リモート口述用のビデオ会議サービスなどで法律事務所の業務をサポートするStenoが3.5億円調達

世界の法律サービスの市場は2017年に8490億ドル(約89兆円)で、2021年には1兆ドル(約105腸炎)に達すると予想されている。ロサンゼルスのスタートアップであるStenoが、その一部を欲しているのも当然のことだ。

多くの法律サービス企業と同じく、同社が提供するものは会議室や裁判所に集まる人の数が減り、さまざまな場所で活動する人がいる状況で法律実務を円滑に行うための方法だ。

Stenoがローンチした際のサービスは、裁判の報告が中心だった。裁判所速記官を揃え、支払いを行うことで弁護士たちのToDoリストから頭痛のタネを取り除くものだった。

さらに最近では、同社はリモート口述のためのビデオ会議サービスも提供している。それは同社によると、安全であるだけでなく証拠物件の扱いやその他の詳細を、特定の法律上のニーズを満たしている。

また注目すべき点として、1、2年かかることもある訴訟が解決するまで、弁護士が代金を支払うことなく証言録取を取ることができる貸付商品を提供していることだ。弁護士は結審して支払いが得られるまでは財政が逼迫して苦しく、そのほかのクライアントに応じられないこともあるため、この貸付サービスが登場した。もちろんこのサービスは、その他の貸付サービスと同様にStenoの重要な収益源でもある。

Stenoは今週の初めに、First Round Capitalがリードする350万ドル(約3億6900万円)のシードラウンドをクローズし、調達総額は500万ドル(約5億2700万円)になった。

当然ながら創業者の1人はDylan Ruga(ディラン・ルガ)という裁判弁護士で、ロサンゼルスの法律グループに属している。そのため、同業者たちの悩みもよくわかるのだ。

意外なのは共同創業者であるGregory Hong(グレゴリー・ホン)氏で、彼は以前、レストラン予約サービスであるReserveの共同創業者だった。そこはResyに買収され、さらにそのResyをAmerican Expressが買収している。ホン氏はどうやって、まったくの異業種に飛び込んだのだろうか?

ホン氏はルガ氏がいなければStenoに惹かれることはなかっただろう、という。以前、ルガ氏はResyの商標担当弁護士で、ホン氏にスタートアップであるStenoに経営についてアドバイスして欲しい、と依頼した。彼は好意からその頼みを聞き、その後、そのスタートアップへの参加を望んだ。「『これはユニークな仕事だ』と思った。そこで『ディラン、私にやらせてくれ』と話したんだ」とホン氏はいう。

現在、創業19カ月となるStenoにはフルタイムの社員が20名、パートタイムが10名いる。ホン氏は、パンデミックが追い風だという。弁護士やその他の関係者が全員ソーシャルディスタンスを保っている現在、テクノロジーを利用する法律サービスがとても魅力的に見える。

ホン氏によると、Stenoの法律サービスは貸付のような財務サービスと結びついているため支持者も多い。法律グループのJML LawSimon Law Groupのように、個人の傷害事件が得意なところも、Stenoをよく利用している。

Stenoの課金や金融サービスは個々の事案ベースだが、それでも裁判をよく行う顧客からのリピートがある。またホン氏によると、現在、サブスクリプションサービスも考えているという。またビデオ会議サービスも、他の用途を開発したいとのこと。ホン氏うよると、Stenoのテクノロジーはとても適しており、同社のサービスが法律サービスにフォーカスし続けていくことに変わりはないとのことだ。

カテゴリー:リーガルテック

タグ:資金調達

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。