勤怠管理や社会保険申請とも連携可、従業員・組織情報を一元化できる「マネーフォワード クラウド人事管理」

勤怠管理や社会保険申請とも連携可、従業員・組織情報を一元化管理しペーパーレス化する「マネーフォワード クラウド人事管理」

「お金のプラットフォーム」を構築し、個人・法人すべてのお金の課題解決を目指すマネーフォワードは7月26日、「マネーフォワード クラウド人事管理」の正式提供開始を発表した。これは、企業の従業員情報の収集管理のペーパーレス化、従業員・組織情報の一元化を行うサービス。中堅企業向けバックオフィス統合ソリューション「マネーフォワード クラウドERP」のラインナップのひとつに加わる形となる。

マネーフォワード クラウドERPは、変化を恐れない企業のための進化し続けるERP(統合基幹業務)をコンセプトとして、中堅企業向けに2020年10月にリリースされ、対応業務領域の拡大を進めてきた。そこに加わったマネーフォワード クラウド人事管理は、従業員や組織の情報を一元化する人事管理システムとなっている。

人事業務を紙の書類ベースで行っている企業は多く、表集計ソフトなどで一部デジタル化をしていても、情報の変更があるごとに改めて入力したり転記する必要が生じる。マネーフォワード クラウド人事管理を使うことで、入退者の手続き、従業員の氏名の変更、育休の手続きなどの人事業務で発生する従業員情報の収集や変更がオンライでできるため、そうした手間がなくなる上に、「マネーフォワード クラウド給与」「マネーフォワード クラウド勤怠」「マネーフォワード クラウド社会保険」など、他の「マネーフォワード クラウド」サービスやグループ企業が提供するサービスとの情報共有がされるため、これらと連携したクラウド型の統合業務ソリューションを構築できるという。

関連記事
ANOBAKAが事業会社対象に急成長スタートアップ100社への出向型留学サービス「CROSS WORK」を開始
月額制リファレンスチェックサービス「back check」のROXXがVC連携第3弾を発表、累計連携VC数計41社に
クラウド人事労務ソフトを提供する「SmartHR」が約156億円のシリーズD調達、累計調達額約238億円に
HRテックのEDGEが約1.5億円を調達してMBO完了、社員の価値観を可視化する新サービスも提供開始
人事と現場を結び、新入社メンバーの定着を支援するオンボーディングサービス「Onn」がリリース

カテゴリー:HRテック
タグ:ERP / 企業資源計画 / 統合基幹業務システム(用語)HRテック(用語)マネーフォワード日本(国・地域)

紙の契約書と電子契約を一元管理できる「マネーフォワード クラウド契約」が5月開始

紙の契約書と電子契約を一元管理できる「マネーフォワード クラウド契約」が5月開始

マネーフォワードは3月5日、電子契約サービス「マネーフォワード クラウド契約」を2021年5月に開始すると発表した。同サービスにより、紙の契約と電子契約の一元管理を可能にし、契約業務の効率化を実現する。なお同サービスは、中堅企業向けバックオフィス統合ソリューション「マネーフォワード クラウドERP」のサービスラインナップに加わる。

マネーフォワード クラウド契約は、契約のワークフロー申請から契約締結・保管をクラウド管理できる電子契約サービス。紙の契約書を発行する際に必要な印刷・製本・押印・郵送などの手間や時間、コストを削減できるという。紙の契約と電子契約の一元管理が可能で、契約管理の業務効率化を実現する。

紙の契約書と電子契約を一元管理できる「マネーフォワード クラウド契約」が5月開始

  • ワークフロー申請から契約締結、保管までオンラインで完結
  • 電子契約で印刷や郵送、印紙代などのコストを削減
  • 紙の契約と電子契約を一元管理
  • クラウド上で契約書の検索ができ、閲覧権限も設定可能
  • 契約の更新・終了を知らせるアラート機能(2021年リリース予定。5月時点ではリリースされない)

マネーフォワードによると、同サービスと「マネーフォワード クラウド」の各種サービスを連携させることで、契約締結から債権・債務の発生、会計処理までを一気通貫で管理できるようになるという。同サービスの開始により、今後は、経理財務・人事労務に加えて法務領域も含めたバックオフィス全体の課題解決を目指すとしている。

また、これまで多くの中堅企業が利用しているオンプレミス型ERPのイメージを一新するという。オンプレミス型ERPの多くは、会計財務や人事労務領域の業務を中心とした機能を提供しているが、同社は法務分野も含めたクラウド型ERPとして「マネーフォワード クラウドERP」を展開していくとしている。

紙の契約書と電子契約を一元管理できる「マネーフォワード クラウド契約」が5月開始

マネーフォワード クラウドERPは、中堅企業に必要なバックオフィス業務領域や複雑な手続きをカバーするクラウド型ERP。低コストかつ短期間で導入でき、自動バージョンアップでメンテナンス不要、インターネット環境があればどこからでもアクセスできる。

関連記事
AI契約書レビュー支援や契約書管理クラウド提供のLegalForceが30億円を調達
次世代リーガルプラットフォームを開発するキビタスが6500万円をシードラウンドで調達
NDAの統一化を図るプロジェクト「OneNDA」が統一ポリシーの「スマート要約」と概要を公開
リーガルテックのSmaConが取引先と短時間・低コストで秘密保持契約を締結可能な「NDA統一標準規格」公開
サブスクサービスの年間利用料を契約時に一括受領、MF KESSAIがB2B事業者の早期資金化を支える新プラン
マネーフォワードがスマートキャンプを子会社化、SaaS事業拡大へ

カテゴリー:ネットサービス
タグ:マネーフォワード日本(国・地域)

シード・アーリーステージのスタートアップを支援するHIRAC FUNDの1号ファンドが総額30.4億円でクローズ

シード・アーリーステージのスタートアップを支援するHIRAC FUNDの1号ファンドが総額30.4億円でクローズ

マネーフォワードのグループ会社マネーフォワードベンチャーパートナーズ(MFVP)は12月1日、シード・アーリーステージのスタートアップを支援するアントレプレナーファンド「HIRAC FUND」(ヒラクファンド)の1号ファンドの募集を総額30.4億円で完了したと発表した。

「HIRAC FUND」(ヒラクファンド)概要

  • 名称:HIRAC FUND1号投資事業有限責任組合
  • ファンド総額:30.4億円
  • 投資対象:国内外のシード・アーリーステージのITおよびテクノロジー企業全般
  • 無限責任組合員:マネーフォワードベンチャーパートナーズ(マネーフォワード100%子会社)

同ファンドは、主にテクノロジーによる社会課題解決を目指すシード・アーリーステージのスタートアップを対象としたアントレプレナーファンド。企業の急成長を牽引してきたスタートアップ起業家や経営陣など25名以上に加え、金融機関や事業会社、教育機関などがLP(リミテッドパートナー)として参画している。

同ファンドは、2020年7月の発表以降、WRAY、ワークサイド、TENTIAL、Go Visions、サロウィンへの出資を実行済み。今後も、創業間もないスタートアップ支援をさらに強化していくとしている。

関連記事
ジャフコとマネーフォワードがスタートアップ支援第1弾、「マネーフォワード クラウド」導入を無償サポート
マネ―フォワードベンチャーパートナーズのHIRAC FUNDが美容師向けシェアサロンのサロウィンに出資
小・中学向け教育×エンタメ事業「SOZOW」のGo Visionsが総額1.1億円を調達
女性向けヘルスケアD2Cブランド「WRAY」が約4500万円調達、月経前症候群の悩みにアプローチ
スポーツウェルネスD2CのTENTIALがプロテニス・西岡良仁選手などから資金調達

