ロシアがインスタグラムをブロックすると発表

ロシア政府はInstagram(インスタグラム)へのアクセスを制限すると発表した。同国がウクライナ侵攻以来、海外の主流テックプラットフォームを標的とした最新の国家規制となる。

ロシアは、ロイターが先に報じた、Meta(メタ)によるヘイトスピーチポリシーの変更が原因だと非難している。

だがこれは、プーチン氏がデジタル情報圏に対する支配力を強め続け、ロシア市民が国家のプロパガンダを迂回して戦争に関する検閲されていない情報にアクセスするのを阻む動きと一貫している。例えば、ロシア軍に関する独立した報道を犯罪とする新法(「偽」の情報を広めた者には最高で15年の懲役の脅威が伴う)が可決されている。

ロシア政府はInstagramのブロックを発表した声明の中で、インターネット規制当局Roskomnadzorが、Meta傘下の写真共有サイトであるInstagramへの「アクセスを制限する」と述べた。このプラットフォームが、兵士を含むロシア国民に対し「暴力行為を行うよう呼びかける内容を含む情報資料」(機械翻訳による翻訳)を広めるために使われているとある。

ロシア連邦検察庁の要求に基づき、ロシア連邦のInstagramソーシャルネットワーク(Meta Platforms, Inc.が所有)へのアクセスが制限されることになりました。

Instagramのソーシャルネットワークは、兵士を含むロシア連邦の市民に対して暴力行為を行うよう呼びかける内容を含む情報資料を広めています。

本稿執筆時点で、ロシア国内のある関係者は、Instagramのアプリはまだアクセス可能だと話した。しかし、同筋は「すべての携帯電話事業者とインターネットプロバイダーがブロックするまでに、通常数日かかる」と指摘した。

ロシア国内ではすでにFacebook(フェイスブック)とTwitter(ツイッター)が規制の対象となっていたが、同国で非常に人気の高いInstagramはこれまで規制の対象として名前が挙がっていなかった。

Instagramのロシア国内でのユーザー数は約6000万人とみられている。

Facebookは2月25日、ロシア国内で「部分的」な規制を受けた。同プラットフォームは以前、多くの国営メディアへのアクセスを制限していた。

同じ頃、Twitterのユーザーからもサイトへのアクセスに関する問題が報告された。同社はその後、ロシアのユーザーによるサービスへのアクセスが「困難」だという報告があったことを認め、完全なアクセスを回復するために取り組んでいることを明らかにした。

Twitterはそれから専用の「Tor onion」サービスを開始した。国家の検閲を回避して同社のネットワークにアクセスしようとする人のための回避策を提供している。 Facebookは2014年からTorサービスを提供している。

Instagramに対するロシアの動きは、Metaによるポリシー変更に続くものだ。Metaのポリシー変更は、人権上の理由(国連からの指摘を含む)で多方面からの批判に直面している。

ロイターは3月11日、Metaがウクライナ戦争を踏まえ、一部の国のユーザーが一部のロシア人に対する暴力を呼びかけることを一時的に許可したことを確認したと報じた。つまり、Metaが標準としているヘイトスピーチに関する規約を一時的に停止したということになる。

「ロシアのウクライナ侵攻の結果、『ロシアの侵略者に死を』といった暴力的な言論のような、通常は規則に違反する政治的表現を一時的に許可した」と、Metaの広報担当者はロイターに声明を出し、さらに次のように述べた。「ロシアの民間人に対し暴力を求める信憑性を伴う呼びかけは、依然として認めていません」

ロイターが確認したコンテンツモデレーターへの内部メールには、ロシアのプーチン大統領やベラルーシのルカシェンコ大統領に向けられた殺害予告も許可される、ただしその予告が他の人も標的にしている、または追加の「信憑性の指標」(場所や方法など)を含んでいる場合は別だと明記されている。

Instagramの制限を発表したRoskomnadzorの声明は、ヘイトスピーチポリシーの変更に関するMetaの広報担当による発表(ロシア政府はAndy Stone=アンディ・ストーン氏を名指しで特定)を引用し、ポリシー変更により多くの国の住民が「軍人を含むロシア市民に対する暴力の要求を含む情報を投稿」できると主張している。

Meta傘下の別のプラットフォームであるメッセージングアプリのWhatsApp(ワッツアップ)が同様の規制に直面するかどうかは明らかではない。

WhatsAppはコメントを控えた。しかし、開かれたソーシャルネットワークではないため、ロシア当局の扱いは異なるという報道もある。

しかし、ロシア政府はある点でさらに踏み込んだのは確かだ。これと並行して、国家調査委員会は3月11日、ロシアでMetaとその従業員に対して刑事告訴したと発表した。どうやら、反テロ法を徹底的に活用して、同社を「過激派組織」(「ロシア連邦の市民に対する殺人と暴力の違法な要求」と表現している)に指定するようだ。

「そうした行為には、ロシア連邦刑法第280条及び第205条第1項(過激派活動の公募、テロ活動の援助)に基づく犯罪の兆候も含まれます」と、ロシアの調査委員会は3月11日、Metaの暴力行為を認めるポリシー変更に言及した。

「刑事事件の一部として、アンディ・ストーン氏とアメリカ企業の他の従業員の行動を法的に検討するため、必要な調査措置が実施されている」と付け加えている。

ロシアには長い間、プーチン政権の批判者に向けられ、自己検閲を促すような強硬な「反テロ」法がある。

2016年の改定では、「過激派」に対する最高刑が4年から8年に引き上げられた。例えば、ウクライナへのロシアの関与に批判的なソーシャルメディア利用者に対して、この罪がますます問われるようになったとGuardian(ガーディアン)は当時報じている。

ロシアは現在、米国を拠点とするストーン氏、そして潜在的には他の無名のMeta従業員に対して、過激派だとして告発するつもりのようだ。

明らかに、ロシアにいるMetaのスタッフは、逮捕や拘留の最大のリスクに直面している。主要なグローバルプラットフォームがトップダウンで適用する中央集権的なポリシー決定に伴う、非常に現実的な現場レベルでのリスクが、改めて浮き彫りになった。

MetaとInstagramに対し、この最新の動きについてコメントを求めている。

更新:InstagramのAdam Mosseri(アダム・モセリ)CEOは、8000万人のロシア人に影響を及ぼすと示唆した禁止令を「間違っている」とし、ツイートで反論した。

MetaのNick Clegg(ニック・クレッグ)社長も、ロシアが同社を過激派組織として指定する計画を非難した。Twitterに投稿した声明で、ウクライナ国内でロシアに対するヘイトスピーチを一定程度認めるポリシー修正は、「自国への軍事侵攻に対する自衛の表現としての言論の権利」を守るために必要だと弁明している。

「私たちは、ロシア恐怖症や、私たちのプラットフォーム上でのロシア人に対するいかなる差別、嫌がらせ、暴力も容認しません」とクレッグ氏と付け加え、ポリシーの変更は「一時的」であり「異常で前例のない状況下で行われた」と述べた。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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