モバイルアプリのテストを行うアトランタのKobitonを利用すると、開発者やQAのチームは自分たちのアプリを目の前の実機と、Kobitonのクラウドサービスの両方でテストできる。米国時間11月5日、同社は同じくアトランタの同業企業であるMobile Labsの買収を発表した。
資金状態の良い競合相手を買収するための資金としてKobitonは、同社の520万ドル(約5億4000万円)のシリーズAの拡張として1400万ドル(約14億5000万円)を調達した。投資家はこれまでの投資家BIP Capitalと新しい投資家Fulcrum Equity Partnersとなる。
KobitonのCEOであるKevin Lee(ケビン・リー)氏によると、この調達額は買収価額ではない。しかし、実際の額もそのあたりと考えて妥当だろう。しかし、同社は額を明らかにしていない。2011年に創業されたMobile Labsは、買収の前までに約1500万ドル(約15億5000万円)を調達したとCrunchbaseにはある。同社が最後に外部資金を調達したのは2014年だった。KobitonとMobile Labsには、共通の投資家がいない。
2017年にローンチしたKobitonは、2社を比べると小さい企業かもしれない。そんなKobitonが、大きい方のMobile Labsを買収できたのは興味深い。リー氏によると、Mobile Labsが売る決心をした理由の1つは、Kobitonでは以前から機械学習を利用して開発者が自分のアプリのテストを構築でき、そのためのオープンソースのアプリ試験フレームワークであるAppiumがあるのに対して、Mobile Labsはその方面で後れをとっていたことだ。
「彼らはAIへの投資がやや遅くて、しかもそれを自覚していた。でも私の理解では市場の現実は、十分な投資を早めにしないと、その企業は取り残されるのだ」とリー氏はいう。
リー氏によると、両社間には当然あってしかるべきシナジーが大量にある。例えばMobile Labsは、ゲームと金融方面のクライアントが多い。そうしたクライアントの多くがモバイル経験が浅い。一方、Kobitonの既存の顧客ベースは多くの場合モバイルファーストだ。
「Mobile Labsは10年の経歴があるからパートナーも多く、米国外のスタッフも多い。同社の相手は主に、規制の多い業種の古くからの大企業や、知財の保護を重視するファイヤーウォールで守られた産業だ。Mobile Labsは、そんな業界で本当に成功してきたんだ」とリー氏はいう。
リー氏によると、そんなMobile Labsの顧客もいまやAI / MLベースのアプリテストソリューションを求めており、両社が合併することで、Mobile LabsのソリューションにKobitonの技術の層をかぶせることができる。これらの顧客のためのアップグレードパスを作れば、それぞれのペースでテスト環境をアップグレードできるだろう。当面、Mobile Labsの既存のサービスを廃する計画はないが、Mobile Labsの個々のブランドの一部は名前が変わるかもしれない。
今回の買収でKobitonの米国内における従業員数が倍以上になるが、しかし同社のチームの大部分はベトナムにいる。
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)