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:HIRAC FUNDVC / ベンチャーキャピタル(用語)マネーフォワード日本(国・地域)

サブスクサービスの年間利用料を契約時に一括受領、MF KESSAIがB2B事業者の早期資金化を支える新プラン

マネーフォワードのグループ会社で企業間後払い決済サービス「MF KESSAI」を展開するMF KESSAIは4月30日、BtoBサブスクリプションサービスを運営する事業者の請求業務効率化と早期資金化をサポートする新プラン「MF KESSAI グロースサポート」を開始した。

このプランはMF KESSAIの1つのオプションのような形で提供されるもので、サブスクサービスの年間利用料を本来の支払期限が到来する前に一括受領できる点が最大の特徴。早期資金化によってSaaSを始めとしたB2B事業者の資金繰りや攻めの投資をサポートすることが狙いだ。

MF KESSAIは取引先の与信審査から請求書発行、代金回収までの決済業務を一括代行する“企業間後払い決済サービス”として2017年にスタートしたサービスだ。企業は管理画面(CSVもしくは手動入力)やAPI経由で取引データを入力するだけで取引先の与信審査を実施することができ、承認された場合には一連の業務をMF KESSAIに代行してもらえる。

審査に通過した取引についてはMF KESSAIが債権を譲り受けて請求業務を行う形をとっており、請求先の未入金リスクも同社が負担。利用企業にとっては一連の請求業務を大幅に効率化できることに加えて、回収業務の不安や悩みを解消できることが大きなメリットだ。

本日からスタートするMF KESSAI グロースサポートではそのような特徴を引き継ぎつつ、そこにサブスク事業者のニーズに応えるための仕組みが新たに追加された形になる。具体的には「年間契約分のキャッシュをある意味“前借り”できるような仕組みによって、その資金をどんどんサービスグロースに投資できるようにするサービス」(MF KESSAI取締役の田中謙太朗氏)だ。

SaaSなどを展開する事業者の中には年間契約で顧客にサービスを提供している企業も多い。事業者にしてみれば年間契約時の利用料を一括前入金で受け取り、事業を加速させるための軍資金にできるのが理想だけれど、導入企業側としては稟議やキャッシュフローの観点から月ごとに分割して支払いたいという場合もある。

その結果として年間契約であっても毎月利用料を受領するケースも少なくないそうで「それに伴う請求業務の負担増加に加えて、途中解約や何かしらのトラブルが発生した際の料金回収など将来的な与信の問題を抱えやすい構造である点が課題になっている」(田中氏)という。

実はMF KESSAI グロースサポート自体、第一弾の導入先でもあるカラクリとの商談から生まれたサービスだ。カラクリはまさにAIチャットボットSaaSを展開するスタートアップとして、上述したような課題の解決策を探していたとのこと。MF KESSAIでも解決方法を模索する中で、サブスク事業者とサービス利用企業の間に同社が入れば「利用企業の分割払いの要望にも応えながら事業者の毎月の請求業務や与信業務も代行できる」という手応えを掴めたため、新プランの提供を決めたという。

なおMF KESSAI グロースサポートについてカラクリでは以下のようにコメントしている(本件のリリースより一部抜粋)。

「エンタープライズ向けのSaaSは、契約期間中の売上が確約されているものの、前払いの交渉負荷が高く、資金化までの期間が長いのが問題点でした。本サービスの導入により、取引先へ前払いをお願いすることなく契約期間中の売上金額を先立って受領することができるようになるため、資金調達を必要とするスタートアップSaaS企業にとって、新たな調達手段になりうると考えております」

MF KESSAI グロースサポートはMF KESSAIの資料請求時に同プランを利用したい旨を告げることで使うことができる。全体の利用フローはMF KESSAIと基本的には同じだ。

最初に請求先のデータを入力して与信審査を受けた後、通過した場合には1年間分の請求情報(1年以内であれば半年や9ヶ月などでも可能とのこと)をまとめて登録する。これらのフローが完結すると債権がMF KESSAI側に譲渡され、サイト上から早期の振り込み手続きを行えば最短5営業日後に年間利用料を一括受領できる仕組みだ。

期間が長くなる分、審査は若干厳しくなるとのこと。ただ審査を厳しくしすぎて利用できる企業が限定されてしまうことを防ぐため、利用料率を6%〜10%と通常のMF KESSAIよりも少し高めに設定している(MF KESSAIの場合は0.5% 〜3.5%)。

「これまでMF KESSAIを通じて請求代行の部分を、MF KESSAI アーリーペイメントというファクタリングサービスを通じてファイナンスの部分をサポートしてきた。ただ事業部サイドとしてはこの2つが重なる部分をまだ十分にやりきれてはいなかった感覚で、ファイナンスと請求代行の両機能を自前で持っているなら、それらを融合したサービスにもチャレンジしたいという思いもあった」(田中氏)

特に直近ではコロナウイルスの影響もあって資金繰りやファイナンスをサポートするサービスの需要は高まっている。MF KESSAIのファクタリングサービスの申し込み件数自体も増えてきているそうで、今月にはMF KESSAIとMF KESSAI アーリーペイメントの累計取扱高は200億円を超えたという(両サービスを通じてMF KESSAIが譲り受けた累計債権額)。

スタートアップの資金調達環境も今後厳しくなることが予想される中で、自前の売掛金を早期に資金化して使っていける仕組みには需要がありそうだ。田中氏によると「まずは今年度中に20社への導入を目指していく」という。

マネーフォワードがスマートキャンプを子会社化、SaaS事業拡大へ

マネーフォワードは11月11日、SaaSマーケティングプラットフォームを提供するスマートキャンプを子会社化(グループ会社化)したことを発表した。来期となる2020年11月期初よりP/Lが連結対象となる。株式取得の費用は、手元現預金と金融機関からの借入金を充当予定としているが、当期業績への影響は軽微としている。

具体的には、スマートキャンプの既存株主から19億9800万円で72.3%の議決権所有割合ベースの株式を取得。内訳は、複数のVCが持っていた66.0%の株式をすべて買い取ったうえで、経営陣の持株の一部も約20億円で買い取って、持ち分を72.3%とにした。

スマートキャンプは、SaaSプロダクトと導入希望企業をつなぐBOXIL、見込顧客獲得・興味喚起を目的とした「インサイドセールス支援」を実現するうBAILES、Biscuetなどのサービスを手掛けており、コア事業のBOXILは同社の売上高の7割を占め、黒字安定化している。また、BALES事業は前年比で売上高が287%と急成長。Biscuet事業は現在先行投資の段階だ。

今回のグループ会社の狙いについてマネーフォワードは、高成長するSaaSマーケティング領域への事業拡大を挙げる。マネーフォワードが注力する、バックオフィスSaaSの潜在市場規模は約1兆円、スマートキャンプがカバーする国内SaaSマーケティングの潜在市場規模は約0.9兆円。今回のグループ会社により、グループ全体の潜在市場規模は1.9兆円と約2倍になることから、マネーフォワードはバックオフィスSaaS、SaaSマーケティ ング領域で圧倒的No.1を目指すとしている。なお今後も、アライアンスやM&Aを通じて、その他SaaS領域への展開を図るとのこと。

マネーフォワードでOrigami Payの決済データを取り込み可能に

コード決済サービスを運営しているOrigamiが9月27日に自社イベント「Origami Conference 2019」で発表した金融プラットフォーム「Origami Network」。

