Microsoft(マイクロソフト)はスコットランドのオークニー諸島沖の海底に設置した輸送コンテナサイズの海中データセンターを使用するという数年にわたる実験を終えた(Microsoftリリース)。同社は「Project Natick」と呼ぶ海中データウェアハウスを夏の初めに水中から引き揚げ、この数カ月をデータセンターとその中の空気の研究に費やし、モデルの実行可能性を判断した。
結果は、オフショアの海中データセンターを使用すると、性能の点でうまく機能するだけでなく、データセンター内のサーバーの信頼性が乾燥地に比べ最大8倍になることがわかった。研究者らは高い信頼性に寄与したのは何かを正確に突き止め、このメリットを陸上のサーバー施設全体に応用し、性能と効率を向上させたいと考えている。
別の利点として高い電力効率で運用できる点がある。この利点は、特に陸上のグリッドに継続的なオペレーションを支える十分な信頼性がない地域で有効だ。海底環境のおかげで、データファーム内に格納されたサーバーを人工で冷却する必要性が減ったことが要因の1つだ。オークニー諸島地域は風力と太陽光の両方を供給元とする100%再生可能グリッドで覆われている。使える電源が分散していることは、従来の陸上データセンターが求める電力インフラ要件に関する課題を解決することになりそうだ。同地域のグリッドは、同じ規模の海中でのオペレーションに対して十分以上といえるものだった。
マイクロソフトのNatickの実験は、世界中の沿岸地域にポータブルで柔軟なデータセンターをモジュール式に展開することで、エネルギーと運用コストを低く抑えながらデータセンターのニーズを拡大できることを示した。すべてを一元化されたハブにつなぐのではなく、小規模のデータセンターを顧客が必要とする場所の近くに設置する。現在のところ、このプロジェクトはそのメリットを非常にうまく示すことができたようだ。マイクロソフトは次に、複数のデータセンターをつないで能力を足し合わせ、規模と性能を拡大できるかを調べる予定だ。
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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Microsoft Project Natick データセンサー
画像クレジット:Microsoft
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(翻訳:Mizoguchi)