マネーフォワード、2018年内に仮想通貨取引所を開設

資産管理サービスなどを展開するマネーフォワード523日、金融機関とテクノロジーの融合をテーマにした「Fintech&マーケティングフォーラム2018」を開催。同社はそのクロージングセッションにおいて、ブロックチェーン領域のビジネスを行う新会社を設立したと発表した。

新会社名は「マネーフォワードフィナンシャル(以下、MFフィナンシャル)」。MFフィナンシャルでは、2018年よりブロックチェーン・関するメディアを開始するほか、2018年内に仮想通貨交換所の開設を目指すという。また、時期は未定であるものの、将来的に仮想通貨の送金・決済プラットフォームの構築も見据えている。新会社の代表取締役に就任するのは、「MFブロックチェーン・仮想通貨ラボ」の中心メンバーで、日本銀行出身の神田潤一氏だ。

マネーフォワードはこれまで、資産管理と確定申告に利用できるサービスを提供してきたが、仮想通貨に関して「知る(メディア)」、「交換する(交換所)」、「利用する(送金・決済)」を提供することで、仮想通貨の認知から確定申告まで一貫してマネーフォワードグループのサービスで解決できる世界を目指すという。

以上の発表に加え、マネーフォワードは資産管理サービス「マネーフォワード」が連携する仮想通貨取引所の数を現在の3社(bitFlyerCoincheckZaif)から約20社に拡大することも併せて発表。新しい連携先には、BTCBOXbitbankQUOINEXFISCOなど国内外の取引所が含まれる。また、今後はマネーフォワードで自動取得した仮想通貨の取引データをCryptactCryptoLinCG-taxなどの損益計算ツールとAPI連携を行うことで、計算結果をCSV形式でダウンロードできるようになる。そのファイルを確定申告用の「MFクラウド確定申告」にインポートすれば、申告書の自動作成も可能になる。

クロージンセッションに登壇した神田氏は、「世界中のユーザーにフリーでフェアなサービスを提供することが、MFフィナンシャルの使命。仮想通貨の取引をしないユーザーの47.3%がセキュリティに不安があるからと答えている結果(同社実施のアンケート結果)を受け、MFフィナンシャルの取引所ではセキュリティを最優先事項とする」と話した。

「これからはCurrency2.0の時代。場所・時間・手段からの自由、国境やイデオロギーからの自由、固定された価値からの自由を意味すると私たちは考えている」(神田氏)

MFフィナンシャルでは、3年後までに100名規模の採用と育成、ブロックチェーン技術の実用化に向けた研究開発、全国の金融機関との連携を進めていくという。

(アップデート:5月23日18:50)

以下、セッション後に開催された質疑応答の内容をまとめる。

MFフィナンシャルの仮想通貨取引所における取り扱い通貨について、神田氏は「比較的規模が大きく、ユースケースが明確な通貨をまずは取り扱う」とコメントした。セキュリティを最優先すると強調した同社だが、コールドウォレットとマルチシグによる運用は現在「検討中」(神田氏)。MFフィナンシャルはすでに仮想通貨交換業登録を申請中で、現在金融庁とビジネスモデルについての意見交換を行っている最中だという。

マネーフォワードの株主には、SBIやマネックスなど仮想通貨交換業への参入に興味を示す企業が名を連ねているが、神田氏は「各企業はそれぞれの考え方に基づいてビジネスを行っているが、そのなかで、連携できるところは連携を進め、ライバルとなる場合でも、お互いが切磋琢磨して業界全体のレベルを上げることが出来ればと考えている」と話した。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。