注目は、同日発表された14社の加盟社の中にマネーフォワードが入っていること。Origami Networkへの加盟によってOrigami Payでの決済履歴を同社の各種サービスに取り込むことが可能になる。同社は資産管理・家計簿アプリ「マネーフォワードME」を提供しているが、コード決済サービスで対応しているのは現在LINE Payのみ。マネーフォワードMEでOrigami Payのデータを扱えるようになれば、資産管理がよりスマートになるはずだ。

マネーフォワードMEがOrigami Payに対応する時期など、詳細は現在マネーフォワードに問い合わせ中で、回答が届き次第記事をアップデートする。

コード決済のOrigami Payが14社とアライアンス結成、すかいらーくや吉野家、そしてマネーフォワードが加盟

コード決済サービスを運営しているOrigamiは9月27日、自社イベント「Origami Conference 2019」を開催し、金融プラットフォーム「Origami Network」を発表した。

すかいらーくや吉野家、第一生命、マネーフォワードなど14社をパートナーとして、加盟店ネットワークや決済機能の提供、決済データの還元を行う。今後は、企業独自のポイントを利用できる機能や顧客管理(CRM)機能をオープン化する。

注目は、マネーフォワードがパートナーに入っていること。マネーフォワードの資産管理・家計簿アプリ「マネーフォワードME」は現在、コード決済サービスではLINE Payの管理にしか対応していないが、Origami Networkへの加盟によってOrigami Payでの決済履歴を取り込めるようになる確率が高い。詳細は13時30分からの発表会を受けて随時追記する。

  • エスパルス
  • 大分フットボールクラブ
  • 大垣共立銀行
  • カフェ・カンパニー
  • すかいらーくホールディングス
  • 第一生命
  • 東京証券取引所
  • 公益財団法人・浜松・浜名湖ツーリズムビューロー
  • Peach Aviation
  • FiNC Technologies
  • フジテレビジョン
  • ペイミー
  • マネーフォワード
  • 吉野家

スタートアップ企業がテレビCMを放映する狙いとその効果

独立系ベンチャーキャピタルのB Dash Venturesが主催するB Dash Campは、例年春と秋に開催されるスタートアップの祭典だ。業界の著名人が数多く登壇するセッションが多いことでも知られる招待制のイベントで、今年の春は5月23日、24日に北海道・札幌で開催されている。

そのイベントで開催された「テレビ広告のベストプラクティスを探る」というテーマのセッションには、GOの三浦崇宏氏、ヘイの佐藤裕介氏、ラクスルの田部正樹氏、マネーフォワードの辻庸介氏が登壇した。

同一ジャンルで真っ先にCMを放映し純粋想起を促す


まずは、数々の広告を手がけているPR/マーケティング会社のGOでクリエイティブディレクターを務める三浦氏は「CMには驚きがないと視聴者は反応しない」とコメント。最近のCMでは「ハズキルーペのCMは素人くささの残る演出だが、それが逆に視聴者の驚きになって結果的には大きな宣伝効果を生んだ」と語る。

さらに「サービスへの信頼、好意を持たせるためにはタレントを起用するべき」とも。特にあまり知られていないサービスほど、タレント起用の意義は大きいという。最近の視聴者はどんどん疑い深くなっているが、知っているタレントが出ているCMであれば安心感を持つ人が多いとのこと。

例えば、三浦氏が手がけたクラウドファンディングのCAMPFIRE(キャンプファイヤー)のCMについては「(CAMPFIREのほか、MakuakeやReadyforなど)3大プレイヤーがいる業界なので、その中でいち早くCMを打って認知を高めたかった」という。クラウドファンディングといえば、CAMPFIREという純粋想起を狙ったCMだという。そのため「15秒版よりも30秒版のほうを多く配信している」とのこと。このCMの出演者は、タレントののんと、チャップリンパフォーマーのジェイソン・アーリンという、多くの人が知っているタレントを起用している。

ほかにもさまざなタレントと交渉したそうだが、金銭面での折り合いが付かなかったり、「自分が責任が持てないサービスには出演できない」「夢を叶えるサービスに夢をすでに叶えた人間が出るのかどうか」などの理由で断られたそうだ。

さらに三浦氏は、CMとタレントという文脈で最近の面白い会社として、腹筋などを低周波で鍛えるトレーニングギアの「SIXPAD」で有名な名古屋を拠点とするMTGを紹介。「MTGはCMにクリスティアーノ・ロナウドを使っているが、あれはロナウドに自社の株式を分けたことで成立した案件」とのこと。同社はスキンケアブランド「MDNA SKIN」も展開しており、このイメージキャラクターになっているマドンナにも同様の契約を結んでいるそうだ。

さて、CAMPFIREのCMについて三浦氏は「CAMPFIREなどのクラウドファンディングを始めたいと考えるターゲットユーザーはテレビの前にはいない」とも言う。テレビの前の99%の人はクラウドファンディングでプロジェクト始める人ではないが、そういう人に向けてクラウドファンディングが健全なサービスであることを周知するという狙いもあったという。実際にクラウドファンディングには「お金がないから支援してください」という負のイメージをもたれることもまだまだあるそうだ。

続けて三浦氏は「CM業界では、宣言編のあとに展開編が続くことが多いが、今回手がけたCAMPFIREのCMはクラウドファンディングを認知させる宣言編」だったという。CAMPFIREはまだ展開編のCMは作ってないそうだが、宣言編のCMを流したあとに鉄道駅などにポスターを掲示したところ、ポスターを見たユーザーがYouTubeでCMを見直すという現象も起きたそうだ。そしてCMを作る側の人間は「こういった宣言編のCMをやりたい人がいっぱいいる」とのこと。

同業他社にぶつけて認知度を上げるコイニー


ヘイの佐藤氏は、同社が提供しているキャッシュレス決済サービス「コイニー」のCMを紹介。このCMは、ナレーターなどを除くとほぼ社内で制作したそうだ。CMの目的は、キャッシュレス決済というカテゴリーと、コイニーの付加価値を訴求すること。より大手の同業他社がCMを放映している時期を狙い、一定期間は放映期間を被せつつ、CM内でサービス名を連呼して認知を高める作戦だったそうだ。

この戦略を採ることで、コイニーよりも資金を投下してタレントを使った他社CMを見た視聴者が「○○が出ているコイニーだよね」といった勘違いを誘導する狙いもあったそうだ。そのほか、トヨタなどの大手企業のCMのあとに流してもらって安心感を高めるという施策も実行したそうだ。ちなみにコイニーのCMについてラクスルの田部氏は「視聴者は上戸彩が出てるのは紳士服のアオキとコナカのどっちだっけ?というレベル。それならCMを打ちまくってやりきるのが大事」とコメントした。

ラクスルはABテストで放映CMを決定


そのラクスルの田部氏は自社のCMについて、コストを抑えられる地方、地方大都市、首都圏・関西圏にフェーズを分けてCMを配信したとのこと。第1フェーズではCM放映後にどういったキーワードが検索されるかをチェック、第2フェーズではタレントは女性がいいのか男性がいいのかを複数のCMを流して比較。こういったABテストを各2カ月、計4カ月繰り返したうえで、評価が高かったものを首都圏などに配信するという手法を採ったそうだ。

地方でCMを打ったところ「ネット印刷」というキーワードはさほど検索されず、「チラシ印刷1枚1.1円」や「ラクスル」という言葉への反応が高かったとのこと。そして好感度については、男性タレントよりも女性タレントのほうがウケがよかった。

