マイクロソフトが中国製チャットボットXiaoiceをスピンアウト

Microsoft(マイクロソフト)は、共感的チャットボットのXiaoice(シャオアイス)を独立した組織にしようとしている。同社は中国時間7月13日にこの発表を行い、6月に中国のニュースサイトChuhaipost(チューハイポスト)が行っていたレポートを追認した。

この発表に先立ち、数ヶ月前の昨年末には、Microsoftは音声アシスタントのCortana(コルタナ)を中国で閉鎖することを発表していた

Xiaoiceは長年にわたり、人工知能の最優秀な人材を採用し、中国内に留まらず、日本やインドネシアなどの国々へも進出していた。Microsoftはこのことを、Xiaoiceの「ローカライズされたイノベーション」とチャットボットの「商用エコシステム」の開発を加速するための宣言だと述べている。

スピンオフ会社は、Xiaoiceにおける今後の研究と開発のために、Microsoftからの新しい包括的技術ライセンスを使い、Xiaoiceブランド(日本では「りんな」)を引き続き使用する。一方Microsoftは、新会社の株式の持分を保持し続ける。

2014年、MicrosoftのBing研究者たちの小さなチームがXiaoiceを発表した。これは中国語で「Little Bing」(小冰=Xiǎobīng)を意味する。このボットは、すぐに中国でセンセーションを巻き起こし、多くの人たちからバーチャルガールフレンドと見られるようになった。このチャットボットが登場したのは、Microsoftが中国内でCortanaを展開してから、わずか数週間後のことだった。Xiaoiceは、10代の少女をパーソナリティのモデルとしており、同社はチャットボットに対して、人間的で社会的な要素をさらに追加することを目指している。Microsoft自身の言葉によれば、彼女はユーザーの友達になりたいと思っているということだ。

すべての外国企業と同様に、Microsoftは中国の検閲にしっかりと取り組む必要がある。2017年にXiaoiceは、政治的に問題を含む発言の疑いで、Tencent(テンセント)のインスタントメッセンジャーQQから削除された。

このプロジェクトには、AIの世界で最も権威のある科学者たちが参加していた。例えばLu Qi(ルー・チー)氏はその後Baidu(バイドゥ)に最高執行責任者として移籍して、Y Combinatorを中国に連れて来たし、Jing Kun(ジン・クン)氏は検索大手Baiduのスマートデバイス部門の責任者となり、またMicrosoftの名高い人工知能および研究部門の元幹部であるHarry Shum(ハリー・シャム)氏は、現在新進のニュースアプリNews Break(ニュースブレイク)のボードメンバーとなっている。

シャム氏は、今回Xiaoiceから生まれる新しい独立企業の会長を務める。 またXiaoiceのゼネラルマネージャーであるLi Di(リー・ティー)氏が最高経営責任者(CEO)を務める。 日本版のチャットボット「りんな」の開発者であるChen Zhan(チェン・サン)氏は、日本オフィスのゼネラルマネージャーになる。

新会社は、「Xiaoice」および「りんな」ブランドを使用する権利を保持し、中国語圏、日本、インドネシアの顧客基盤をさらに発展させることを使命とする。

Microsoftは、Xiaoiceは世界中で、6億6千万人のユーザーと4億5000万台のサードパーティスマートデバイスに使われていると述べている。またそのチャットボットは、金融、小売、自動車、不動産、ファッションなどの分野に応用を見出し、そこでは「テキストからコンテキスト、雰囲気、感情を抽出して、数秒でユニークなパターンを作成できる」と 主張している。

原文へ
(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。