Microsoft(マイクロソフト)は米国時間6月10日、ゲームストリーミングのための専用デバイスを近日中に発売すると発表した。また、いくつかのテレビメーカーと協力して、インターネット接続TVにXboxエクスペリエンスを組み込むことも計画している。さらにマイクロソフトは、2021年後半にPC用のXboxアプリにもクラウドゲーミングを導入する予定で、そこでは購入前にお試しプレイできるシナリオに重点を置くという。
これらの新しいゲームストリーミングデバイスがどのようなものになるかは不明だ。マイクロソフトは詳細を明らかにしていない。しかし、Chromecast(クロームキャスト)のようなストリーミングスティックか、Apple TVのような小型ゲーム機のどちらかである可能性は高いと思われる。また今のところ、どのテレビメーカーと提携するのかもわかっていない。
マイクロソフトがクラウドゲーミングに関して積極的なのは周知の事実だ。例えば「Xbox Game Pass Ultimate」では、サブスクライバーがAzureクラウドからストリーミングされた100種類以上のコンソールゲームをAndroidでプレイできるようにしている。数週間後にはすべてのXbox Game Pass Ultimateサブスクライバーが、Edge、Chrome、Safariのブラウザ上でクラウドゲーミングができるようになる(現在は限定的なベータ版)。また、2021年後半には、オーストラリア、ブラジル、メキシコ、日本でもGame Pass Ultimateを提供する予定だ。
多くの点で、マイクロソフトはゲームとハードウェアのアンバンドリングを進めている。これは、Google(グーグル)がStadiaで試みていること(その試みは今のところGoogleにとっては失敗に終わっているが)や、Amazon(アマゾン)がLuna(ルナ)で試みていることに似ている。ここでのマイクロソフトの主な強みは人気ゲームの膨大なライブラリであり、それはNVIDIA(エヌビディア)のGeForce Nowプラットフォームを除いて、競合サービスにはほとんど見られないものだ。ただしNVIDIAのプラットフォームはサブスクリプションではなく、SteamやEpicストアなどのサードパーティストアで購入したゲームをプレイできるようにすることに重点を置いているため、ビジネスモデルが異なる。
マイクロソフトは明らかに、高性能な専用コンソールの販売台数が減ったとしても、Xboxのエコシステム全体を拡大したいと考えている。これは、音楽業界が聴き放題のサブスクリプションモデルに支えられたクラウド型サービスへと移行していることに似ている。
マイクロソフトのXbox事業を率いるPhil Spencer(フィル・スペンサー)氏はこう述べた。「私たちは、ゲームやインタラクティブエンタテインメントは、ハードウェアやソフトウェアではないと考えています。ピクセルの話ではありません。ゲームは人々を結びつけるものです。ゲームは人と人との架け橋となり、絆を深め、世界中の人々との共感を生み出します。喜びとコミュニティ、それが私たちがここにいる理由です」。
なお、マイクロソフトは専用ゲーム機を廃止するわけではなく、すでに次世代のコンソールハードウェアの開発に取り組んでいるとのこと。だが、新しいXboxコンソールがすぐに登場することは期待しないほうがいいだろう。
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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Microsoft、Xbox、Xbox Game Pass、クラウドゲーム
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)