その結果、首都圏など放映されているCMには「チラシ印刷1枚1.1円」のキーワードやタレントののんが起用されている。田部氏は、チラシなどの印刷市場は3兆円ほどと言われていて、最近はネット印刷が1年100億円規模で増加している。競合大手がいる中でラクスルはこの年間の増加額の過半数をとっているとのこと。「一度CMをやりきって認知させておけば、その広告費を減らしても売上が落ちない。こういった数字は資金調達の際にも重要」と語る。

タレント起用で認知度を高めたマネーフォワード


マネーフォワードの辻氏は、自社のCMについて「当初私は、タレントなんて使わなくていいのはないかという反対派だったが、実際に放映してみるとタレントを起用したCMのほうが圧倒的だった」とのこと。本当は会社の使命などの想いをCMでも伝えたいが、詰め込んでも視聴者の頭からは抜けてしまうのが悩みどころとのこと。理想としているのは、巨人軍の終身名誉監督である長嶋茂雄氏が出演しているセコムのCMとのこと。ちなみに辻氏の「これから起用するなら誰?」という問いに、クリエイティブディレクターの三浦氏は「イチロー氏」と即答。


マネーフォーワードCMは、チュートリアル徳井、オリエンタルラジオ、ローラなどを起用してきたが、現在では藤田ニコルをはじめさまざまなタレントやキャラクターが出演している。現在のCMは出演するタレントに実際にお金に対する考えて書いてもらってからCMに臨んだそうだ。ちなみに「つば九郎のCMは社内で評価が高かったのですが、つば九郎はしゃべらないというキャラ設定のため、CMでもフリップをめくるだけで音がなく、視聴者に刺さらなかった」と苦笑いした。

そのうえで、CPA(顧客獲得にかかる広告の費用対効果)は2年できっちりと刈り取るため、CMを受けてのウェブのほうにはかなり力を入れたそうだ。「なぜCMを放映したのか?」という問いには、「競合のプレーヤーがいるカテゴリーで真っ先にCMをやりたかった」とのこと。辻氏は続けて「そのために、資金調達したらすぐにCMに投下していた」と振り返る。CAMPFIREのCMと似た傾向だ。

プロダクトやサービスが一定水準に達したあとに、スタートアップ企業が新たな資金調達に成功するとテレビCMを打つというのは、最近では当たり前になってきた。今回のセッションを終えて個人的に感じたのは、至極当たり前だが「とにかく目的を持ってやりきることが大事」ということだ。

マネーフォワードが自前の研究機関「マネーフォワードラボ」設立、家計の“ちょっと先の未来”を可視化

家計簿アプリなどを提供するマネーフォワードは3月6日、データ活用を目的とした研究組織「マネーフォワードラボ」を設立すると発表。都内にある同社オフィスで発表会を開催した。

マネーフォワードはこれまで、個人向けの家計簿サービス、法人向けの会計サービス、「Money Forward for 〇〇」という形で金融機関などと共同で提供するサービス、そして「MF KESSAI」などの決済領域サービスの4つを事業領域としてビジネスを提供してきた。マネーフォワードラボの使命は、それらのサービスに集まる「個人の家計簿データ」や「法人の会計データ」の利活用の方法を探ることだ。

マネーフォワードラボでは「事業インパクト」と「データ優位性」が高い領域を優先領域として、注力する研究テーマを設定。具体的には、自然言語処理、機械学習/深層学習、UI/UXの3つの領域を磨くという。それにより、例として「家計改善・資産形成コンシェルジュ」「高精度な自動仕訳」「不正・異常検知」などのサービスに研究した技術を適用可能だとしている。また、お金の流れをわかりやすく提示したり、行動変容を促すUIなどの研究も進めていくという。

発表会に登場したマネーフォワード取締役執行役員CTOの中出匠哉氏は、「弊社はこれまで『データの見える化』をバリューとして価値提供してきた。そのうちに、家計簿サービスに集まるデータを活用すれば、ユーザーにより大きな価値を与えることができると考えるようになった。これまでも大学との共同研究などを通し、データの利活用について研究してきたが、家計データはセンシティブなものであるためセキュリティ面での運用に難があった」と話す。そのような理由から、マネーフォワードは自社内でデータの利活用を研究できる研究機関を立ち上げることとなった。

マネーフォワード取締役執行役員CTOの中出匠哉氏

マネーフォワードラボの所長を務めるのは、NTT、ヤフー、Zコーポレーションなどを経て2018年12月にマネーフォワードに入社した北岸郁雄氏。彼は2007年にヤフーでYahoo! JAPAN研究所を設立して研究開発業務に従事し、Zコーポレーションではファンドマネージャーとして投資業務を行ってきた人物だ。また、マネーフォワードラボの技術顧問は、理化学研究所革新知能統合研究センターの言語情報アクセス技術チームでチームリーダーを務め、ニューヨーク大学の研究准教授でもある関根聡氏(コンピューターサイエンス博士)が務める。

マネーフォワードラボ所長の北岸郁雄氏

北岸氏は発表会において、「データの利活用によって、家計、資産、会計の少し先の未来を可視化し、ユーザーが抱える不安を解決する」ことがマネーフォワードラボの目標だと語った。

マネーフォワードが新たにクーポンアプリ提供へ、日々の買い物がおトクになる「tock pop」を11月に公開

個人向けの家計簿アプリやビジネス向けのクラウドサービスなどを展開するマネーフォワード。同社は10月26日、新サービスとしてクーポンアプリ「tock pop(トックポップ)」を準備していることを明らかにした。同サービスは11月26日にリリース予定で、本日より事前登録の受付を始める。

tock popはグルメやレジャー、美容・健康、エンターテイメントなどさまざまなサービスの割引や優待が受けられるクーポン情報アプリだ。まだ正式ローンチ前ということもあるだろうけれど、説明やキャプチャを見ている限りはかなりシンプルな設計の模様。「お店を見つける」「クーポンを選ぶ」「クーポンを見せる」という3ステップで、毎日のお買い物がおトクになるという。

マネーフォワードでは2012年5月の設立以降、個人向けの自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を運営してきた。つい先日には利用者数が700万人を突破したことを発表。ユーザーのお金の管理や収支改善をサポートしている。

一方で「お得な情報を知りたい」「もっと節約に繋げたい」といった利用者の要望もあったため、その声に応えるサービスとして今回tock popを開発するに至ったようだ。

将来的にはクーポンの印刷やクーポンを探すといった手間を省略し、マネーフォワードの家計データに基づいて個々のユーザーに適切なクーポンを提供する仕組みを予定しているという。

ちなみに同社は「TechCrunch Tokyo 2013」のスタートアップバトルに参加した1社。代表取締役社長CEOの辻庸介氏には昨年のTechCrunch Tokyoにもスピーカーの1人として登壇してもらっている。いよいよ今年のTechCrunch Tokyoまで20日を切った。スタートアップの熱いピッチや起業家達のセッションをぜひお見逃しなく。

ビデオ:TechCrunch Tokyo2017ーーマネーフォワード 辻庸介氏の講演を初公開!

