採寸した自分のサイズを保存し、オンライン上で自分好みのオーダースーツやシャツを簡単につくることができる「LaFabric」を運営するライフスタイルデザイン。同社は1月26日、総額約4億円の資金調達を実施したことを発表した。
今回の資金調達は第三者割当増資と金融機関からの借り入れを含めたもので、増資の割当先は、既存株主であるニッセイ・キャピタルをはじめ、IMJ Investment Partners Japan LLP、ちばぎんキャピタル、フューチャーベンチャーキャピタルといった複数のベンチャーキャピタル。さらにはバリュー・フィールド代表取締役社長の市川貴弘氏、エンジェル投資家の千葉功太郎氏、三星グループ代表取締役社長の岩田真吾氏ら個人投資家となっている。
ライフスタイルデザインでは今回調達した資金を元に組織体制を強化し、LaFabricの業務拡大とともに、日本各地の生産工場とタッグを組みながらアパレル生産プラットフォームの構築を目指すという。
リピート率9割、スマホから気軽に買えるカスタムオーダースーツ
LaFabricは2014年にベータ版としてローンチし、2015年3月に正式にサービスを開始した。当初は試着の壁を超えるオーダーメイドスーツECとして、質問に答えるだけで最適なサイズを提案する「フィットアルゴリズム」を用い、個々の体型に合ったスーツやシャツが注文できることを売りにしていた。そこから現在のカスタムオーダーファッションレーベルへとブラッシュアップしていったことは、以前TechCrunchでも紹介している。
ライフスタイルデザイン代表取締役の森雄一郎氏によると「一度サイズを登録すればスマホから自分にフィットしたスーツやシャツを気軽に購入できるという利便性と、LaFabricならではのオリジナルの生地素材やカスタム性」が好評で、1年前に比べて売上は350%〜400%程伸びている状況だという。特に一度購入した人からの支持が集まっており、リピート率は9割以上だそうだ。
ものづくりの生産工程における課題をITで解決
これまでカスタマイズのアパレルECとして事業を推進してきた同社だが、今回の資金調達も踏まえ、今後はものづくりの生産プラットフォームの構築にも力を入れていく。
現在のものづくりは各生産工程ごとに分業されており、それぞれに協力体制はあるもののコミュニケーションコストなどが原因で納期がかかり、海外の勢力に負けている部分がある。その一方で作っているものは素晴らしいため、テクノロジーの力を活用することでアパレル生産の“川上から川下を繋ぐプラットフォーム”の必要性を感じているという。
「今はまだ実際にものを作っている人とIT 業界との間に隔たりがありますが、ものづくりの現場でもITへの理解は進んでいます。今後各地の生産工場や素材メーカーさんとも繋がりをつくりながらネットワーク化し、お客さまの『身体のサイズデータ』『生地やデザインの趣味趣向データ』といったパーソナルデータと合わせることで、より一層質の高いサービスを提供していきたいです」(森氏)
LaFabricが構想しているアパレル生産の川下から川上までを担うプラットフォームというのは、D2C(Direct to Consumer)と呼ばれる分野。メンズのアパレル関連では海外ではBonobos、日本発だとFactelierといったサービスが該当するが、消費者から選ばれる存在になるためには独自の高い技術をもった工場との提携にも力を入れていく必要があるだろう。
今回のラウンドに個人投資家として参加している岩田真吾氏が代表取締役社長を務める三星グループも、2017年に創業130周年を迎える岐阜県発の老舗テキスタイルメーカーだが、ものづくりのノウハウを持った工場との提携数は増加傾向にある。その数は100カ所を超えており(縫製工場だけでなく素材工場なども含む数値)、今後もこの繋がりを広げていくという。