Johns Hopkins(ジョンズ・ホプキンズ大学)の研究者たちは今週、彼らが開発した「Smart Tissue Autonomous Robot(STAR、スマート組織自律ロボット)」システムが、人間の誘導なしにブタの組織の腹腔鏡手術を完了したことを記したレポートを発表した。この手術は、2つの腸管端部を縫合するもので、動物での手術に成功し、人間が行った場合よりも「格段に良い」結果が得られたと、研究者チームは述べている。
このような手術を完全に自動化するためには、いくつか越えなければならないハードルがある。その筆頭には、人間や豚などの組織は柔軟であり、予測不可能な性質を持っているため、プログラムを組むのが非常に難しいという事実がある。
人間の外科医は長い時間をかけて組織を扱う方法を学んできたが、ロボットの外科医にとってはさらに大変な仕事になる。今回のロボットシステムは、2016年に開発されたシステムがベースになっており、すでに豚の手術を上手くやり遂げたことがあるものの、これまでは人間の手による誘導や大きな切開などの補助が必要だった。STARの誘導システムのアルゴリズム構築には、3次元マシンビジョンが使用されている。
本論文の筆頭著者であるHamed Saeidi(ハメド・サエディ)氏は「STARが特別なのは、人間の介入を最小限に抑えながら軟部組織での手術計画を立案し、適応し、実行した初めてのロボットシステムだということです」と、リリースの中で述べている。
システムの開発者たちは、この技術がさらに高い精度と再現性を持って、このような手術に使えるようになると確信している。ロボット手術は、これまで高度に専門的な技術が必要とされた手術を、より多くの人が均等に受けられるようになるために役立つ可能性があるとして、ここ数十年の間に多くの関心と資金を集めるようになっている。
画像クレジット:Johns Hopkins, Axel Krieger, Jin Kang
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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)