現在お得な「超早割チケット」が発売中で11月15日(木)と16日(金)に渋谷ヒカリエで開催される日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。開催までいよいよあと約2ヶ月というところだが、今日は昨年のTechCrunch Tokyo2017に登壇いただいたマネーフォワード代表取締役社長 辻庸介氏の講演動画を公開したのでお知らせしたい。

これまでは記事のみでの紹介だったが、TechCrunch Tokyoではどのような講演が期待できるのか皆さんに知ってもらいたいと思い、フル尺のビデオを公開することにした。

マネーフォワードは2017年9月に東証マザーズへの上場を果たしたが、2012年5月に創業した同社はその翌年に開催されたTechCrunch Tokyo 2013のスタートアップバトルに参加していた。

それから4年後のTechCrunch Tokyo 2017、Fireside Chatに登壇した辻氏は創業当初の資金調達や人材採用における失敗を赤裸々に語ってくれた。

今年のTechCrunch Tokyo 2018にはGitHub CSOのJulio Avalos氏dely代表取締役の堀江裕介氏、アメリカのドローンスタートアップTop Flight TechnologiesでCEOを務めるLong Phan博士、そして今年上場したHEROZ代表取締役 林隆弘氏の登壇が決定しているとお伝えしてきたが、今後も続々とアナウンスしていくので期待して待っていてほしい。

おっと、言い忘れるところだったが、通常料金よりも大幅に割引された超早割チケットは9月18日までの発売となっている。来場を検討している皆さんにはこのチャンスを逃さないでほしい。

チケット購入はこちらから

TechCrunch Tokyoに来るべき“2つの大きな理由”

マネーフォワード代表取締役社長 辻庸介氏

今年も11月15日(木)と16日(金)に渋谷ヒカリエで開催される日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。毎年開催している同イベントにまだ来たことのない皆さんのために、当日は何を期待できるのか、そもそもTechCrunchとはどんなメディアなのか、説明したいと思う。今ならお得な「超早割チケット」と「学割チケット」を発売中なので、“面白そうだ”と感じてもらえたら来場を検討してほしい。

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきた。現在、米国を始め、欧州、アジア地域等のテクノロジー業界の話題をカバーしている。

日本では2006年6月にTechCrunch Japanが産声を上げた。以降、翻訳コンテンツだけでなく日本オリジナル記事の投稿やイベントなどを開催している。TechCrunch Japanのこれまでについてはこの記事も参照してほしい。

TechCrunch TokyoはそんなTechCrunch Japanが毎年自信を持って開催しているスタートアップ・テクノロジーの祭典だ。今年で通算8回目の開催で、昨年は約2500人が参加した。似たようなイベントがあるなか、なぜTechCrunch Tokyoに来るべきなのかーーそれには2つの大きな理由がある。

Uber共同ファウンダーTravis Kalanick氏

1つめの理由は、多くの旬な海外スピーカーによる講演を見られるから。彼らによる貴重な講演は国内の他社イベントではめったに見ることはできないだろう。たとえば、おなじみの配車アプリUberの共同ファウンダーTravis Kalanick氏は同社のCEOを勤めていた2012年当時、TechCrunch Tokyoに登壇しアジアに事業を拡張し「Uber Tokyo」を発足させるつもりだと述べた。日本法人Uber Japanは翌年の2013年に設立された。また、昨年のTechCrunch Tokyo 2017にはコミュニケーションツールSlack共同創業者でCTOのCal Henderson氏が登壇Slackが日本語版をローンチしたのは2017年11月17日、Henderson氏が登壇した当日だった。

2013年のスタートアップバトルに登場した辻氏

2つめの理由は、“これから”注目すべき新進気鋭のスタートアップによる斬新なプロダクト・サービスをいち早く知ることができるから。TechCrunch Tokyo最大の目玉「スタートアップバトル」では創業3年未満のスタートアップが壇上でピッチバトルを繰り広げる。2017年9月に東証マザーズへの上場を果たしたマネーフォワードの代表取締役社長 辻庸介氏も2013年にスタートアップバトルに参加した“卒業生”の一人だ。当時のマネーフォワードはサービスリリースから1年と経たない小さなスタートアップだった。今年のスタートアップバトルからも将来の上場企業やユニコーンがきっと誕生してくれることだろう。

今年も数多くのドラマが生まれるであろうTechCrunch Tokyo。今後も様々な重大発表を予定しているので期待して待っていてほしい。

現在一般入場者向けとして1万8000円の超早割チケットを9月18日まで、学生のみなさんにはさらにお得な5000円の学割チケットを100枚限定で用意している

チケット購入はこちらから

マネーフォワード、経営分析クラウド運営のナレッジラボをグループ会社化ーー約2億円を出資

左から、ナレッジラボ代表取締役の国見英嗣氏、マネーフォワード代表取締役社長の辻庸介氏

自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」やビジネス向けクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」などを提供するマネーフォワードが7月5日、経営分析クラウド「Manageboard」を提供するナレッジラボに約2億円を出資し、グループ会社化することを発表した

「中小企業の業務効率化から収益向上まで、一貫したソリューションを提供」するのが同社のねらいだ。

Manageboardは会計ソフトのデータをインポートするだけのシンプルなプロセスで経営分析ができるクラウドサービスだ。目標売上高や前提条件を設定すると、会計データをもとに自動で予算実績分析やキャッシュフロー予測などの経営シミュレーションができる。2018年夏にはAI監査も行えるようになるという。

マネーフォワード代表取締役社長の辻庸介氏は同日の会見で、グループ会社化により「中小企業の収益向上実現を目的とした事業領域の拡大」や「会計事務所へのツールとノウハウの提供により、全国の中小企業の収益向上」を実現することができると説明した。

同氏いわく「日本の労働生産性は先進国で最低レベル」で「赤字企業が全体の64パーセント」。MFクラウドのユーザーや非効率な会計業務を行なっている中小企業にManageboardを提供し、収益向上につなげる、と意気込んだ。

具体的には、グループ会社化により以下が実現されるという。

(1)経営分析クラウドManageboardの提供

・MFクラウド会計とManageboardを連携

・クラウド会計データを元にした予算実績分析・キャッシュフロー予測・AI監査などの分析データを提供

(2)CFOアウトソーシング「財務戦略顧問」の提供

・Manageboardを活用し、対面コンサルティングを行うことで、企業の経営アクションを促進

クラウド会計サービスによる中小企業の経営支援としては、7月2日に「クラウド会計ソフト freee」を提供するfreee新たに「予算・実績管理機能」をリリースしたのが記憶に新しい。

だが、今回の発表では、辻氏はあくまでも強気に今後のプランについて語っていた。

「急成長するFintech・SaaS市場において、さらにナンバーワンの地位を確立していきたいと思っている。次のステージに行けるのではないかという期待感が我々にはある」(辻氏)

マネーフォワード、2018年内に仮想通貨取引所を開設

資産管理サービスなどを展開するマネーフォワード523日、金融機関とテクノロジーの融合をテーマにした「Fintech&マーケティングフォーラム2018」を開催。同社はそのクロージングセッションにおいて、ブロックチェーン領域のビジネスを行う新会社を設立したと発表した。

新会社名は「マネーフォワードフィナンシャル(以下、MFフィナンシャル)」。MFフィナンシャルでは、2018年よりブロックチェーン・関するメディアを開始するほか、2018年内に仮想通貨交換所の開設を目指すという。また、時期は未定であるものの、将来的に仮想通貨の送金・決済プラットフォームの構築も見据えている。新会社の代表取締役に就任するのは、「MFブロックチェーン・仮想通貨ラボ」の中心メンバーで、日本銀行出身の神田潤一氏だ。

マネーフォワードはこれまで、資産管理と確定申告に利用できるサービスを提供してきたが、仮想通貨に関して「知る(メディア)」、「交換する(交換所)」、「利用する(送金・決済)」を提供することで、仮想通貨の認知から確定申告まで一貫してマネーフォワードグループのサービスで解決できる世界を目指すという。

