:Mizoguchi)