ムーアの法則が、スタートアップの成功あるいは死を意味する理由

50th

【編集部注:

Diane BryantはIntelデータセンターグループのSVP・ゼネラルマネージャー。】

ムーアの法則50周年が語られる中、こう言いたがる人がいるかもしれない:それで?Intelを共同設立する3年前、ゴードン・ムーアはトランジスタの価格低下と性能向上が指数的に進行すると主張した。

ムーアはその主張を今や存在しない業界紙で1965年4月に発表し、ほとんど話題にならなかった。ほとんどの人々が ー ムーアを含め ー 何の反響も覚えていない。50年後、トランジスターの数や「FinFET」や「III-V」族半導体のことを気にかけるのは筋金入りのチップや材料科学のマニアだけだ。ムーアの法則の話題は、博物館やテクノロジーおたくの小さな集まりに似合っている。それは歴史だ。いや、本当にそうなのか?

静かに、密かに、ムーアの法則は革命的勢力であり続けている。これを無視する人はそれなりの覚悟が必要だ。その真の意味合いを知り魔法を活用する者には、成功さらには革命を起こすチャンスがある。

Googleはその一例かもしれない。ベテランジャーナリストのSteven Levyは最近、いかにムーアの法則がGoogleを可能にしたかの理論を展開した。Larry Pageが後にGoogle検索になるもののアイデアを開発した時、彼はムーアの法則の力を念頭においていた。

Levyはこう書く:「(Pageの)卒論指導教授が、そんな作業はウェブ全体をスタンフォードのローカルサーバーに取り込むことを意味していると指摘した時、Pageは臆さなかった。明日のテクノロジーがどれほど強力で安価になるかを確信していた彼は、そんな離れ技がいずれは比較的些細なことになることに気づいていた」。

もちろんムーアの法則は、テクノロジーや関連する分野で成功する唯一の秘密ではない。しかし、そのしばしば基本的となる役割を避けて通ることはできない。ムーアが彼の主張を発表した1960年代、トランジスタはデジタル経済の基本的構成要素であり、1つ約150ドルで売られていた。今日、トランジスターの価格は0.00014セントだ。言い換えれば、1セント硬貨1枚で、7万個のトランジスタを買うことができる。

その指数的威力、およびそれがもたらす驚くべき価格低下と劇的性能向上とエネルギー効率の改善は、スマートフォン、ドローン、ゲノム解析、そしてウェアラブルコンピューティングなどの革新を支えている。ムーアの法則は、スマートフォンというアイデアそのものを可能にしただけでなく、それが1990年中期の最高速スーパーコンピューター並みのコンピューティング能力を備えている事を意味している。

起業家たちにとって、ムーアの法則はデータ集中型ビジネス ー かつてはサーバー、ネットワーク、およびネットワーク機器に何百万ドルも費やす必要があった ー を始めるために必要なのは、今や素晴らしいアイデアとコンピューティング能力をレンタルする能力だけであることを意味している。

Levyはこう言っている:「事実上あらゆる分野の企業が、ムーアの法則を適用した若い会社の挑戦を受け、ときには廃業に追い込まれている(これをあらゆる物のユーバー化と呼ぼう)。たった今誰かの構想の中に、我々の生活を変え、数十億ドルを稼ぐアイデアが浮かんでいることは十分考えられる ー しかし資金調達には苦労している、なぜならその売り込みが狂気に感じるから」。

起業家は、いったい何をすればいいのか?

ムーアの法則の指数的威力を理解し活用するのが悪くないアイデアであることは明らかだ。人間にとって指数的に考えることは困難だが ー クレイジーだと思われる ー しばしばそれは、大きな見返りを生む。

おそらく、締めの言葉はムーア自身に語ってもらうのがよいだろう。

「私の考えは、ます製品や何かをしたい領域を決め、それが理にかなっているなら、新たな事業を始める。つまり、今日の多くの起業家はものごとに逆のアプローチをしているように思える。彼らは新しい会社を起こすことを決め、それから利用できるアイデアを探し始める。それが大成功することもある、例えばGoogleのように。多くの場合、線香花火のように、短期間成功したあと他の何かに取って代わられる。もし私が現在および未来の起業家にアドバイスを贈るとすれば、今やろうとしていることを元に長期的事業を作る方法を探しだすことだ ー 短期的成功だけでなく。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

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