以上の発表に加え、マネーフォワードは資産管理サービス「マネーフォワード」が連携する仮想通貨取引所の数を現在の3社(bitFlyerCoincheckZaif)から約20社に拡大することも併せて発表。新しい連携先には、BTCBOXbitbankQUOINEXFISCOなど国内外の取引所が含まれる。また、今後はマネーフォワードで自動取得した仮想通貨の取引データをCryptactCryptoLinCG-taxなどの損益計算ツールとAPI連携を行うことで、計算結果をCSV形式でダウンロードできるようになる。そのファイルを確定申告用の「MFクラウド確定申告」にインポートすれば、申告書の自動作成も可能になる。

クロージンセッションに登壇した神田氏は、「世界中のユーザーにフリーでフェアなサービスを提供することが、MFフィナンシャルの使命。仮想通貨の取引をしないユーザーの47.3%がセキュリティに不安があるからと答えている結果(同社実施のアンケート結果)を受け、MFフィナンシャルの取引所ではセキュリティを最優先事項とする」と話した。

「これからはCurrency2.0の時代。場所・時間・手段からの自由、国境やイデオロギーからの自由、固定された価値からの自由を意味すると私たちは考えている」(神田氏)

MFフィナンシャルでは、3年後までに100名規模の採用と育成、ブロックチェーン技術の実用化に向けた研究開発、全国の金融機関との連携を進めていくという。

(アップデート:5月23日18:50)

以下、セッション後に開催された質疑応答の内容をまとめる。

MFフィナンシャルの仮想通貨取引所における取り扱い通貨について、神田氏は「比較的規模が大きく、ユースケースが明確な通貨をまずは取り扱う」とコメントした。セキュリティを最優先すると強調した同社だが、コールドウォレットとマルチシグによる運用は現在「検討中」(神田氏)。MFフィナンシャルはすでに仮想通貨交換業登録を申請中で、現在金融庁とビジネスモデルについての意見交換を行っている最中だという。

マネーフォワードの株主には、SBIやマネックスなど仮想通貨交換業への参入に興味を示す企業が名を連ねているが、神田氏は「各企業はそれぞれの考え方に基づいてビジネスを行っているが、そのなかで、連携できるところは連携を進め、ライバルとなる場合でも、お互いが切磋琢磨して業界全体のレベルを上げることが出来ればと考えている」と話した。

マネーフォワード、ソフトウェアテストのSHIFTと共同で新サービス――IT業界の資金繰り改善めざす

マネーフォワードのグループ子会社で、企業間後払い決済サービスを提供するMF KESSAIは4月16日、ソフトウェアの品質保証を手がけるSHIFTと業務提携を結び、IT企業向けの債権買い取りサービス「SHIFT KESSAI」を開始すると発表した。

写真左より、MF KESSAI代表取締役の冨山直道氏、SHIFT代表取締役の丹下大氏、マネーフォワード代表取締役の辻庸介氏

MF KESSAIはこれまで、マネーフォワードグループがもつ財務データと取引データをもとに、企業の与信審査、請求書発行、代金回収などの決済業務を一括して代行する企業間の後払い決済サービスを展開してきた。2017年6月のサービスリリース以降、現在までに数百社程度の利用実績があるという。これまで“請求業務と回収リスクからの解放“という価値を提供してきたMF KESSAIは今後、ソフトウェアの品質保証を手がけるSHIFTと手を組み、新たに“早期入金によるキャッシュフロー改善”という新しい価値を提供する。

MF KESSAIが業務提携を結ぶSHIFTは、2005年の創業以来ソフトウェアの品質保証サービスを提供してきた。同社には、クライアントやパートナー企業を含む約2000社分のIT企業の実績データ、開発案件、エンジニアの実績データなどが蓄積されているという。SHIFT KESSAIでは、そのSHIFTがもつデータとマネーフォワードの財務データを組み合わせることで、財務与信に加えてIT企業の開発力の与信も実施。債権買い取りに必要な与信モデルを構築する。そして、ユーザー企業の売掛債権を買い取り、そこから手数料(3〜9%)を引いた金額を通常より早いタイミングで入金する。ユーザー企業は、この早期入金サービスを利用することで人件費などが発生する以前にキャッシュを手元に用意することができる。

SHIFT代表取締役の丹下大氏は、「案件を受注してから例えば6ヶ月後に入金されるとしても、それ以前に人件費などのコストを支払う必要がある。それによって資金繰りが難しくなってしまうが、IT企業は担保に入れる資産がないことが多く、銀行などから融資を受けることも難しい」と、中小のIT企業が抱える資金繰りの難しさについて話す。

新サービスのSHIFT KESSAIは2018年5月より提供開始される予定だ。MF KESSAI代表取締役の冨山直道氏は、「MF KESSAIでは今後、各業界や産業のプラットフォーマーと協業することで、MF KESSAIのサービスを幅広いユーザーに提供していく」と今後の展望について語った。特に、物流、広告制作・運用、人材派遣、農業、漁業などの分野での協業を進めていくという。

仮想通貨の確定申告サービスが続々公開――freeeが損益計算ツールをリリース、マネフォも支援プログラム

2018年に入ってもう1カ月が過ぎた。いよいよ今年もあのイベントがやってくる。そう、確定申告だ。

毎年この時期はバタバタする人が増えるけれど(まさに僕もその1人だ)、今年はビットコインを中心とした「仮想通貨」が急速に広がったことで、例年以上に混乱する年となるかもしれない。

国税庁は2017年9月に「ビットコインを使用することにより生じる損益は、原則として雑所得に区分する」という旨のタックスアンサーを発表。12月には所得の計算方法に関するガイドラインも公開した。

ただし大枠については見解が示されているものの、完全に制度が整っている段階とは言えず、「正直どうしたらいいのかわからない」という人もいるだろう。

詳しくは後述するが、そのような「仮想通貨の確定申告」の問題を解決しようとするスタートアップが、2018年に入り増えてきている。クラウド会計ソフトなどを展開するfreeeもそのうちの1社。同社は2月5日、仮想通貨の損益計算ツール「会計freee for 仮想通貨」をリリースした。

制度が追いついておらず、納税のハードルが高い

確定申告の対象者にとって大きな障壁となるのが、国税庁が示す方法に対応するために必要な「取引時のレートの取得」だろう。

「取引所ごとにレートが異なるため、正確な計算には各取引所で当時のレートを取得する必要がありかなりハードルが高い。また仮想通貨の課税制度も複雑。今後新たな技術がでてきた時にイノベーションを阻害しないためにも、もう少し制度や仕組みが追いついてくる必要がある」(freee 担当者)

国税庁のガイドライン公開などに伴って、freeeにも仮想通貨が絡んだ確定申告についての問い合わせが増加。対象者向けのセミナーの募集をしたところ、公開から2時間もたたない間に200人以上の申込みがあり、想定していた400人の枠が1日で埋まってしまったという。

「今まで自分で申告をやったことがないサラリーマンも多い。周りに話の聞ける専門家がいないケースも多く、そもそも確定申告が必要なのか把握できていない人もいる状況」とのことで、年明けから急ピッチで損益計算ツールを開発した。

会計freee for 仮想通貨は対応する取引所の履歴(CSV)をアップロードすると、国税庁のガイドラインに基づく形で仮想通貨の損益計算をしてくれるツールだ。売却と仮想通貨のトレードに対応し、取得価格の計算方法は総平均法を用いる(freeeが利用許諾を得ている外部サービスの過去レート情報をもとに計算)。仮想通貨を利用した商品購入については対象外となる。

現時点での対応取引所はbitFlyerとbitbankの2つで、今後は取引所の拡大や移動平均法での計算に対応することも検討するという。損益計算ツールの利用については無料。会計freeeのユーザーであれば、取得した結果を確定申告書類にも反映できるのが特徴だ。

