マレーシア発のドローンスタートアップ、エアロダインが日本進出

マレーシアを拠点とし、ドローンを利用したインフラ点検サービスなどを提供するエアロダインは12月21日、北海道伊達市にある風力発電機の保守点検を実施した。これが同社にとって日本における初オペレーションとなり、この市場における日本進出を果たした。

従来、風力発電機の点検は人間の作業員が行っており、作業時間と人件費の削減が大きな課題となっていたという。また、背の高い風力発電機の保守点検は危険を伴う。そんななか注目されているのがドローンによるインフラ点検サービスだ。

エアロダインは2014年にマレーシアで設立されたスタートアップで、ドローンによるインフラ点検を行うほか、インフラ設備点検と建築現場のモニタリングに特化したクラウドプラットフォームをSaaSとして提供している。ドローンで撮影した風力発電機の表面の画像を取り込むことで、AIが欠陥を自動で判定したり、通信タワーの点検では3Dモデリングを作成して細かな欠陥箇所を検出したりすることが可能だ。

そのエアロダインは2018年7月に日本法人であるエアロダインジャパンを設立。今回の風力発電機の点検オペレーションで本格的なジャパンエントリーへと舵を切った。エアロダインにとって、日本が16番目の海外拠点になる。

海外を含むエアロダイングループ全体では、現在までに世界7ヶ国で2000基以上の点検作業を受注しているものの、日本におけるドローンを活用した風力発電機の点検はまだ欧米や中国に比べて進んでいないとエアロダインジャパン代表取締役の伊藤英氏は語る。「現在日本には2253基の風力発電基が設置されているが、この数字は欧米や中国などの風力発電先進国からすると、大手の風力発電事業者1社がもっている規模感以下になる」と語り、そのことから、この市場に参入しようとするドローン事業者が少ないことを理由にあげた。

このような背景や、日本におけるドローン関連の法規制の問題から、エアロダインジャパンは当面のあいだ海外にアセットをもつ日本企業向けの営業を中心にビジネスを展開していくという。すでに、日本の大手ゼネコンが海外で進める建築プロジェクトのモニタリングを、3年契約で受注予定だという。

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TechCrunch Japan

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