2020年の出来事の中で、最も追い風を受けたロボティクスの分野の1つは建設業だろう。自動化によって大きな利益を得られる可能性のある建設業は、ロボティクスの急成長分野だ。新型コロナウイルスの影響から多くの不要不急の事業が停止したことで、この事実はさらに強調された。過去1年余りの間に、Toggle(トグル)、Dusty(ダスティ)、Scaled(スケールド)、SkyMul(スカイミュル)など、この分野における多くのプレイヤーが、注目に値する資金を調達するのを、我々は目にしてきた。
2018年にヒューストンで設立されたRugged Robotics(ラグド・ロボティクス)は、2019年のシードラウンドで250万ドル(約2億7400万円)を調達した。現在は積極的な資金調達を行っていないが、マサチューセッツ州に拠点を置く建設会社のConsigli(コンシーリ)と提携するなど、すでに初期のパイロット段階における技術の運用を開始している。
ConsigliのJack Moran(ジャック・モラン)氏は「私たちには、かなり先進的なクライアントがいました」と語る。「その建築物は、プロジェクトの中核となるシェルを我々が管理しており、非常に複雑で、多くの奇妙な形状の装備を施さなければならず、私たちにとってはチャレンジングなものでした」。
Ruggedが「レイアウト・ルンバ」と自称するこのロボットは、マサチューセッツ州ケンブリッジにある10階建てのビルの建設に使用され、実際に1フロアあたり約4万平方フィートの空間の設計図を地面に描き出した。この提携により、Ruggedは初期の研究開発モードから商業化への重要な一歩を踏み出すことになった。
「レイアウト作業は、建設プロセスの中で最も重要な作業です」と、Ruggedの創業者兼CEOであるDerrick Morse(デリック・モース)氏はTechCrunchによるインタビューで語った。「どこに何が設置されるかを記すことから、どこに何が作られるかが決まります。レイアウト中のミスは、建設プロセス全体に影響を及ぼし、手直しや遅延、追加費用につながります」。
Ruggedのチームはまだ小規模で、NASAやSamsung(サムスン)での経歴を持つ共同設立者を含む、6名ほどのフルタイム従業員で構成されている。チームは現在、3台のロボットを保有しているが、5台に増やすことを計画している。これらのロボットは、地面にドットマトリクスインクのパターンを印刷し、建設チームが実際に作成する建物の位置確認を示す。
Ruggedチームのメンバーは、ロボットと一緒に現場に行き、ロボットが計画を実行するのを監督し、RaaS(Robotics as a Service)として建設会社に課金する。
「私たちには果てしない顧客ニーズがあります」とモース氏はいう。「我々と一緒にパイロットやデモを行うことに熱意を持つ数十億ドル(数千億円)規模の建設会社がいくつかあります。私たちは今後1年間で組織とフリートを拡大していく予定ですが、その成長のために追加の資本投入を行うことになるでしょう」。
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画像クレジット:Rugged Robotics
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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)