ポルシェが電気自動車Taycanにセダンとスポーティワゴンの2種類のGTSを投入

Porsche(ポルシェ)は、汎用性が高くパフォーマンスに特化したGTSの名を、電気自動車Taycan(タイカン)最後の2車種に与えた。

ロサンゼルスオートショーに先立つ米国時間11月16日夜のイベントで、ポルシェはTaycan GTSセダンと、新しい第3のボディスタイルを持つTaycan GTS Sport Turismo(タイカンGTSスポーツツーリスモ)を発表した。この2種類のTaycanの発表は、ポルシェにとっては1世代以上にわたる最大の賭けを締めくくるものになる。ポルシェは2019年秋に発表された4ドアのTaycanの開発に、10億ドル(約1148億円)以上を投じた。それ以降、ポルシェはTaycanを、Cross Turismo(クロスツーリスモ)とともに完全電気式ワゴンへと進めてきた。

今回の新車種の投入によって、後輪駆動のTaycanの4、4S、Turbo、Turbo SそれぞれのセダンとCross Turismoバリエーションと合わせて計10種類となる。しかし、2022年の第2四半期に米国での販売が開始される際に、顧客から最も大きな反響を呼ぶのは、カスタムキャリブレーションとチューニングによって、より激しく、より速い反応のパフォーマンスを実現した今回のTaycan GTSのバリエーションとなるだろう。

画像クレジット:Kirsten Korosec

Taycanの10種類のバリエーションは多い。だが、北米ポルシェのCEOであるKjell Gruner(キエル・グルーナー)氏は、これは個々の顧客の要求を満たすという会社のミッションに合致しているのだと語っている。

グルーナー氏は米国時間11月16日のインタビューで「私たちは決して1つのもので押し切ろうとはしません」と語った。「そしてそれは、単なるバリエーションではなく、それぞれのバリエーションの中にも考えられるのです」。

Tycanのマルチバリエーション戦略は終わったが、ポルシェは次の「エレクトリックベイビー」にも同じような白紙状態からのアプローチを採用するだろう、とグルーナー氏はいう。その次期EVとは、Premium Platform Electric(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)プラットフォームを採用した、ポルシェ初のモデルとなるMacan(マカン)だ。電気自動車のMacanの出荷は2023年に予定されている。

Taycan GTSの話に戻そう

GTSバージョンのTaycanでは、フロントノーズカバー、サイドスカート、サイドウィンドウトリムがハイグロスブラックに変更されている他、ヘッドライトがブラックに着色されている。このTaycanには、リアやサイドスカートなどにGTSのロゴがふんだんに使われている。

車内では、他のモデルと同じインフォテイメントシステムが採用されており、マルチスクリーンのダッシュボードには、1963年のポルシェ911からインスピレーションを得たディテールが盛り込まれている。Apple CarPlayとAndroid Autoは、スマートフォンの表示と機能を車の中央画面に表示するための車載プラットフォームだが、他のバージョンと同様にGTSにも搭載されている。また、フルオートエアコンや充電プランナーなどの機能も備えている。

Taycan Cross TurismoとTaycanセダンをマッシュアップしたようなTaycan GTS Sport Turismoは、リアスポイラーをボディカラーに合わせて塗装し、ホイールアーチにクラッディング(被覆加工)をしていない点が特徴的だ。このSport Turismoは、Cross Turismoワゴンと同じシルエットと収納スペースを持っている。だが、セダンのTaycanよりも低い車高を持つことで、よりレース指向でパフォーマンスを秘めた外観と雰囲気を醸し出している。

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特に注目したいのは、今回のGTSには、ドライバーや同乗者が光の入り具合を調整できる新しいパノラミックルーフを採用している点だ。ルーフはデジタル時計のような9つの液晶フィルムセグメントで構成されている。各セグメントは電気的に独立している。充電されると、それらのセグメントは不透明になる。ユーザーはクリア(透明)、マット(不透明)、40%、60%の4種類のプリセットパターンから選ぶことができる。車両の電源がオフになると、ルーフは自動的にマットに切り替わる。システムは前回の設定を記憶しており、車両の電源を入れると、ドライバーが前回選択した設定へと戻る。

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Taycan GTSセダンとGTS Sport Turismoの間には、片方は低床ワゴンという明確な違いがあるものの、共通する部分も少なくない。両車とも同じ永久磁石式の1速フロントモーター、大型の永久磁石式リアモーター、2速リアトランスミッションを搭載し、0〜60マイル/h(0〜97km/h)を3.5秒で加速することができる。

93.4kWhのバッテリーと、最大270kWの速さで充電可能な800Vのアーキテクチャを標準装備している。つまり5%から80%までの充電を22.5分で行うことができるということだ。

GTSは、価格とパワーの点でTaycan 4SとTaycan Turboの中間に位置する(ブランドのローンチコントロール機能により、総出力は590馬力となる)。Taycan GTSセダンは13万1400ドル(約1509万円)から、Taycan GTS Sport Turismoは13万3300ドル(約1531万円)からとなっている。どちらの価格にも、配送料、処理費、手数料の1350ドル(約15万5000円)は含まれていない。

また、ポルシェはまだ推定航続距離を発表していないが、GTSの航続距離も4SとTurboの中間になると思われる、つまり227マイル(約365km)から212マイル(約341km)の間になるだろう。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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