ライブ配信サービス「LINE LIVE」はコンテンツとプッシュ通知が強み

LINE LIVE視聴アプリのイメージ

LINE LIVE視聴アプリのイメージ

12月1日にニュースのプラットフォームを開放したLINEだが、今度はライブ配信への本格参入を発表した。LINEは12月10日、ライブ配信プラットフォーム「LINE LIVE」の提供を開始した。iOS、Android向けに視聴・配信用アプリを提供するほか、ウェブ版も用意。アプリ同様に動画の配信を行う。

当初は公式アカウントのユーザーである著名人やアーティストなど100人に限定して配信機能を提供。スマートフォン利用のゴールデンタイムと言うべき昼と夜(20時以降)の時間帯を中心に5〜8本程度の番組を配信する。第1回の放送となる今晩19時からは、AKB48によるスペシャル番組が予定されている。

公式アカウントによる配信に加えて、イベントや劇場、テレビ・ラジオ放送などとも連携。現時点では東京ガールズコレクション、原宿駅前ステージ、スペースシャワーTV、秘密結社鷹の爪、輝く!日本レコード大賞(TBS)、オールナイトニッポン(ニッポン放送)、SCHOOL OF LOCK(TOKYO FM)などとの連携が発表されているほか、LINEオリジナルの番組として、芸能人同士のトークを楽しむ「さしめし」、オーディションの「NEXT STAR」といったコンテンツを提供する。中には先行するライブ配信サービスである「ツイキャス(Twit Casting)」において、総視聴者数百数十万人を誇るアーティスト・井上苑子さんの名前などもあって、プラットフォーム間の容赦ないコンテンツ争奪戦があったのかと考えてしまう(ちなみに彼女はブログもamebaからLINE BLOGに移行したようだ)。

100人以上の著名人が参加

100人以上の著名人が参加

同日開催された発表会でLINE取締役CSMOの舛田淳氏はテレビからビデオ、PC、スマートフォンと動画視聴のメディアが進化することで、動画コンテンツが場所や視聴タイミングの制限なく閲覧できるようになってきたと説明。だが「いつでもどこでも視聴できる」というのはスマートフォン時代の1つの可能性でしかなく、もう1つ、「今だから観れる」ということもスマホ時代の可能性だと語る。「『オンデマンド』で体験の断絶化が起きている。だからここに来て体験を求めている、音楽市場でもライブが盛り上がり、コピーできない何かを求めている」(舛田氏)

LINEのライブ配信機能に手応え

実はLINEではこの1年、LINE上でライブ配信機能の「LINE LIVE CAST」を提供してきた。LINE執行役員の佐々木大輔氏が説明したところによると、この機能を利用して同社が実施したオーディションイベントの最終審査を配信。ユニークで63万2000人が集まった。10月に開催したイベント「T-SPOOK」では、リアルイベントには9万人が来場、視聴者数では512万人を記録したのだという。この好調な結果がLINE LIVEの事業化を推し進めた。

同社ではこの理由について、LINEを介した「友だちからのプッシュ通知」が可能な点ではないかと分析している。もちろん通常のアプリからもプッシュ通知は可能なわけだが、舛田氏いわくLINE経由のプッシュは、舛田氏いわく「効果が桁違い」なのだそう。

有名人コラボとプッシュ通知が武器

ライブ配信と言えば最近Ustreamが日本を含むアジアから事実上の撤退を発表したところだし、1年前に発表されたドワンゴの「ニコキャス」は3日で終了。サイト上では「出直してまいります」というコメントが残るが、この1年の間アップデートがない状況だった。このタイミングでスタートするLINE LIVEは、コンテンツの豊富さや、LINEを経由したプッシュ通知を武器に市場を開拓してくようだ。佐々木氏もLINE LIVE CASTで最もユーザーを集めたのは「有名人とのコラボ」だったと語っている。

同社は今後、広告(タイアップ番組やテレビなど他メディアとの連動商品)を中心に、EC(ライブショッピングなども含む)、チップ(投げ銭的な課金サービス)などでのマネタイズを進める。また一般ユーザーによる配信は2016年の早い時点で解禁する予定だ。「生放送にこだわったのもLINEがあるからこそ。通常こういったサービスはUGCから始めてプロを巻き込んでいくが、私どもは(LINEの)スタンプやマンガ同様、プロからインディーズに開いていく」(舛田氏)。同社は早期で月間視聴者数1000万人を目指す。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。