マイクロソフトの新アプリはスマホカメラとコンピュータビジョンで英単語を学べる

マイクロソフトの8人のインターンが、新しい言語学習ツールを開発した。スマートフォンのカメラを使って身の回りの語を学び、成人の英語の識字能力向上を図るものだ。Read My Worldと名付けられたこのアプリを使い、スマートフォンで写真を撮って、1500語以上のライブラリから語を学ぶことができる。実際の物体の写真でも、書類の中の文字列でもいいとマイクロソフトは説明する。

このアプリは、授業を補うものとしても使えるし、言語習得のクラスに通う時間やお金がなかった人が語を学ぶ方法としても使うことができる。

授業に参加しなくても、毎日の生活の中で出あうものの写真を撮って学ぼうということだ。

このプロジェクトのソフトウェア開発インターン、Nicole Joyal氏は「もともとは授業のようなスタイルのアプローチを考えていましたが、調査と研究の結果、スイスアーミーナイフのようなもののほうが役に立つと考えました。何かを教えるツールよりも、生活の中で常に役立つツールを作ろうと思ったのです」と語る。

Read My Worldは、Microsoft Cognitive ServicesとComputer Vision APIを組み合わせることで、写真に写っているものを特定する。すると語の綴りが表示され、読み上げられる。特定された語の写真を保存し、アプリの中の自分専用の辞典としてあとで参照することもできる。

さらにこのアプリには3種類の語彙ゲームも含まれていて、ユーザーが新たに学んだ語を練習できるようになっている。

1500語の語彙では少ないと感じるかもしれないが、実はこれは外国語学習者が従来の学習方法で身につけることのできる語数に近い。たとえばBBCの報告によれば、言語学習者の多くは何年も学習しても2000〜3000語以上は習得が難しいという。台湾のある研究では、外国語を9年間学習した学生でも利用頻度が最も高い1000語を習得できなかったという。

この報告では、毎日使う語を身につけるのが最も大切であることも強調されている。

目にするものに焦点を当てているアプリなので、正式な教育に置き換えられるかというと限りがある。初期バージョンをテストした教員と学生からのフィードバックを集めた結果、チームは書類中の語も検出できるようにした。書き言葉を翻訳するGoogleレンズのような使い勝手ではなく、アプリが特定した一部の単語をハイライト表示し、その語の発音を聞いたり写真を見たりすることで、その語が何を表しているかがわかるようになっている。

たとえば学生の持ち物リストにアプリを向けると、鉛筆、ノート、はさみ、バインダーなどの語がハイライトされる。

このアプリはマイクロソフトの社内インキュベーター、Microsoft Garageのプロジェクトで、はじめはテストとフィードバックのために一部の組織に提供される。NGOや非営利団体で低識字率のコミュニティに携わっている人は、フォームから参加を申し込むことができる。

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(翻訳:Kaori Koyama)