無料で利用できる一方で、対応する取引所の数が限られるなど他のツールに比べて圧倒的に優れているとは正直言えないかもしれない。

ただその点については「損益計算ツールでマネタイズしたい、他社に負けないツールを作りたいというわけではなく、困っている人が多いので少しでも助けになればと開発した。会計ツールこそがウリなので、仮想通貨に関する申告が(初めて申告する人でも)わかりやすいような設計をした」としている。

マネーフォワードなど複数社が申告サポートサービス公開

冒頭でも触れたとおり、損益計算ツールを中心とした仮想通貨の税務関連サービスが増え始めている。TechCrunch Japanでは1月に「G-tax」を提供するAerial Partnersを紹介した。G-taxは10の取引所に対応する無料の損益計算ツール。これに加えて同社では仮想通貨税務に詳しい税理士を紹介する「Guardian」も手がけている。

ゴールドマン・サックス出身の起業家が手がかる「Cryptact」は13の取引所、1476種類の仮想通貨に対応。すでに8500人が登録していて、EY税理士法人との税務顧問契約も発表した。

また損益計算ツールではないが、マネーフォワードもAerial Partnersと連携した仮想通貨申告サポートプログラムを2月2日に始めたばかり。仮想通貨取引に関する確定申告者に対して、認定仮想通貨税理士が損益計算や申告書作成などを支援するという。

確定申告期間に向けて、この領域は今後さらに盛り上がっていきそうだ。

「金と人は俺が集めるから、やろう」――辻庸介氏が語るマネーフォワードの創業ストーリー

2017年9月、家計簿アプリの「マネーフォワード」やお釣り貯金アプリの「しらたま」などを展開するマネーフォワードが東証マザーズへの上場を果たした。

2012年5月に創業したマネーフォワードは、その翌年に開催されたTechCrunch Tokyo 2013のスタートアップバトルに登場したこともある。それから4年が経ち、当時はまだ創業したばかりのスタートアップの社長だった辻庸介氏が、今度は上場企業の社長としてTechcrunch Tokyoに戻ってきてくれた。本稿は2017年11月17〜18日開催のイベント「TechCrunch Tokyo 2017」のセッションのレポートだ。

マネーフォワードの歴史は、恵比寿の小さなマンションの1室から始まった。辻氏は当時を振り返りながらマネーフォワードの創業ストーリーを語った。

始まりは、失敗から

辻氏がビジネスに目覚めたのは、大学時代のことだった。当時、彼は京都大学農学部で木材を溶かして発泡スチロールを作るという「今話しても誰一人として興味をもってくれない研究」(辻氏)に没頭する、研究者寄りの人物だった。だが、大学のテニスサークルで一緒だった先輩が起業し、その手伝いをしたことでビジネスの面白さに目覚めることになる。

辻氏は大学卒業後にソニーに入社。そこで経理担当として数年間務めたのち、2004年にマネックス証券へと転職した。

「(マネックスグループ代表取締役の)松本大さんには非常に影響を受けた。当時の日本では、インターネットバンキングは今ほど便利ではないし、サービスの質も悪かった。そんななか、松本さんは『日本の金融を変える。資本市場を民主化する』というビジョンを掲げていて、それに共感したことが転職のキッカケだった」(辻氏)

マネックス証券でマーケティング部長として務めた辻氏はその後独立し、2012年5月にみずからの会社を立ち上げた。これが後にマネーフォワードとなる。松本氏に影響を受けたと話す辻氏が独立後のビジネス領域として選んだのも、やはり金融だった。

「さまざまな人生において、お金の問題はすごく障害になっていると思う。例えば、お金のことを今後一生心配しなくてもいいと言われたら、何パーセントの人が今の仕事を辞めるのだろうとか、そんなことを考えていた。それぞれの家庭には教育費の問題や老後の不安があるし、中小企業の中には、融資を受けられさえすればもっと伸びるのにと思う会社がいっぱいある。そんな課題をサービスで解決できればと思っている」と辻氏は語る。

創業したばかりの辻氏が始めたのは「Moneybook(マネーブック)」と呼ぶサービスで、当時の社名もサービス名と同じマネーブックとしていた。Facebook創業者マーク・ザッカーバーグの本を読み、そのオープン思想に共感した辻氏は、「まずは家計が上手な人の事例をオープンにして誰もが見れるようにする。ユーザーがそれをマネすれば、勉強しなくても家計が上手くなるのではないか」と考えた。

Facebookのマネー版。だからマネーブックというわけだ。しかし、このサービスは残念ながら上手くいかなかった。「ユーザーはずっと10〜20人。しかも、10人中7人が僕の友だちというような状態だった」と辻氏は当時を振り返る。辻氏はマネーブックの運営で「『リーン・スタートアップ』(エリック・リースの著書)に書いてある失敗事例はすべて体験」し、結局、マネーブックは失敗のまま幕を閉じることとなった。

その後、会社の再起を懸けて作り上げたのが家計簿アプリの「マネーフォワード」だ。同社は2012年12月15日にマネーフォワードのベータ版をリリース。社名もそれに併せてマネーフォワードへと変更している。そして、このピボットが辻氏たちの運命を大きく変えることになった。

人をハッピーにするサービス

リリースの翌年にあたる2013年10月28日、マネーフォワードはJAFCOを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額5億円の資金調達を完了したと発表した。今でこそ億単位の資金調達のニュースをよく目にするようになったが、2013年当時ではスタートアップが数億円の資金調達をするというのは珍しいことだった。その頃、マネフォワードに登録されたユーザーデータは1億件を超え、サービスが連携する金融機関の数も正式版リリース時の201件から1300件へと大きく増えていた。

提供するサービスの幅も広がった。5億円の資金調達を発表した翌月の2013年11月、マネーフォワードは法人向けの「マネーフォワード for BUSINESS(現:MFクラウド会計MFクラウド確定申告)」をリリースする。

法人向けサービスの開発に社内は猛反対だった、と辻氏は言う。当時はまだ人的リソースも少なく、個人向けのマネーフォワードの開発だけでも手が回らないほど忙しかった。終電の1本前で帰ろうとした辻氏に対し、社員が「辻さん、今日は早退ですか?」と言うほどだ。しかも、会計系サービスにとって外せない確定申告シーズンに間に合わせるためには、わずか3ヶ月でサービスを完成させる必要があった。

そのような反対意見に対し、辻氏は「このサービスは絶対に人をハッピーにする。金と人は俺が集めてくるから、やろう」と言い放つ。この強い熱意が社員を背中を押し、ついに法人向けサービスの開発が始まった。ソニー時代、経理部門で経理担当者のカスタマーペインを体感していた辻氏だからこそ出た言葉だった。

人と資金を集める

個人向け、法人向けと続けざまにサービスをリリースし、5億円という大型の資金調達も完了したマネーフォワード。端から見ればすごく順調そうに見えるけれど、もちろん、当人にとっては苦労の連続だった。当時の資金調達について辻氏はこう振り返る。

「当時、スタートアップが数億円規模の資金調達をするという事例はあまりなく、その規模で調達していたのはクラウドワークスの吉田さん(吉田浩一郎氏)やnanapiのけんすうさん(古川健介氏)くらいだった。お2人とはあまり面識はなかったが、厚かましく色々と聞きに行って勉強させてもらった。ああいうのがなければ、無理でした」(辻氏)。

「初めての調達の時はほぼすべてのVCを回った。でも、断られ続けた。マネーフォワードを見せたとき、『こんな怖いサービス、ユーザー1万人も集まらないよ』と言われたのを今でも覚えている。当時は自信もないので、有名な方にそう言われると『やっぱりダメなのかも』と思ったりもした」と辻氏は当時を振り返る。

スタートアップの創業者が集めなければならないのは資金だけではない。サービスが本当に成功するのかも分からないなかでも企業の黎明期を支えてくれるメンバーも集めなければならない。

従業員を集めるために、辻氏はまず知り合いから声をかけていった。知り合いのなかから、「こいつを選んで失敗するのであれば、しょうがない」と思える人たちをリスト化し、それを片っ端からあたっていった。でも、最初は上手くいかなかった。

「苦しいときはどうしても人手が欲しくなる。目の前で火が噴いていれば、それに水をかけて消さないといけないんです。でも、そうして急いで集めた人材がじつは油だったなんてこともあった。」(辻氏)

人材採用にまつわる失敗を重ねてきた辻氏は、その経験から今では「迷ったら採らない」と決めているそうだ。また、当時は10以上もあった“採用で重視するポイント”も今では3つに絞り込むことができた。地頭の良さ、チームワークができる人柄、ビジョンへの共鳴だ。「特に、ビジョンへの共鳴が最終的には一番重要」と辻氏は語る。

久しぶりのTechCrunch Tokyoの舞台で、辻氏は創業当初の資金調達や人材採用における失敗を赤裸々に語ってくれた。現在は上場企業となったマネーフォワードも、創業当初は苦労の連続だった。でも、当時の思い出を語る辻氏の表情はとても明るかった。

壇上で、「もう一度マネーフォワードを創業するとしたら、二度とやらないことは何か」と聞かれた辻氏は、笑顔でこう答えた。

「まず、マネーブックは作らなかったですよね」

SaaS/Fintechに特化した「マネーフォワードファンド」立ち上げ——メルカリ、ウォンテッドリーに続き

2017年7月にメルカリが立ち上げた「メルカリファンド」に続き、ウォンテッドリーが「Wantedly AI/Robot Fund」を立ち上げたと今日報じたばかりだが、今度はFintechスタートアップの雄、マネーフォワードがファンドをスタートしたとのニュースが入ってきた。

1月15日、マネーフォワードはSaaS/Fintech領域に特化した「マネーフォワードファンド」の立ち上げを発表した。マネーフォワードファンドは、対象領域でビジネスを展開する企業への出資、事業拡大に必要なノウハウ共有、送客やAPIなどのサービス連携、パートナーとのネットワークを活用した協業支援などを行うことを目的とした、投資プロジェクト。メルカリ、ウォンテッドリーと同様に「ファンド」と呼称してはいるものの、子会社設立やファンドの組成を伴わない、出資プロジェクトとしての位置づけだ。

マネーフォワードは、2015年12月にお金のデザイン、2017年10月にはCAMPFIREおよびLIFULL Social Funding、そして2018年1月にBASEと、これまでに4社との資本業務提携の実施を発表している。

今回のファンド開始の発表と同時にマネーフォワードは、インドネシアでクラウド型の会計ソフト「Sleekr Accounting」とHRサービス「Sleekr HR」を提供するSLEEKRグループへの出資を、前述の4社に加えたファンドプロジェクトの取り組みとして新たに発表。マネーフォワードが海外企業へ出資するのは、これが初めてとなる。

マネーフォワードでは、今後も同ファンドを通じて、国内外でシナジーが期待できるSaaS/Fintech企業との出資を含めた提携を進めていく考えだ。

マネーフォワード、ブロックチェーンや仮想通貨関連新サービス開発に向けてラボ立ち上げ

個人向け家計管理ツールの「マネーフォワード」や自動貯金アプリの「しらたま」などを提供するマネーフォワードは12月29日、ブロックチェーン技術や仮想通貨を活用した送金・決済領域の研究を目的とした「MF ブロックチェーン・仮想通貨ラボ」を設立したと発表した。

2012年に創業して以来、個人向けと企業向けにさまざまなタイプの金融サービスを提供してきたマネーフォワード。同社がこれまで注力してきたのは、“お金の見える化と経営の見える化“だった。そのうちに、マネーフォワードは「個人間および企業間の送金・決済領域において、既存の金融システムでは解決できない課題が存在している」ことに気づく。同社がその解決策として期待するのがブロックチェーン技術だ。

日本は全世界におけるビットコイン取引高の大部分を占めるなど、仮想通貨先進国として知られている。マネーフォワードは、「日本はFintechの市場規模では世界に遅れを取ってきたが、仮想通貨・ブロックチェーン分野では世界に先進できる可能性をもつ」と語る。

MF ブロックチェーン・仮想通貨ラボを設立することにより、マネーフォワードはブロックチェーン技術を活用した新サービスの開発に着手する。その具体的な内容はまだ分からないものの、同社から入手した資料によれば、個人間と企業間、そして国をまたぐ海外送金にかかる手数料を削減すること、そして、送金にかかるストレスを軽減することがこの新サービスの目標となるようだ。

写真左より、執行役員CTOの中出匠哉氏、執行役員 渉外・事業開発担当の神田潤一氏

研究開発の中心となるのは、2017年12月に執行役員と渉外・事業開発担当に就任した神田潤一氏、そして執行役員CTOの中出匠哉氏の2人だ。神田氏は日本銀行と金融庁を経てマネーフォワードに入社した人物。ブロックチェーン技術や仮想通貨の分野は規制がいまだ不十分という声も聞かれるなか、新サービス構築にあたって必要となるであろう各省庁との“会話”では神田氏がキーマンとなる。

同社は今回の研究機関設立にともない、ブロックチェーン技術に興味・関心をもつ人材の採用を進めるとともに、仮想通貨交換業者登録を検討するとしている。

マネーフォワードがクラウド記帳ソフトを提供するクラビスを8億円で子会社化、記帳業務の全自動化へ

約1ヶ月前にマザーズへ上場したFintechスタートアップのマネーフォワード。同社は11月2日、クラウド記帳ソフト「STREAMED(ストリームド)」を提供するクラビスの全株式を8億円で取得し、子会社化することを明らかにした。

STREAMEDは経理の記帳業務に特化したクラウドサービスだ。ユーザーが領収書や請求書をスキャンすると、1営業日以内に会計データへと変換。システムによる自動仕訳とオペレーターによる作業を組み合わせることで手書きの領収書でも正確にデータ化できることが特徴だ。会計事務所での記帳代行に加え、個人事業主や一般企業向けのプランも提供し幅広い用途で使われている。

一方マネーフォワードもビジネス向けにバックオフィス業務の効率化を支援する「MFクラウド」シリーズを提供してきた。現在は7つのサービスを展開していて、ユーザー数は50万以上、全国で2400以上の会計事務所で活用されている。

特に主力の「MFクラウド会計・確定申告」は銀行やクレジットカードなどの取引情報の自動取得や自動仕訳といった、「デジタルデータを活用した記帳業務の自動化」をひとつのウリとしてきた。

マネーフォワードでは今回の子会社化をきっかけに「アナログデータの記帳自動化」を強みとするSTREAMEDと連携し記帳業務の全自動化を推進するほか、バックオフィス業務におけるAI活用で国内ナンバー1を目指すとしている。

クラビスは2012年の設立でSTREAMEDのリリースは2014年。株主には代表取締役社長の菅藤達也氏のほか、辻・本郷税理士法人やSMBCベンチャーキャピタル、セゾン・ベンチャーズなどが名を連ねている。